第2話 崩壊と2回目の転移
次も遅れると思います。
クラスメート達に着いて行くと、先程の玉座の間(?)とはまた違う巨大なホールへと案内された。
ホールは横にかなり広く、高さも5から8メートルほどある。奥行きは特に広く、奥端の所付近にいる人を見ても、顔が判別出来ないだろう。
天井からは、シャンデリアが数個吊り下がっていて豪勢な雰囲気だが、壁は大理石に銀色の柱があるといった様な派手すぎないものであり、これなら緊張しながらもなんとか夕食が食べられそうだった。
ホールを見渡していると奥の方に、幕が降りている事に気付き、何か空間がある事を感じた。
さて、どうすれば良いのだろうか?。
周りのクラスメートもそう思っているのかただ周りを見渡したり少し時間を潰す様な事をしている。
すると、しばらくしてからメイド服を着たキツそうな眼鏡の女性が来た。
「こちらで御座います。勇者様方。」
眼鏡を一回キッと上げると、俺達を席に案内した。着いた席には、大きめの円机の上に花瓶が乗っていてその円机を囲む様に、一つの机につき6個ずつ椅子がある。
「じゃあ、みんな。各自で六人の班を作って。」
と結城が率先してみんなを率いようとする。それに対してみんなの反応は良好、素直に結城の言葉が行き渡っている。流石''勇者王''勇者王だけあってリーダーの才能…カリスマ性はダントツレベルなんすね。
「キヨシ、一緒の班行こうぜ。」
「おう、功太が知り合いというか友達がいると過ごしやすいよな、比較的。」
そう言って俺らは2人組となり、残り4人程との班に入らなきゃいけないわけだ。
キョロキョロと辺りを見渡し、余っている班を探す。
…オタクチームといじめっ子&いじめられっ子チームだな。余りは。
「班に入れてくれ、秋原。」
「おけ。…てっきりいじめられっ子チーム行くかと思ってたわw。」
「申し訳ないが、俺は仮面ラ●ダーシリーズのファンではあるが、別に、正義面をするつもりは無いしな。」
「余っている所は2人組の女子チーム2つと、4人組のいじ子チームとイケメン男子チーム。どっちでも女子と組むし、あいつら女子とか結城の前だと虐めないから俺達がここに入る事によってあの秋葉君を間接的に守る……っていう作戦だろ?。」
「分析すなし、ていうかそんなに深く考えてねぇよ。ヲタク共の前だと話が合えば話易いんだよ!。」
結局ヲタクチームへと合流し、ヲタクチームでそれぞれの推し異世界転生もしくは異世界転移系ラノベの話に花を咲かせた。
そうしてしばらく喋っていると、ガラガラガラという音と共に舞台の幕が上がった。
そうして上がった幕の奥の舞台の上に男が立っていた。
体は痩せ目で、おしゃれな眼鏡を掛けた、秘書風の男だった。
男は綺麗な礼をしてから、これまた綺麗な姿勢で話し始めた。
「異界の勇者の皆様方。お集まり頂きありがとうございます。さて、今晩の夕食は、これからの皆様の活躍を祈って!我々の救世主を祝うために、豪華な晩餐となっております。では。」
そう言って男が指パッチンをすると、何もなかった席に、急に食べ物が現れた。
見た感じは、高級そうなものでは無く、現世でもよく見た唐揚げやステーキ、オニオンサラダなどがある。
「かつて召喚された勇者様方の遺した、[異界の料理]を多く用意しました。ではごゆっくり。」
そう言い終わると、男はまた綺麗な礼をし、幕が下がった。
それと同時に、ホールに歓声が響き渡った。
恐らくは、日本の料理がある事を知り、舞い上がってるとかだろう。
俺達の机のグループは、歓声というか、喜びの声は上げなかったもののいきなり元の世界の料理が食べれる事に驚き、少しハイテンションな状態で色々とこれからについて想像しながら、それぞれのやりたい事を話し合った。
やがて全員が食べ終わる。
どうやら皆んな腹が十二分に膨れたようで、全員が腹をさすっている。
しばらく待ち、消化が大体終わった頃。
外がうるさすぎる事に気付いた。
どうやら全員感知していた様で、「何かが起こっているのか!?」や「今度は何?」と困惑している。そこで、リーダーである結城が全員を率いて外へ確認に向かう。
が、流石に全員は無理だという事で、結城と、そのハーレムメンバーと、広範囲の味方にステルス機能を付与するスキルを持った''影山 景虎が、扉を出て偵察に向かった。
結城達が偵察へと向かった所で、幕の間から、秘書風の男が現れた。
「異界の勇者様方…逃げてください。」
その言葉がホールに響き渡る。秘書風の男は肩を上下させながら、必死に喋る。
「奴らが、魔王に使役された、魔族達がやって来ます……奴らは、魔族であって魔族では無い。心を無くした魔族だ。だからこそ奴らに容赦は無い。勇者様方…魔王を倒してください…。」
そう秘書風の男が言い終わると、強烈な衝撃波と共に、幕と壁と、秘書風の男が吹き飛んで来た。辺り一面に砂埃が舞う。クラスメートの殆どがいきなりの展開にびっくりし、パニック状態に陥っている。
ゆっくりと砂埃が晴れていき、そいつは現れた。
「''心が無い魔族''とは心外だなぁぁ。俺達にはちゃぁぁんと、心があるぜぇ?。''戦いを愉しむっていう心がなぁ!ヒャハハハハハハハハァァ!。情け無用ぉっ!それが戦いの唯一のルールだろう?。」
そういって奴は如何にも悪役っぽい声で、そして如何にも悪役っぽい台詞で登場した。
「そういえば自己紹介をするのを忘れていたなぁ!。俺こそが、''魔王属四天王''!!。核爆弾の[メェルヘェール]だぁぁっ!。覚えておくと、冥土の土産にいいかもなぁぁ。なぁ…勇者さん方?。」
そう言って彼はその手に持っていた獲物を大きく振り、砂埃を一気に晴らす。
その行為によって奴の姿、その全貌が明らかになる。
体は10メートルにも達しようかという大きさで。その額に全てを貫く様な猛々しい一角が天を刺すように生えており、その眼は血走り、狂った様な目つきでこちらを覗いている。肌は全身が金属の様な光沢を持ち、体の所々に血管の様に全身に張り巡らせされた深い亀裂からは、燃えたぎる様なマグマが見え、まるで体の中のマグマを金属の体で無理やり抑え込んでいる様な印象を受ける。また、胴体部と、足の股関節部と肩部を覆う様に黒い金属の鎧を着込んでいる。腕は金属ながら、筋肉質で、両手の甲からそれぞれ3本の鋭利な爪が出ていて、その右手で、まるで柱の様に太い棍を握っている。そして、足は短く退化しており、そのかわりに背中に烏のような漆黒の翼が生えている。
その姿を見て、クラスの殆どが腰を抜かして、心を恐怖に支配されている。
なんてったっていきなりストーリーを全体的に見たときの中ボスレベルの相手が、チュートリアル前に来るというクソゲ仕様。その上負けイベとかでは無く、真面目に勝たないと進められない上に、一回でも死ねば自分も死ぬ。ゲームでは無く現実でRPGをプレイするのは不可能に近い。何故ならゲームのキャラクターとは違って俺達には、恐怖という感情があるし、一回でも死んだらコンティニューなんか出来ない。
先に動いたのは、結城達だった。さっきの轟音を聞きつけて、急いで戻ってきたのだろう。呼吸が荒い。結城は、その腕から光の剣を形成し、メェルヘェールへと駆け出した。同時に気魅が思い切り地面を蹴り跳躍する。残りはいつのまにか使えるようになっている魔法を詠唱しているようで、その証拠に彼女達の足元には魔法陣が蒼色に発光している。
メェルヘェールはその棍を素早く振るが、そうして上がって土埃に紛れて2人の姿が消えた。
土埃が去った後には、薄く見える2つの陽炎と消えた2人を探すメェルヘェールが見えた。
どうやら影山君のステルス機能でステルスしているようだ。
そして、キョロキョロと周りを見渡すメェルヘェールの眼前でステルスが解除され、その拳が叩きつけられる。
ドゴォォンという轟音と共にメェルヘェールの首が少し動く。
がそれだけだ。気魅はすぐに掴まれ、こちらへ投げ捨てられた。
「ひでぇなぁぁ…そんな卑怯な手はよぉぉぉぉぉ!。」
そう言ってメェルヘェールはその棍を強く地面に打ち付けた。
直後に、地面で大きな爆発が起こり、メェルヘェールの周りが吹き飛ぶ。そしてメェルヘェールがその腕を軽く振ると、風が巻き起こり、ステルス機能の解除された結城が地面に打ち付けられる。
そして、メンバー全員が駆けつけ、クラスの全員が揃ったが、万事休す。詰みだ。結城もやられ強いメンバーもやられ、敵は一体だが、圧倒的に強い。
奴がこっちを見て、その棍を引きずりながらこちらへと歩いて来る。
その顔は笑顔だ。狂ったように口角を上げて、歯を見せて笑っている。こいつは本当に俺達を殺すつもりだと本能が囁く。
逃げたいが、やられるだけだ。そう感じ半ば諦めた状態でいる。
奴の射程距離に入った。奴はその棍を大きく振り上げた。笑顔のままだ。
奴がその棍を頂点に掲げた。周囲のクラスメートも諦めの表情や涙を流し恐怖した表情になっている。
奴の棍が振り下ろされた、段々と加速していく。スローモーションの様に全てが遅い。しかし空気の肌触りがいつもより痛い。
奴の顔は笑っている。これ以上ない程につり上がった笑顔だ。もう棍の先が中間地点まで来た。
俺は目を瞑った。自分が死ぬのは見たくない。
もう、何秒たっただろうか。衝撃波は来ているのに痛みはこない。もしかしたら既に…。そう思って目を開けた。
目の前に映ったのは、爆撃に怯む奴の姿だった。しかし、傷は無い。それを見た瞬間にどんどんと加速していく様な気がした。
いや、加速しているのでは無い。感覚が戻っていた。
奴を撃ったのは?、そう思い急いで周りを見渡す。
半壊した城の壁から砲撃する影があった。
「勇者様方、ここは我々が引きつけます。…必ず、魔王を倒してください。」
とその影の方から声が聞こえた。それは紛れもなく王様の声だった。
「お前らぁぁ…お楽しみの…邪魔をすんじゃねぇぇぇ!。」
そう言って奴は棍でなぎ払おうとするが、爆撃の衝撃で上手く薙ぎ払えない。
それと同時に、俺達の周りを囲う様に蒼い魔法陣が形成された。
振り向くとメェルヘェールに吹き飛ばされた秘書風の男がこちらにその右手をかざしている。
秘書風の男は、満身創痍という言葉すら生温い様な姿をしていた。左腕は既に無く、全身の至る所に穴が貫通していたり、瓦礫が深く刺さっている。傷口からは赤い血がコポコポと洪水のように溢れ出し、男の周囲を赤黒く染め、その口からは血反吐を吐き出している。
もはや立っていられる筈のない傷を負いながら、その男は右手を翳して立っている。笑顔で。
しかし、その笑顔はメェルヘェールの血に狂ったような笑みでは無く、まるで誰かを励まし、元気づけるような微笑みだった。
魔法陣は粒子を放ちながら輝きを増してゆく。
やがてその輝きが、俺達の視界を完全に覆った。一瞬の浮遊感と共にーーー
俺たちは砦の様な場所へと飛ばされたのだった。
いきなりのこの展開だよっ!。なんか悲しくなる…かな。
プラスα
メェルヘェール
種族=魔王族
Lv547
筋力:6459
知力242
素早さ2486
技能6666
魔力濃度:B
魔力硬度:S
Mp4662/4662
HP66666/66666
スキル
[魔棍術Lv10] [古武術Lv6] [飛行Lv9] [核爆裂] [魔力武器Lv7]
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[核爆裂]
核分裂反応や、核自体を爆発させることが出来る。しかし、自分の感知できる範囲にある物で、更に生物または植物を構成する核を対象には出来ない。
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これ以外は本編で紹介したい所存。