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第15話 どうやらここは

前書きに書くことがあまり無いです。


5月って何も無いですよね…。


あ、そういえば主人公の設定が全然息してない……。

海賊の船、だろう。

どうみてもそうとしか思えない。船員の顔は荒くれ者のいわゆるゴツい顔で、船といい乗員といい、どう考えても海賊の船である。どこからどうみても善良な貨物船などには見えない。

漁船かもしれないと一瞬考えるが、誰も釣竿をもっておらず、また、引き揚げた網などもない。

今の時間は昼頃なので、獲れなかっと考えても明らかにおかしい。

他の漁の仕方もファンタジーだしあるのかも知れないが、俺にはどう見ても海賊船にしか見えない。

というわけでこの船を海賊船(仮)と称する事にする。


『普通に考えて海賊船でしょ。まぁ賊とは言ってるけど海を専門とする冒険者に近いよ。』


まじかよ。

想像してたのはひとつなぎの大秘宝を追い求める某漫画なのだが、どうやらこっちは悪い奴らって訳でもないのか。

あれも悪い奴等ばっかって訳でも無かったが。


このままで居てもどうにもならない。

とりあえず話しかけてみるか。

えーっと聞きたい事は、ここが何処で、そちらは何者なのか。って感じか?。


「あのーすいません。ここは何処でしょうか?」


肩に手をかけて聞いてみる。忙しそうだがまぁ仕方ない。


「ァァン?オメェ何聞いてやがる。海の上に決まってんだろうが。というかオメェ見ねぇ顔だな。」


うんまぁそうなるよね。

海賊と思わしき男はのしのしと、船室の方へと歩いて行ってしまった。

どうしたんだろうか、さっきまで忙しそうだったのに。

取り敢えず少し待ってみることにする。

海はテレビでみるもののように綺麗な色をしていて、日本の海水浴場などで見る物とは透明度が違う。

それにしても揺れが少ない。

地球の船と比べても、揺れが全くと言っていいほど感じない。


『いやいや船って普通に揺れあるはずだよ?。』

『やっぱりそうだよな。もしかして魔法とかそういう類のやつだったり?。』

『そういう魔法とかあったっけかなー?。』

『神なんだし、覚えてるもんじゃないのか?。』

『管轄違いです。私は自然の神、魔法は、魔の神さま的なのが担当してるはず。』

『そういうもんなのか。』


そうして海を眺めている内に、どうやらさっきの人が戻って来たようだ。

彼は、俺の事を見つけると、こっちに向かって来る。


「あぁいたいた。お前、頭でも打ったのか?」


ガチャリと、俺の腕に手錠がかけられた。

頑張れば壊せそうだが、いきなり敵対されないだけマシだ。

今は怪しんでる程度だからまだ大丈夫だ。と思う。


「俺は何処に連れてかれるんですかね?。」


おそらく独房的な閉鎖空間だろうが、もしかしたら船長的なやつの前に連れてかれて拷問というルートもある。


「そりゃ勿論空いてる部屋だろ。」

「うん、ああ、うん。」


どういう事だ?。てっきり牢屋的なところだと思っていたんだが。


『いやー、千だか百年前だかの知識はアテにならないね。』

『おう、その事を先に言ってくれや。』

『ごめんごめん。』


大人しく、男の後ろをついていくと、やがて小さな小部屋に辿り着いた。

普通なら倉庫にでも使われていそうな密閉された空間だ。

内部は驚くほどに何もない。


「ここにでも入っとけ。ちゃんと飯とかは最低限出る。あとトイレは…まぁ我慢しとけ。」


中世ってトイレないのかな?。

船の上にトイレがあっても処理とかどうしろという話だけども。


「うぃっす。」


そう答えると、男は部屋を出て何処かへと行った。

耳で聞くだけじゃ、ほとんど情報が得られないな。

はっきり言って暇だ。

何もない閉鎖空間。しかも手も縛られている。

どうしろと。

この状況で暇を潰せる程自分が能天気だとは思いたく無い。


『これは、不味いかも知れない。』

「は?。」


暇だからって俺を怖がらせようとしないで。

怖いから。


『いや、怖がらせるつもりは無いんだけど、もしかしたら、戦闘になるかも知れないから注意しといて。』

『どういう事だよ。』

『この船の船長は多分だけど、権能の欠片を保持してるよ。』


はい?、権能の欠片ってあの自然神さんが何たらかんたらの奴かー。

ただちょっとまて。


『なんでわかるんだよ?。』

『揺れないように船を動かしている方法は、船に触れた部分の水を意図的に動かして、調整してるみたいなんだけど、その機構に、生物的な魔力を感じないの。』


生物的な魔力?ナニソレ


『生物は、生きる為に活動を行うんだけど、この世界の神は、世界を生きさせる為に活動する機構なの。』

『ほぉ、いい例えが思い浮かばないが、なんかオンゲに似てる気がしなくも無い。』

『オンゲって何よ。』

『世界中の色々な場所にいる友達と、テレパシー的なので会話しながらやる遊びだ。』


生物はプレイヤー側、もしくはNPCみたいな感じでやりたい事を行い、神さまはそのゲームが遊びやすいように世界のバランスとかを調整する運営。みたいな感じだろう。多分そう。きっとそう。


『まぁオンゲ?は1度置いといて、取り敢えず神さまが使用する魔力は、無機質で無駄が無いの。まぁそういう感じの魔力を使う人もいるにはいるけどこの船に乗ってるとは考えられないの。』

『つまり、相手は権能持ちの可能性が高い、と。というか、権能持ちって名称ってなんか地味な気がするんだが、呼び方変えないか?。』

『どういうのがいいの?。』

『ホルダーとか?。』

『全然意味が変わって無いじゃん。まぁホルダーでもいいんじゃない?。』


少し引かれてた気がするが、気にしない気にしない。

いや、どっちかというと呆れているのかもしれない。

姿が見えないと表情がわからないから意外と不便だなー。


そう思っていると、どうやらこの船の船長、もしくは副船長が来たみたいだ。


「キャプテン、こちらです。」

「おう。」


なんかキャプテンって呼ばれてるみたいだし多分そうだろう。

声は俺より10から20程年上の声だった。

もしこのキャプテンとやらが、ホルダーだとするなら、多分やばいかも知れない。そう考え、取り敢えず[ステータス増強]を発動させ、キャプテンが部屋に入ってくるのを待つ。


ガチャリ、と扉が開かれ、ダンディーなイケメンが部屋の中は入ってきた。

黒い布地に赤いラインが入った海賊帽を被り、これまた黒い布地服を着た、所謂典型的な海賊の船長である。

ハリウッド映画でよく見る様な綺麗な顔立ちをしていて、細マッチョという体系に似合う顔である。

触ったら痛そうな無精髭の為、何処か抜けたオッさんに見える。


「おう、こいつが密航者か。」

「そうですキャプテン。」

「ちゃんと全員で確認したよなぁ…。」


おかしいなぁ、といった感じに首を傾げる。

やっぱり俺は密航者扱いか。


「…で君名前はなんていうの?。」


いきなり名前を聞かれた。

イケメン野郎に本名を教えるのはなんか癪なので、偽名を使ってみる。


「俺は…」


どうしようか、良い名前が思いつかない。

ゴールデン・ロジャーみたいな感じにしようかと思ったが、正直面白みの欠片も無い。

どうしようか。

取り敢えず目の前の男に鑑定をしてみる。

ふむふむ。

名前は、カストフ・カール

何かのスキル持ちなのか、鑑定が効かず、名前しか見ることが出来ない。

しばらく考えるが、どんな名前にしても後々面倒な気しかしなくなってきた。

イケメンに名乗るのは癪だが仕方ない。


「俺はキヨシと言います。」


カストフは関心なさそうにまた質問する。


「…そうか、で、目的は?。」

「海賊になりたかった?。」


即答である。そもそも俺は転移魔法で飛ばされた、いわば事故でここに来てしまったので理由などない。


「なんで疑問系なのかは知らんが、うちで拾う事はできねぇな。」

「なんでさ。」

「とくに理由はねぇ。強いて言うなら人件費の問題だ。」


あ、そこか。てっきり子供だからとか言われると思ったんだが…。

まぁそんなことはいいだろう。


『で、どうするの?』


頭に声が響いた。

一瞬アリスかと思うが、明らかに声が違った。

よく見れば、カストフの後ろに、アリスに似た存在の気配を感じ取ることができる。

まじでホルダーだったのか…。


『まさか感が当たるとは、凄いな。』

『ドヤァ…。』

『俺からしたら姿が見えないからドヤ顔しててもわからんが、取り敢えずドヤァって言うのはムカッと来るからやめようか。』

『わかった。じゃあ見えるようになったらやるよ。』

『まじか…。え、待ってお前見えるようになんのか?。』

『あれ、言ってなかった?。自然神の人格が、力を取り戻すのにはある程度の段階を踏まなきゃいけないんだよ。まず、適合前のフェーズ0。この状態だと、ただ世界中を回るだけで、感情とかも何も無いよ。そして、適合すると。適合相手のステータスにスキルとして登録されるよ。でそこから更に数日かけて適合相手からエネルギーと、記憶を吸収して、人格と感情を形成する。その後、更にエネルギーを吸収して、権能を使えるようになって、更にそれから、体が形成される。っていう感じ。』

『まじかよ。』


たしかに、よく見てみればカストフも、その人格の方を向いて話をしている気がする。

まぁ、俺が人格さんの気配(っぽいもの)が掴めているから、普通に気配の方見て話しているのかも知んない。

そうして、カストフの方を見ていると、急にこちらに向き、半ば投げやりな感じで問いかけて来た。


「そういやお前、どうやって潜り込んだ?。」

「どうって…転移魔法…ですかねぇ。」

「何言ってやがるんだ。こんな海のど真ん中、それも船の上にピンポイントで転送させる魔法なんてねぇだろ。」

「いやー、そうなんですけど、俺としては本当の事なんですよ。」

「はぁ…。取り敢えずこの部屋にいろよ?。最低限の食事と寝床は提供する。次の港で降ろすぞ。まったく運が良いやつなのか悪い奴なのか…。」


そういいながらキャプテン(とその手下と思われる屈強な野郎)は部屋を出て行った。ご丁寧に鍵もかけて。

残ったのは殺風景なこの部屋のみ。


「あぁ…暇だな。」


天を仰いでも空は見えず見慣れない天井が見えるだけである。

何か変わる事があってもそれは、雨漏れして、垂れてくる雫程度である。


『待って雫?。』

『あぁ、ほらあそこから垂れてるぞ。』

『それはおかしいよ。この船、揺れが無いからそんな雫が何滴も垂れてくるほどの水が甲板の上に入ると思う?。』

『まぁ、たしかに。』


そうして天井を再び見つめた直後、別部分の天井。が赤く染まった。コポポっといった音を出しながら、赤い液体が目の前の床へと垂れた。


「は…?」


一瞬頭が真っ白になる。

同時に、上の方が慌ただしくなった。

靴が甲板を強く叩く音が増え、そしてその振動がこちらにも伝わっている。

上の方で想定外の何かが起こったに違いないだろう。

さて、それがもし敵の襲撃ならば、助けに行って恩を売れるのだろうが、もしなんらかの事故だった場合、俺がただ損をするだけだ。


『ちょっとアリスさん見てきて。』

『大人しくしてればいつかは出られるじゃん。』

『そうだけども、出来るだけ早く出たいじゃん。』

『うーん…。ホルダーがいるし気が乗らないけど…』


そういいながらアリスの気配的なのが遠ざかっていく。

今のうちに縄でも外しとこうか。

破ったらまずいけど、どう外すか…。

関節を外すとか聞いた事があるが、痛そうだしやだなぁ。

そういえば、足は普通に動かせるんだよな。

手は動かせないが、このままでも行けるんでなかろうか。


『上、戦闘してるよ。』

『まじかよ。』


不意にアリスから声をかけられる。

どうやら俺は今のところ運が良いようで、どうにか作戦通りに事が進みそうだ。


立ち上がり、腕を縛られたままドアへと向かう。


「どんな感じだった?。」

『なんか大きい船に襲撃されてるみたい。ていうか、普通に喋ってるし、そもそも縛られたままでドア開けられるの?。』

「いや無理だよ。」


そういいながらドアを蹴破る。

が、ドアに穴が空くだけだった。しかも、足が挟まり動けない。


『ちょっ……。』

「おい、笑うな。ここからだ、ここから。」


足を無理やり引き抜くと、穴が広がった。これは怒られ確定だな。

気を取り直して、今度はドアにタックルをする。

ガタッという音と共にドアが外れた。

よし、これで脱出だ。

適当に廊下を周り、階段を見つけ、登ると、外の光が見えてきた。

勢いよく外へと飛び出す。

先程とは違い巨大な船が空を覆い隠すようにして、船の横に佇んでいた。

既に周りは血の海となっており、その殆どが、謎の魚人の死体だった。


「これは……あの巨大な船から来てんのか?。」


そういいながら空を見上げると、空から何かが降ってきている。

魚人だ。垂直に落下する魚人は、仲間の死体をクッションにして着地した。

それに続いてどんどんと、上から魚人が降ってくる。

降ってきた魚人は死体とは違い、顔がはっきりと見える。

ブヨブヨとした皮膚には鱗が生え、目は魚のような魚眼。その左右の目はそれぞれ違う方向を向いていて、それが気味の悪さを増大させる。

なんか皮膚もヌルヌルというかヌメヌメしてるし、触りたくねぇ。

やべぇ。これ武器ないとダメなパータンじゃん。

海賊達は、俺には目を向ける余裕がないのか、無視している。

これは丁度いいかもしれん。

縄を無理やり引きちぎり、周りに武器が無いかを探す。


「あった。」


魚人と海賊が格闘している激戦区の中心に、血に塗れたカトラスが刺さっていた。

海といえば海賊。

海賊といえばカトラスだと勝手に思ってます。


次回の投稿は多分遅れます。

申し訳ございません。

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