第4話 馬車の列と装備とオークとの戦闘。
まぁ、こんな感じでいいかな?。
えーっと自然神の力?。
しかもレベルの表示が8分の1?。どういうことだ?。
…落ち着いて。説明を。見ようか。
ステータスに更に念じ、スキルについて見ようと試みた。
すると、目の前に追加のウィンドウが開いた。
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自然神の力 1/8
邪神に倒されて散った自然神の力の欠片。それぞれが意思を持ち、選定者を選び、寄生する。
寄生した力は、宿主の経験値の一部を吸い、成長する。また、このスキルの成長はウィンドウでは確認できない。
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ほへぇ……。
…よくわからん。
でもとりあえず何かスキルゲットしたのは解った。
「ふわぁぁあ……眠くなってきた。寝よう。」
俺はそのまま部屋に戻る。
そして地球に比べるとガサガサした布の間に挟まりながらゆっくりと眠りについた。
そして翌日…。
ガラスなど無い窓から差した直接的な日光を一身に浴び、目が醒めた。
既に他の全員は起きていて、俺を待っているような状況だった。
俺は急いで支度をし、グレイ団長に支度が出来たと報告した。
そして、しばらく待機することとなった。
「そういえばさ。」
俺は功太と、そして集まっているオタク集団に声をかける。
「どうした?。」
「異世界に来たけど、まだこれといって異世界感出てないよね。」
「は?。めっちゃ異世界感あるやん。砦とか騎士団とか。」
「転移日当日とか特に異世界感あっただろう?。」
「でもさ、自分達は異世界のスキルとか、魔法とか体験してない訳じゃん?。」
「自分達は…そうだな。というかお前らもし使えるとしたら何属性使いたい?。俺はスタンダードだが風かな。」
「俺は土属性とかかな?。武器召喚出来そうじゃん。」
「俺は、無属性だな。玄人だからこそ扱える高度な技術のイメージ。あるかは別として。」
「お、無属性か、いいな。」
などと話していると、完全に準備が終わったようで砦の入り口を出て外に出る。
そこには、一面にずらっと並べられた馬車とそれを引く馬。
そして、およそ100ぐらいいる団員が全員揃っていた。
綺麗に整列をし、並ぶ。
全員が並び終えると、全員に見えるような場所にグレイ団長が立った。
「では、皆の者。我々元オウルム王国騎士団はたとえ、国が滅ぼうとも、国民は助ける。それが、我々オウルム王国騎士団の最期の役目だ!!。全員、各地での難民保護活動を行いながら南下する!。行くぞ!。」
そう言ってグレイ団長が右腕を天に掲げると、それと同じように団員全員も右手を上げ、
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
という気合の篭った言葉と共にオウルム王国騎士団の旗を掲げ、騎士団全体が動き出した。
団員がそれぞれ別れて馬車に乗り込む。
そうして、団員の三分の一程の数が御者となった。残りの三分の二程は、馬車の中に乗り込んだ。
恐らく移動中に交代しながら御者となるのだろう。
俺達勇者チームは、団員の1人(関係無いが名前はルーカス。全員と一番仲が良いであろう騎士だ。)に案内され、他のと大きさが変わらない1つの馬車に乗った。
外から見ても決して豪華では無い、木で出来た馬車だったが、内部も木で出来ていて、日本人の1人として風情を感じる。
そして、外から見た感じとは違い、馬車の中は意外と広かった。これも何かの魔法だろうか。外から見ると長さが、3~5メートル程だったが、内部は10メートル以上あった。
それと。奥にはカーテンが掛けられていた。
馬車に用意された席にクラス20人全員が腰掛けて、それぞれ色々な話をしてしばらくまつ。
俺は異世界感を体験し、わくわくしながらオタク共と楽しく魔法の属性とかの話の続きをしていた。
そうしてしばらく経つと、グレイ団長が入って来た。グレイ団長は、気合いを入れて鎧を着込み、その腰のベルトに、鞘に収まった剣が掛かっている。
グレイ団長は結城に生物の皮を乾かして出来た様な紙。所謂羊皮紙の束を持っていた。
「ユウキ、これに目を通しておいてくれ。」
そう言って結城に羊皮紙の束が手渡される。
結城は軽く、内容の確認を行い。「わかりました」と言った。
そしてグレイ団長は続けて、
「それと、昨日纏めた荷物はカーテンの向こうにある。」
そう言って馬車から出て行った。
それと同時に馬車が動き出した。
やっぱりスプリング機構的なのが無いとこんなにガタガタ揺れるんだな。
まるで、小さめの地震かと思う程の揺れを感じる。
しかし、そんな事は気にせずそれぞれに3枚ずつ羊皮紙が配られた。
それぞれ似ているが…
1枚目には、オウルム王国内の地図が描かれており、地形から、町、村など色々な情報が見やすく書いてある。
二枚目も、オウルム王国内の地図だ。しかし、これから騎士団が巡る道筋が赤い線に沿って書き加えられている。
三枚目は……世界地図だな、中央付近の山脈内部にオウルム王国と書かれている。そこから下、つまり南の方向に様々な国が。北に魔族の国、魔国フェイタルがある。
その周囲は海が描かれている海の先には何があるのか。それはまだ解明されていないのだろうか?。
まぁいいや、違いはそんなところだ。どれも細かく描かれていて、完全に覚えるにはかなりの時間がかかりそうだった。
次に俺達はそれぞれ自分の荷物を探した。
カーテンを開けると、なめした革で出来たリュック型のバッグが沢山纏められていた。それぞれのバッグにそれぞれの名札が貼られている。
このバッグはマジックバッグやアイテムボックスと呼ばれるもので、内部に空間を無視した量の物を入れる事が出来る少し特殊なバッグだ。魔法って凄いと思うわ。因みにこれは昨日の夜に用意して貰った。結構気に入ってたりする。
バッグの中を確認する。中には、教科書、着替えやタオルなどの生活必需品。そして革で作られた軽い鎧と、円形の湾曲したバックラー。そして大剣とも長剣ともとれる、所謂バスタードソードが鞘に収まった状態で入っている。因みにこれらも昨日の夜に用意した。
装備は、騎士団の倉庫にあった物を貰った。どの装備にも強化魔法が掛かっているそうなので(鑑定調べ)少しは安心出来る。
因みに勇者王の結城は、何かに導かれる様に倉庫の奥へと進み、見事隠し部屋を見つけ、[準聖剣アルケー]と共に[聖具プリンシパリティ]を入手した。どちらも権天使の事を指す言葉だった気がする。
全員が自分が使いたいと思った武器を入手できた様だった。
確認が終わると、バッグを背負い自分の席に戻る。
全員が席に座ると、和やかな雰囲気で至る所から話す声が聞こえる。
結城なんかは御者のルーカスさんと、話している様だ。
オタクと功太達も盛り上がっている様だし、俺も顔を突っ込みに行く。
「ほら見ろよこれ。」
「リボルバーじゃんすげーな。」
「何の話してるんだ?。」
すると功太が、原子操作で作ったのか一丁のリボルバーを自慢気に見せてきた。
「リボルバーだな。…でもリボルバーって反動凄いんじゃなかったっけ?。
「これはな。マテバっちゅう会社のオートリボルバーでな。反動が少ないんだよ。」
ドヤァとでも言いたそうな顔で答えてくる。
「おう、そうか。でも火薬どうすんだ?。」
「……」
「考えてたのか?。」
「…いや?。」
「考えとけよ。」
「原子操作で作る。以上証明完了Q.E.D。」
「硝石…だっけか?。確かそれと硫黄と炭で一応作れるって聞いたけど。硝石の作り方とか硫黄の取り方とか分かるか?。」
「いいや?。」
「……じゃあどうすんの?。」
と二人で銃をどう使うかを考えていると、
「なぁ、それってさ。ここ異世界なんだしさ。魔力の爆発かなんかで飛ばすとかさ、そもそも魔力自体を飛ばすとかすればいいんじゃないかな?。」
と、園田雅人が提案してくれた。
「「それだ!!。雅人。よくやった。貴様にはオプーナを買う権利をやろう。」」
「異世界で権利貰ってもな…。」
「…そうだな。」
そういう感じで楽しく話していると、
ドスン!!
という音と共に、馬車が急停車し、大きく揺れる。
直ぐに遠くの方から、
「0458!!。」
という暗号文が放たれた。
クラスの全員が訳も解らずそこに留まっている。
俺が動こうとして、バッグに手を入れると同時に結城が動き出した。いつのまにか少し離れていたルーカスさんに話しかける。
「何が起きたんですか?。さっきの暗号文は?。」
「敵襲。58…つまりオークからのだ。」
「オーク?。」
「人型をしているが、所々に猪の特徴を持つ敵対種亜人だ。俺達でも一体に5人程の人手が必要だ。俺は行くが、お前らは一旦待機してろ。」
「わかりました。」
そうして、ルーカスが、前方の馬車に向かって走る。
外を見ると、後ろの馬車からも、前方に向かっている。
全員が静かとなり、まるで祈る様にその場でじっとしている。
そんな中、一人が、窓を指指して言った。
「…オーク!。」
猪の様な特徴を持った人型の戦士が五体、窓の外に確認できた。少し遠めの場所からこちらに向かって一直線で走ってくきている。
「やばいぞ、迫ってきている。」
「みんな!落ち着いて!。待機するんだ!。」
そう結城がなだめ、少しざわざわとしていた馬車内が一転静かになった。
静寂が支配する馬車内を、とてつもない衝撃が襲った。
完全に地面の位置が変わるという程では無いが、45度ほどに傾いた。
窓を見ると、窓を覆い尽くす様なオークの顔がうつっていた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
たまらず、その様子を見た一人が悲鳴をあげる。
それにつられて悲鳴をあげ、混乱が起こった。
結城と秋原、そして功太と俺は、いち早く外に出た。
「お前らもやっぱ予想してたか。こういう展開。」
「ああ。」
「こうなることって大体テンプレ。」
「え?何を言ってんの?。」
…一人だけ話についていけてない勇者王がいらっしゃる。
まぁ、それはいいとして、良い機会だから使わせてもらう。
ー[ステータス増強]発動ー
そう念じると、体が軽くなった。ステータスを見てもちゃんとステータスが二倍になっている。
バッグから、バスタードソードを出し、バッグを地面に置いた。
「なぁ、清。オーク一体相手だが。組もうぜ。」
「おう、力がどこまで通用するかわからんからな。」
功太は、自分の武器である、両端に刃の付いた槍。(まぁ薙刀に近いのかな?。)を構えて言った。
「行くぜ!!。」
俺が声を出し、駆け出す。
「お、おいいきなりかよ!。」
そう言って功太も遅れながらオークの一体に向かって駆け出した。
オークの装備は、金属の留め具がついた重そうな革鎧。そして刃が欠けた斧。
オークは、意外と素早い速度で斧を振り上げた。
今のところ素早さは492。この世界の平均が50とかだっけ?。そう考えて、その二倍の100を騎士と仮定。その騎士が五人いればオーケイ。つまり騎士達の合計は500。それに違い素早さなら翻弄できるはず。
オークの目の前まで駆け込むと、オークが振り上げた斧を俺に叩きつけようと上段から振るうが、俺は横にステップし、軽く避ける。
そして、周り込みながら勢いを増し、両膝に照準を合わせてバスタードソードを思い切り横に振る。
少しずれたが、深くまで刺さった。
抜けなくなったバスタードを手放し、完全に俺にヘイトが向いたオークの周囲を煽る様に周る。
そのオークの胸に、スッと刃が貫通した。
その刃は心臓を貫通し、オークを絶命させた。
[レベルアップしました。]
と脳に響く。恐らくシステムアナウンスさんだろう。みんなでシスさんと呼ぼう。
オークが動かなくなり、しばらく本当にオークが死んだのか確かめるため見ていたが、生き返る様子も無かったため、俺達はホッと息を吐く。
「なんとか行けたな。」
「だな。内心やばかった。戦うの嫌だ。」
「そうだな。」
そう話しながら向こうを見る。
秋原は、武器を具現化し、素早さの高い雅人に使わせる事で、勝利した様だ。
結城は、仲間の力を借りながら真っ正面から戦っている。
残りの2匹は、片方が逃げ、もう片方がいじめっ子プラスいじめられっ子チームによって倒された。[虎の威を借る狐]スキルなどをうまく使い、ヘイトをぶんさんさせた様だ。
お、結城が隙を突いて胸に一太刀入れた。
そうして、オーク達の襲撃は終わった。
やがて、前の方での戦闘が終わったのか、グレイ団長と、ルーカスが戻ってきた。
彼らはこちらのオークに勝利したという点には褒めてくれたが、結局かなりの説教をくらった。
そして、オークの襲撃が終わり、再び馬車は動き出した。
何処までも続く様な自然の景色。これから、俺達は何処まで行くのだろう。そんな事を考えてしまった。
戦闘。あっさりだったけど許してくださいな。眠かったんです。
そして次回!。遂にヒロイン的な立場のキャラが登場するかも?。
でも活躍は無い!。
次回[???]「ハロー!自然神の別れ身の???だよー宜しくね?。てきな?。」
次回をお楽しみ(ただし遅れないとは言っていない。)