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第3話 辺境の地と王国騎士団

何か話が大きくなりすぎた気がする。これからはもっとプロットとか考えなきゃね。

 あの日から5日が経った。


 クラスメートは全員が力を身につけようと必死に鍛錬している。

 しかし、立ち直れた奴は少ないだろう。転移して来た直後に、王国が崩壊した。

 それが、自分達のせいであることや、自分達は''勇者''と呼ばれる救世主だというのに王国の人々を救えなかった事を考えて悩んで、塞ぎ込んだ奴らもいた。


 さて、そんな状態だったクラスメート達が何故全員鍛錬に打ち込んでいるのかというと、紛れも無く''王国騎士団総団長''のグレイさんのおかげだと言わざるを得ない。


 さて、その経緯は時間を遡って話していこう。


 ー転移直後ー


 俺達は今日何回目かの呆然とした状態に陥っていた。

 転移によって飛ばされた場所はどうやら森に囲まれた砦の内部の庭のようだった。


 しばらく経つと、止まった時が動き出した様に呆気に取られた状態からなんとか回復したが、クラスメートの殆どがいきなりの重い出来事、恐怖の塊の様な奴の威圧感など、それらから解放され、それで緊張が解けたのか、クラスメートの全員が、目から涙を流していた。それぞれが何を思い涙を流したのかは想像しやすい。


 1つは、死地から全員が無事に生還したという喜び。


 1つは、自分達の命を救うために、王城が壊滅したという事を考えてのうのうと生きる自分の情け無さ。


 1つは、自分達の無事をただ喜んでいる自己嫌悪。


 そのおおよそ3つの事柄が、俺達の胸を締め付け、苦しめていた。

 あるものはただ大声で泣き、あるものはただ俯き、あるものは自傷に走る。

 そんな状態だった。

 そんな中、俺は、今出来ること、やるべき事を考え功太に言った。


「…功太。ナイフ作ってくれ。」


 そう涙を流す功太に頼む。しかし。


「そんな事してる場合じゃねぇだろ?。」


 そう言ってこちらを睨みつける。その声に周りが注目し始める。それらの視線は、「あんな事があったのにどうしてお前はそんな平気で居られるのか?。あんな事があっても涙を流さないのか、血も涙もない。」という様な、彼らの心情を表すようだった。

 誰にも理解されない事が判り、俺はただ無言で立ち、彼らに背を向けて歩く。

 少しフラフラしながらゆっくりと歩き、やがて砦の出入り口の門に着く。

 門は開きっぱなしだった。

 門を出るとどうやらここの砦の兵士(というよりは騎士のような鎧をしているので騎士の方が近い)にバッタリと見つかり捕縛された。

 その後、クラスメートも発見され、俺と一緒に事情聴取をされる事になった。クラスメートの視線は鋭く、睨め付ける様にしてこちらを見ていた。最初に見つかった俺は、事情聴取の列を成した時に前になってしまい、全員からの視線が深く突き刺さった。

 騎士の中でも、特に位の高そうな男がやってきた。真面目そうな優男だ。

 彼は座るとまず、自己紹介をした。


「私は''オウルム王国騎士団総団長のグレイ.フォトス.ソードだ。」


 その役職を聞き、先程まで不安ばかりだったクラスの殆どの表情が少し戻り、グレイさんの話を聞こうと耳を傾け始めた。


「まず、君達は何者で、何処から来たのか。この二点を教えてくれ。」


 その質問に結城が代表として答えた。


「僕達は、昨日、[オウルム王国]に召喚された異世界の者です。」

「…召喚者の鍛練は、明後日からと聞いていたが?。」

「それは…」


 そう一瞬顔が暗くなるが、結城は暗くなるのを堪えて言った。


「それは…昨夜、王国の城が魔族の襲撃を受けた為です。昨夜の襲撃時に僕達は……王国の方々に生かされました。」

「何っ!?。」


 そう言って立ち上がると大声で、


「ペイドっ!!いるかっ?。」


 と言い、しばらくして1人の男が乱入して来た。その男がペイドだろう。ペイドは帽子を深くかぶり、大きなローブを羽織っている。恐らく魔法を使うのだろう、その手には木の杖が握られている。


「はっ団長どの。何でしょうか。」

「ペイド。転移で王城を確認して来てくれ。」

「それは…どうして…。」


 そうペイドが聞くと、団長が何かの合図を送った。すると、何かを察したようで、ペイドは杖を掲げた。その直後、杖から薄い水色の空間が広がっていった。その空間がこの場所を埋め尽くすと、しばらくペイドは顔を下に向ける。そしてしばらくすると、ゆっくりと顔を上げた。同時に空間も収まっていた。


「なるほど、そういう事ですか。…で、私をと…。了解しました。」


 そう言うと、そのローブが急にはためき、周囲に風を吹かせながら、立体的な魔法陣がペイドの体を包んでいく。

 やがて魔法陣の輝きが増し、シュンと音がし、ペイドが消えていた。

 その様子を見て、周囲の生徒が口をポッカリと開けて唖然としている。


「…しばらく待っててくれ。」


 グレイは、そう言うが、ペイドは早く帰ってきた。

 しばらく待っててくれと言った直後に、空間に切れ目が出来、そこが開く様な形で風が巻き起こる。そして切れ目から布が出てきたと思うとその布が人型を成し、それがペイドとなった。


「早かったな。で、どうだった?。」

「壊滅だ。国は滅びた。」

「そうか。ペイド、伝令を頼んだ。」

「了解した。」


 そう言ってペイドが去って言った。

 そしてまた、グレイが質問を始める。


「出来れば、君達に王国崩壊時の話を聞きたいのだが…。今はその時じゃない様だ。さて、次に我々が聞くことは、君達が、これからどうするか、だ。我々は君達が異界から召喚された勇者だと知った為保護する義務がある。伝令が終わったら此処での活動を即刻取りやめ、オウルム王国から遠く離れているが、とても友好関係の深かった、[イグール共和国連邦]へと移るつもりだ。大勢の国民達と共にな。付いてくるか?。」


 しばらく考えこんで、結城が言った。


「……少し皆んなで考えをまとめさせて下さい。」


 そうして騎士団の全員が空間から出て行き、空間の中には、クラスメートのみになった。…まだ視線は刺さる。

 そして、しばらく全員で意見を出し合うが、どうにも決まらない。

 現在出てきた主な意見としては、

 ・騎士団の強い人達に着いていった方が安全という意見。

  と

 ・下手に動くと、あの魔族が来て今度こそ死んでしまうのではないか。

 という2つの意見で争っている。

 その議論は重苦しく、命が懸かっていると、授業の時とは違い、全員が真剣だ。

 そして、何時間が経っただろうか。

 それでも意見は纏まらない。

 そこへ、騎士団総団長のグレイがやってきた。

 グレイは、空間に入ると、


「現在はどんな意見で争っているんだ?。」


 そう聞いてきた。その態度や聞き方などから、これは想像済みだった様だ。

 そして結城が、その質問に細かく答えると、顔を頷かせて、


「なるほど」


 とだけ言った。そしてしばらく沈黙し、考えがまとまったのか話を始める。


「俺の意見というよりは、俺の願いだが。俺は、君達について来て欲しい。我々に君達を保護する義務があるのもあるが。しかし色々と観察してみたが、君達には覚悟と、勇気がある様だ、それに過去の勇者達の例と比べても、この世界を遊戯だと思っている節が全く無い。君達なら強くなれる。それと……ペイドから聞いたぞ。四天王の事を。四天王といえば、最強と呼ばれる者たちだ。そんな相手に生還出来たのは誇ってもいい。それに、君達には伸びしろがある。しっかり鍛錬すればもしかしたら、四天王に勝てるかもしれん。その鍛錬の方法を拙いだろうが、我々なら君達に教えられるだろう。」


 そう締めくくる。そこに、数名の生徒が立ち上がった。


「鍛練について教えてください。」


 と1人の男子が聞いた、その顔を変わらず決意に満ちている。


「鍛練は、主に護衛中の魔物討伐によるレベルアップを狙い、朝早くと、夜の寝るまでの暇な時間などにスキルや魔術行使の訓練を行うつもりだ。申し訳ないが、私達には戦い方と、筋肉の付け方しか教える事が出来ない。しかし、これからそれぞれの村色々な生産職の方々と合流するだろう。生産系に進みたいと思うなら、その方々に協力を仰ぎ、それぞれの固有スキルにあった成長方を実践していくつもりだ。」


 納得したのか聞いた男子は座った。それからいくつか質問が続いた。会話にすると長くなってしまうので、簡単に誰でもわかるようにダイジェストにしてみる。


 Q、村人達と合流せずに共和国へ向かわないのは何故か?。

 A、国が終わったとしても騎士団は民を守るために戦わなければならない。その義務がある。


 Q、自分達を連れて行くメリットは?。

 A、正直なところ護衛などの人手が足りなくなる。この国からの移民でおそらく30万人程居る。その中の半数が戦えない一般市民。そう考えても人手が足りない。


 Q、移動は何で行うのか。

 A、徒歩で行う。唯一の国境では人が多く集まるだろうから、それについては検討中。


 Q、途中の食料は?。

 A、基本的に、護衛中に討伐した魔物や、探索班を編成し、探索して取ってきた食料を使うが、足りない分は要検討。


 …まぁ、こんな所だろうか?。

 そんなこんなで質問が全て終わると、グレイさんが部屋から出て行き、再びついて行くか行かないかの討論が始まった。見た感じは、賛成派が少し多くなったな。回り道を選んだのだろう。

 俺は、その様子を見るが、あいも変わらずこちらを突き刺すような視線を送ってきている為何も出来ない。

 しばらく話を聞いていると、功太が寄ってきて話を始めた。


「お前がナイフを欲しかった理由はまぁ解ってたんだけどさ、あんな所でナイフなんて作ったらヤバイなと思って作らなかったから、お前がそんな事態に陥るとは思わなかった…すまん。」

「…あぁ、視線の事か?。気付いてたんだな。」

「いやだって、あいつらの目ずっとお前に向いてたからな?。気づくわ。」


 功太はどうやら視線の事には気付いていた様だ。ついでに俺の考えも。

 因みに今着いて行くのに反対な奴らは、結城とそのハーレム達だな。

 自分の力不足を一番悔しんでるのはまぁまぁわかる気がするが、それでも俺は言いたい事がある。

 しかし、こちらを貫く程の鋭い視線。めっちゃ痛い。…視線だけで人を殺せる才能って凄いと思う。

 俺が困っていた所に1人の男子が立ち上がる。

 そう、皆大好き[2次元の嫁を3次元に連れてくる夢の具現者]の秋原葉斗君だ。

 …決して秋原葉(ry。


「勇輝、お前が急いでいるのもわかる気がする…でもな、俺達も[オウルム王国]の人達の敵討ちをしたいと思っているんだ。俺達はこっちに来たばっかなんだよ。素のステータスとかは高くても、他が足りない。今は力を溜めた方がいいんだよ。これは逃げる事じゃない。回り道なんだよ。騎士団の人達に教えてもらって、俺達が必死になって頑張れば必ずあいつ(ヘェルメェール)にも勝てるんだよ。」


 その彼の説得は結城達の心に響き、俺達は1つの目的に向かって一致団結した。

 ついでにその後、結城達となんとか和解できた俺は、クラスの定位置に戻る事ができた。

 刺すような視線はすぐに無くなり、いつもの調子に戻って良かった。


 そしてクラスでグレイに報告しに行き、俺達は[元オウルム王国騎士団第十一特別師団候補生]として日夜努力の鍛練と、護衛に明け暮れる事になる。


 そして五日目の今日に至る。

 現在は、出発の準備が出来るまでの六日目までの基礎体力強化期間の最終日だ。2つのチームに分かれて休憩と訓練を交互に行う形式だ。

 因みに現在は休憩中

 指導官はグレイさん。グレイさんはどうやらとても教えるのが上手いようで、レベルが1なのにどんどんとステータスが上がっていく。人によっては1500越えをした人も居るとか。


 と、基礎体力強化の成果は出ていて、少し決意が柔らかかったいじめっ子ーズもステータスが上がるのが楽しいのかどんどんと進んでやっている。



 そんなこんなで時間は過ぎて行き、色々とすっ飛ばし就寝時間になった。

 夜は更け、窓の外からぼんやりと入る月光が砦の内部を淡く照らしている。どうしても眠りにつけなかった俺は砦の窓から、ぼんやりと空に浮かんだいくつもの星を眺めていた。

 すると、見ていた星の1つが少しずつ大きくなっているのを見つけた。最初は笑っていたものの、どんどんと大きくなる星を見て、これはヤバイのでは無いだろうかと思い騎士の人達に報告しようとするが、その時俺はある事に気付いた。


 大きくなっている星。あれは星では無かった。落ちて来ている発光する何かだ。俺は急いで屋上に行き、空を見上げる。少しずつ落ちてくる発光物体。それはなんなのか、気になって仕方がなかった。


 その発光物体は段々とこちらに近づいてくる。まさか何かの魔物か?。そう考え、思わず身構えてしまう。

 その発光物体が直前まで近づき、ヤバイと思いながら腕でガードする様な姿勢をとり、せめて何も見ない様にと、目を瞑る。

 しかし、何も起こらなかった。何秒が経ってもだ。恐る恐る目を開き、ガードを解除する。

 目の前には、光るクリスタルが、ぷかぷかと宙に浮いていた。


「なんだ、これ?。」


 そう呟きながら恐る恐るクリスタルを握る。

 瞬間、パリンッというクリスタルが割れる音と共に体を翠の暖かい光が包む。

 不意にステータスが開いた。

 ーーーーーー


 草加 清(16)

 Lv-1


 筋力…147

 頭脳…184

 速度…246

 技能…846


 魔力濃度…B

 魔力強度…A


 魔力量100/100

 体力143/143


 スキル

[経験値乗化Lv2(up!)] [ステータス増強Lv1(完全隠蔽中)] [勇者Lv1] [自然神の力1/8(new!!)]


 ーーーーーー


 は?。

思ったけど、クラスメート達感受性って言うのかな?。なんか感受性高いよね()。

では次回をお楽しみに。

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