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第20話 街での騒動

久しぶりの投稿。

最近世間はヤバいですが、私は元気です(謎の報告)

…私なんかが元気で良いんだろうか


「おい思いっきり外れてんぞ予想。」

『仕方ないね。何事にも例外はあるものだよ。』

「おいおい。で今度は何目的だろうな。」

『いやこれは普通に…抗争だね。神の頭脳の名探偵こと私が予想するに、今崩れたのは街で1、2を争う商会だと思うね。』


たしかに砂煙の間からは、時々売り物が多種類見えることから、商人の店かなんかなんだろうがそれがどうしたのだろうか。

所で、神の頭脳は間違ってはいないけど、名探偵では無いよな?。


『そう、つまり、今回の件は、この街で1、2を争う仮名、A商会とB商会の2つの抗争に起因すると考えたね。』

「うん、だけど、教会に関してははどう関連づけするんだ?。」

『ふむ、それは簡単だ、その片方に対して贔屓していた、だから壊した。そういうことでしょ。』

「なるほど。じゃあ帰るか。」


どうせ現地に行ってもやる事は無い。それどころか邪魔になるだろう。

というわけで野次馬はトンズラしよう。

というか荷物運ばなきゃヤバい。

一分一秒も惜しい。


「跳ぶか」

『いいねぇ、でも大丈夫?』


大丈夫じゃないだろう。

実際着地の時船が大きく揺れると思う。

というか普通にアリスに空間転移してもらった方が早いな。


『あいよー。』


次の瞬間、目の前の空間にヒビが入り、隙間が開いた。その先には、船の倉庫が見える。

その隙間に向かって俺は真っ直ぐに飛び込んだ。

瞬間、空気が変化し、気づけば船の中へと移動していた。

荷物は…っと後まだいくつかあるなぁ。


『なぁアリス。この荷物一気に持って行きたいんだけど、転移後何回か頼めるか。』

『別に大丈夫だよ。減るもんでも無いし。』

「じゃあよろしく。」


そうして、転移というある意味ズル技を使って、数十分の内に荷物を全て運び出すことに成功したのだった。

仕事もし終わったので、街に繰り出そうとすると、目の前に大男が立ち塞がった。カストフだ。


「なんの用だ?。給料はしっかり受領済みだぞ。」

「いや、そういう話じゃない、さっき起きた建築物の崩壊についての話だ。」

「あー…教会と商会っぽい所が崩れた奴だな。」

「あぁ、それだ。急いで行かなきゃいけんかもしれない。」

「どこにだよ。落ち着いて、要点をまとめてから話せって。」

「それを語るには、俺の目的から語らなきゃいけないんだが、簡単にいえば"海の神をぶっ潰す事"だ。」

「は?。何言ってんだお前。神倒すとか殺すとかありなのか?。」


近くにいるであろうアリスに聞く。


『そうだね、アリっていうか、そもそもそこに関しては自由だしね。だけど、神殺しなんて相応の覚悟と力が必要だよ。神の権能はもちろんとして、眷属と呼ばれる忠実な兵士が呆れるぐらいの数がいて、その上相手の有利なフィールドで戦わなきゃいけない。勝つのは無理だと思うよ』

「なるほど。じゃあカストフはなんでその海神とやらに挑もうとしているんだ?。」

「奴の気まぐれで、未だ海路は安定しない。そして奴の方針で、外の大陸へ進出できないってだけだ。海賊の本質は、海専門の冒険者だからな、冒険の邪魔をするような奴はぶっ潰すのが普通だろ。」

「オーケー、じゃあ、勝算に関しては…」

「無い。全くと言っていいほど無い。」

「なんでそんな状況で挑もうとすんだよ」

「今回の建物の崩壊事件。実はな、海神の仕業なんだよ。奴は、自らの眷属である『深き者』を使ってあの2つを崩落させた。実際。崩壊した際に、半魚人のような醜悪な顔を見たという証言もある。海神に喧嘩を売ったのは俺たちだ。今回の件はおそらく俺たちへの挑発だろう。被害がこれ以上重ならない内に、手早くこの街を離れ、奴の元へと向かう。」


カストフは、どこか強迫観念に取り憑かれたような声色でそう言った。

これは断固決定事項だろう。


「なるほど、その海神の場所はわかってるのか?。それと、この話を俺だけにするのはどういう意図があってだ?。」

「あぁ、勿論だ。意外とこの近くでな。この時期なら、奴の神殿は浮上している筈だ。それと、キヨシこの話をお前だけにしたのはお前の協力が必要だからだ。奴を倒すのに、お前はかなり役に立つ。」

「そうか?。深き者にも苦戦するのにな。あ、協力は勿論するぞ。対価は、海神を倒し終わった後、お前の権能を俺に譲ることだ。」

「あぁ、俺は海神を倒して、無事自由を手に入れられればな。」

「じゃあ契約完了だな。俺が活躍できるのは戦闘と、雑用だけだがよろしく。」

「おう、頼んだぞ。じゃあ伝える事は伝えたので、明日…は食糧とかの調達で、明後日は荷物の積み込みをするから…明々後日の早朝、日が昇る時に出発するから遅れるんじゃねぇぞ。」

「おう」


そう言いながら何処かへと駆け出したカストフ。船長という身分ゆえ、色々あるのだろう。宴会だとか。

さて、明々後日まで時間が空いた訳だがどうするか。

…まだ日は高い。恐らく三時過ぎくらいか。だとすれば、開いてる筈だし行ってみよう。

船を飛び出し、街の人に道を聞きながら、目的の場所へと向かう。

着いた場所は…冒険者ギルドである。

木を基礎としたレンガ造りの巨大な建物で、入り口の所に、ぶらりと吊り下げられたギルドの看板がさながら酒場のような雰囲気を醸し出していた。

少し気圧されそうになるが、とりあえず入ろうか。

扉を開け、中を覗く。

既に夕方ごろだからか、それともさっきの崩壊事件に人を回しているのか中に人は殆どおらず、かなり静かだった。

ゆっくりと、受付に向かう。


「すいません、冒険者登録をしに来たんですが…」

「あ、はいわかりました。ではこちらの用紙にご記入ください。」


受付の人がカウンターの下から1枚の紙を取り出す。

記入項目は、名前と、アピールポイント、希望する役割を書くようだ。

本当にこれだけなのか気になって来た。

とりあえず名前に『キヨシ』とだけ書き、後はアドバイスを貰ってみるか。


「あの、このアピールポイントと、希望する役割の欄はどういった事を書けば良いのでしょう?。」

「そうですね。アピールポイントは、自分の得意なスキルや特徴などを書かれる方が多いです。希望の役職に関しては、パーティを組む時に、どんな立ち回りをしたいかを書いてくださるとわかりやすいと思います。例えば、タンクと呼ばれる前衛職でしたり、回復役(ヒーラー)でしたり斥候役(シーフ)でしたり。どちらもほかの冒険者の方とパーティを組む時に必要になるほか、希望の役によっては、定期的に冒険者ギルドの方で講習会があります。」

「なるほど。」


つまりこのアピールポイントと、対応できる役職でパーティを組み、依頼を完了させるのが主なスタイルなのだろう。

じゃあ早速、アピールポイントに、「教えられれば大体できるようになります」とでも書いておこう。


『うっわ…』


いやこれが本当の事だからな?。

スキルのせいだけどもね?

なんでかなり引いてるんだ。

さて、後は希望する役職か…。

受付の人が出した他にどんな役職があるんだろうか?。


『普通にアタッカーでいいんじゃ無いの?。殴れるでしょ?。』

『確かにそうだけども、ヘイト管理が難しそうだからなぁ…』

『他には……。サポーターだとか、ポーターだとか、デバッファーとか……かな?。』


なるほど、ポーターか。

それなら荷物運びという理由でほかの役割のやり方を見れるし、戦闘の邪魔とかもしなくて大丈夫だな。

記入欄にポーターと書き、受付に提出する。

受付の人はしばらく用紙を読み、


「わかりました。では、契約料の銀貨1枚をお願いします。それと、ギルドについての説明は要りますか?。」

「一応お願いします。」

「では。」


受付の人は再びカウンターの下から紙を取り出した。

どうやら、説明用のフリップのようだ。


________________________


・冒険者ギルドとは

冒険者ギルドは、約1000年ほど前に設立された、冒険者を支援する団体です。

現在ではその活動の殆どが、国からの支援で賄われており、その為、冒険者活動には公共の衛生を保つ為の活動も行う事となります。

冒険者ギルドに所属する冒険者は、依頼という形で、各地の魔物の討伐から猫探しまで、幅の広い範囲でギルド側から仕事を斡旋されます。

また、依頼以外で討伐した魔物などを持ち込んで頂いた場合、公正な値段で取引致します。


ギルド内の階級について

冒険者ギルドでは、DからA、そして最高ランクのSまでの5つの階級が存在しています。

しかし、これは必ずしも個人間での強さを決める物ではなく、魔物という脅威に対する判断や、対応する力などを考慮した総合的な面での評価を基にし、ギルド側が定期的に行うランク検定試験にて、こちらで判断させていただきます。

尚、その評価基準には、国や、ギルド、民間への貢献度も評価に入っております。


(以下は、DからSまでの強さの基準となっておりますが、この基準が全てを決める物ではございません。)


・Dランク

一対一で、Dランク魔物を討伐できる

・Cランク

一対一で、Cランク魔物を討伐できる

・Bランク

一対一で、Bランク魔物を討伐できる

・Aランク

一対一で、Aランク魔物を討伐できる

・Sランク

一対一で、Sランク魔物を討伐できる


・魔物のランク

冒険者にも階級が存在するのと同じで、魔物にも階級が存在しています。

しかし、このランクは単体での強さでのみで判定する事が非常に多いほか、場合によっては、群体で本領を発揮する魔物もいるため、確定は出来ません。


・範囲指定外

基本的に害はそれほどない魔物


・Dランク魔物

単体で、戦闘力の無い民間人を圧倒する

もしくは、小さな農村に小さな被害を与えるレベル


・Cランク魔物

単体で、農村にある程度の被害を与える

もしくは、壁のある街に小さな被害を与えるレベル


・Bランク魔物

単体で農村を壊滅させる

もしくは、壁のある街にある程度の被害を与えるレベル


・Aランク魔物

小さな街を壊滅させる

もしくは大きな街ににある程度の被害を与えるレベル


・Sランク魔物

都市部が壊滅する可能性がかなり高い

もしくは、小さな国を壊滅させるレベル


・SSランク魔物

国家が壊滅する

確認された報告はかなり少ないです


・EXランク魔物

形容する事ができない

世界が壊滅するレベルだと考えられている

今現在確認された報告が勿論無いため、近年、廃止議論が続けられています


・規約

冒険者といえど、国からの支援で活動を行う以上、公務員という立場になる為、ルールを守らない無法を働く事は許されません。

その1.

冒険者たるもの、公共の風俗を乱す事は許されません

その2.

冒険者同士の私闘を禁ずる、尚、各都市部のギルドにある訓練場での試合はこの規約には抵触しない。

その3.

たとえ、自分よりも下のランクの指示だとしても、緊急時、指揮がその者にあるならば、必ず従う事。

その4.

他人の成果を奪い、それを自分の成果として偽るのを禁ずる

その5.

偽りの情報をギルドに提供し、いたずらに情報を乱すのを禁ずる、これに抵触したとみなした場合、極刑に処す


これら魔物にランクをつける事や、報告や情報からその魔物の特性を特定をするなど、冒険者ギルドは、日々冒険者の皆様のために活動をしております。

規約を守り、是非楽しい冒険者ライフを送りましょう


_________________________


成る程、だいたいわかった。

最後の一文には、『アットホームな職場です』と同じような闇を感じる。

魔物のランクがSSランクまであるのを見ると、やっぱりSランクの冒険者でも勝てないのが出てくる事があるんだろうな。


「…わかりました」


と言いながらフリップを返す。

意外と重たい。


「ありがとうございます。わからない所などございましたら、ご自由に質問をどうぞ。あと、こちらこの周辺の魔物に関するデータがまとめられた冊子になります。」


貰ったのは、試し読み用なのか凄く薄っぺらい紙束である。ホッチキスの様なもので止めてある訳でもなく、手を離したらすぐ散らばってしまいそうだ。

これは冊子と呼べるのだろうか?。

因みにだが、周りを見渡してみると完全版があった。

六法全書並みの厚みを持つ資料である。

しかも年度ごとに更新されているようだ。

お値段なんと銀貨50枚

今手元にあるのは15枚程なので普通に手が届かない。


「質問は特にございませんね。こちら、見習い用のギルドカードとなります。ちょうど明日の朝方から、ギルドの試験がありますので是非ご参加ください。」


冊子に続きカードをもらう。

とりあえず今日は日が暮れ始めているし、帰るかな。


『おぉ、つまり異世界初の宿屋だね。存分に楽しむといいよ。』


誇らしげにそういうアリス。姿は見えないが、きっとドヤ顔で胸を張っているに違いないだろう。

だが、しかし。


『いつ宿屋に泊まると俺は言ったんだ?。時間的にはもう夕方だ。取れる宿は少ないだろう。あとお金も節約したい。つまりだ。』

『つまり…?』


固唾を飲むようにして、アリスが返す。

無言とともに、冷や汗が流れるだろう緊張感が、2人を支配する。


『つまり、今日は船で寝るぞい。』

『だぁぁぁぁぁぁっ!ふざけんなぁぁっ!せっかく!せっかくこの街の宿屋を事前にリストアップしてきたのに…!』


とほほ…という声と共に、目の前にぽっかりと穴が開き、中から修学旅行のしおりのような冊子がぽんっと落ちてきた。

表紙には、[宿屋の手引き]とある意味シンプルな名前が手書きで書かれていた。

表紙の絵も、裏表紙の絵も、恐らくアリスだろう。

そこには人であろう生物が、港町を背景(バック)に立っている様子が描かれている。

背景はかなり上手く、単色ながらも、殆どの色が見える。

その反面、人物像はまるで埴輪を水でかなり崩したような不定形。人の顔、手、部分部分だけを見れば独創的だが、動きが描写しきれていないそれは、ある意味なんらかの呪いのようにも見えた。

ちなみに裏表紙には海と太陽という背景だけだった。


「…うん」

『…うん』


アリスからの無言の圧力。宿に泊まれという呪いにも似た脅迫に、冷や汗が流れる。

だがしかし、船に転移した時には手ぶらで武器もなかった俺が新しい武器を得るためにはお金が必要である。

まだ相場を確認していない以上、明日まで出来るだけお金を浪費するのは避けたい。

つまり、


「よし、船で寝るか!」

『なんでさ、せっかく作ったのになんでなのよ…』

「安心してくれ、明日は宿屋泊まりだ。早めにとって楽しもうじゃないか。」

『2日がかりで作ったのが1日しか使わないって…。そんなのってないでしょう?…ねぇ。』

「なに、よくあることさ…」


実際、数時間の会議のうち、数十分の発言に何日もかかる人が沢山いたりするし、十分良くあることなのでセーフです。

とりあえずこれ以上ごねられる前にササッと船まで行くとしよう。

それはともかく、書き溜めの物なので、ほんの少し間を開けて続きを投稿します。

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