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第14話 再びの…

だいぶ遅れましたね…。

申し訳ないです。

使っていたiPadが諸事情により使えなくなり、更に投稿が遅れます。


 妖精の森に、朝の光が差し込む。

 既に俺たちは転移の扉へと向かう準備を完了させていて、あとは出発の合図を待つのみだった。


「では、出発!」


 団長が出発の合図を出し、騎士団全体が行軍を始める。

 恐らく、その全員の顔が今度こそは救うという決意に満ちているだろう。という程に息のあった猛々しい行軍だった。


 転移の扉は、多くの人は運べるが、大きな物、馬車は運べない。

 その為、一度馬車をアイテムボックスにしまい、歩いて転移の扉へと向かうらしい。

 どうやるのかは時間の都合上見せてくれることはなかった。正直な話どうやってあの馬車を仕舞うのかとか結構きになる。

 先頭では団長が、転移の扉の鍵となるマジックアイテムを掲げ、広場中央へと騎士団を導いている。


『うぉー、すんごい気迫だね。』

『そうだな、これは甲子園とかそういうレベルの気迫だ。…甲子園見たことないけども。』

『それは…どう言い返せばいいの…?』


 申し訳ない。

 そうして、団長が残り数メートルまで。というところまで進むと、木がねじれながら、横へと広がり門の様な形状に変化した。

 変形した時点で既に門は開いており、アリスのつくった時空のひずみとは違い、先が見えない暗黒空間になっている。

 何が違うんだろう?


『この前の時空の歪み的なのは、3次元に2次元の扉AとBを作って繋げた感じなんだけども、今回の場合は3次元に2次元の扉Aを作ってそれを世界と世界の間とかにある隙間に繋げて、そこからまた同じような手順でこっちの世界に戻ってくる感じ?。』

「やべぇ、全然わかんねぇ。」

「ん?どうした清。なんかわかんない所とかあったか?。」

「いや、ふつうにあの旅○扉みたいなのを鑑定したかったんだが、全然わからなくてさ。」

「あぁ…確かに○の扉っぽいよな。」


 危なかったぁ…。

 変な人だらけのグループだが、その中で1番の変人にはなりたくない。

 まぁ、なんとかなったしいいか。

 そう思っていると、既に旅の○へと最初の集団が転移した。

 今思うとブラックホールみたいな黒い裂け目に入るって中々勇気があるよなぁ。

 続いて2つ目の集団が進んでいく。

 因みに俺たちは第3集団にいる。

 この集団は師団ごとに分かれているらしいが…。話を聞いてなかったため知らない。

 確かここの集団を率いるのは、ペイドさん。

 魔法を主に使う第2師団の師団長だ…った気がする。


「では第3班!出発だ!。」


 ペイドさんが、声を大きくする魔道具を使用し、全体に出発の号令をかける。

 …ていうか集団じゃなくて班か、


『大丈夫?さっきからだいぶ間違い多いよ?。説明の時に寝るほどだしさ。』

『ん?、あぁ…。やっぱり昨日なんちゃってソードでワールドなTRPGごっこをするんじゃ無かったか…』

『T…RPG?とか、ソードなワールドとかは知らないけど夜更かししすぎるのは良くないよ。』

『まぁ、確かにな。というか眠いとかじゃなくて純粋に体調悪い気がするんだよなぁ。』

『そっちの方が不味いって…』


 まぁ、ちょっとした立ちくらみだかは大体しばらく待ってれば大丈夫だし。ちょっと視界が揺れて焦点が定まらなくなるだけだから別に転移するだけなら問題ないだろう。

 そう言っているうちに、転移の扉はすぐ目の前まで来ていた。

 あと30センチメートル程で一瞬のうちに潜り抜けるだろう。

 しかし、なんか気になり、とっさに手を入れてみると、水面に手を突っ込んだような波紋が広がった。

 …そういえば前の人もそうだったな。

 そうして次の瞬間、周囲は白と黒が螺旋状に混ざりながら道を形成している。

 うわぁ…酔いそう。


「なんかどっかで見たことある気がする…。」

「騙し絵でありそうな光景だよな。」

「酔いそうだな…ていうか酔った。」

「おい大丈夫か。」


 正宗がダウンしたようだ。まぁこんな所を中心に向かって歩く事は無いだろうし、なんか見てるだけで目が疲れてくるし、気持ちはわかる。わかりすぎる。

 というかここどこだ。次元のひずみ通った時にはこんな道無かったぞ。


『さっきも説明したけど世界の隙間だね。だから2つの世界が混ざりあって白黒螺旋なのよ。因みに隙間が3つの世界と隣接してたら赤青緑のどれかが混ざってくるよ。』

『その中だったら緑がいいなぁ。』


 緑色っていうのは目を休める効果もあるらしいし。

 まぁ白黒に緑色混ざってても大分浮くけどね。


 しばらく進んでいくと、前方の方で列が混んでいる事に気付いた。

 ていうか人が飛んでる。血も吹き出ているみたいだが、白黒螺旋に接した時点で巻き込まれて白黒に染められていく。


「敵襲…?。なんでここで…。」


 呟きが漏れる。


「敵襲…まじか。確かに人が飛んでるな。色々謎はあるが、取り敢えず加勢に行くぞ。」

「結城、列が混みすぎていて駄目だ!。」

「どうして騎士たちは動かないんだ!?。隊列が戦闘するのに不向きだ!。」


 そう言って結城が目の前の騎士の肩を掴む。


「動かないんじゃ無い…。動けないんだ。見えない鎖が俺らの体を固定しているように、俺たちはあいつを視認してから一歩も動けていない。」


 騎士はぎこちない喋り方でそう答えた。


「敵はバインド系の能力か…?。視認…という事は目関係のスキルの可能性がある。」

「結城。白黒が螺旋を描いている事からまさかとは思っていたが、どうやらこの空間は円柱形らしい。行こうと思えば騎士の横を走り抜けられるぞ。」

「取り敢えず横を抜けてから左右から攻撃するのがいいかもしれない。でも現在相手の数と能力は未知数なのと、後ろから来る仲間に対して状況を説明をする必要があるから、2~3人ぐらい残して、グループを4つに分ける。それで1.2グループが先に攻撃し、敵攻略の糸口を探し、3.4グループが攻略する感じで。」

「OKわかった。」


 結果、グループぎめの方法は単純にクラスから4人抜き出して、後は並んでいた順に4等分にするという事で決定した。

 伝令役として残ったのは小村と伊藤、星井、そして藤村。

 後はそれぞれが分かれている。


「時間も無いし。行くよ!」


 結城の合図と共に全員が一斉に動き出した。

 ちなみに俺は第一陣であるので、結構急がなければ遅れてしまいそうである。まぁ遅れるとか関係なしに急ぐ状況なのだが。


 ピクリとも動け無い騎士の束を横から抜かしていき、中心部で騎士たちを投げ飛ばしている正体へと近づく。

 最前列を抜かし、それを見据えた。

 その姿は黒い法衣に身を包んだ妖しい雰囲気の女性だ。

 背は騎士と変わらないぐらいで、両手に鎖を持ち、それを有り得ないような速度で振り回して騎士たちを根こそぎ吹き飛ばしている。

 鎖自体がかなり硬いのか、騎士の鎧は凹んだり、中には引きちぎられたようなものもある。

 ふと、彼女がこちらを見た。

 その眼光は鋭く、こちらを獲物としか思っていないような冷徹な目だった。

 一瞬体の動きが鈍る。まずい。動きを止められた。周りも同じようだ。

 女性の方を再び見ると、既に鎖の先端に取り付けられた刃物がこちらを狙って飛んできている。

 狙いは、俺の頭部だ。間に合わない。

 と、一瞬思ったがある事に気付く。

 今までに比べてかなり遅いが、動く事が出来ている。

 おそらく敵の能力はステータスダウン系なのだろう。もしくは自分と同程度のステータスかそれ以上のステータスには効かないと言った可能性もある。

 そうと決まれば…、[ステータス増強]を発動させる。

 体の重みがいくらか取り除かれ、相手の攻撃を避けるか受け止める程度ならばできるようになった。

 取り敢えず鎖を掴み、引っ張る。がビクともしない。

 それだけパワーが強いのだろう。


「この魔眼を食らって動ける人間がいるとはね…。勇者なのだろうけど、後ろの彼らが動けてない事を見るに、どうやらチートと呼ばれる能力を使っているようね。」


 バレバレである。能力の特定がされていないだけマシかと思ったが良く考えてみると、相手がそれを言って居ないだけという場合もありえる。

 切り札と言えるものはまだある、出来るだけ冷静に行こう。


「その手。離してくださらない?。」


 女性が、鎖を振るい、此方を投げ飛ばしそうとする。

 が、俺はなんとか鎖を掴み耐えぬく。

 しかし怪力すぎて、鎖にヒビが入り、そこから2つに分かれる。

 その結果、俺は振られていた鎖の勢いのままに空へと投げ出された。

 勢いあまり、360度に回転する俺の視界は、白黒螺旋の世界のせいで、更に酔い易さを増し、俺の三半規管を刺激する。


「うぇっぷ」


 と吐き気を催しそうになった直後背中に衝撃が走る。

 どうやら壁ならぶつかったらしい。

 そもそもが壁の位置など分からなかったために完全な不意打ちだ。

 その後地面に強く打ち付けられた。

 そのせいで体はボロボロとなり、ほぼ動く事は出来ない。

 レベルは高いのだが、そもそもステータス増強スキルの補正が乗らないHPは低かった。持久走を真面目にやらなかったのがここで出ている気がする。


 体は痛いし、まともに動かないしかなり絶望的な状況だ。

 諦めようとすれば、諦めることも出来るだろう。

 しかし、諦めるのはまだ早い。

 女性の後ろには結城が迫って来ていて今にもその首元へと剣を振り下ろすだろう所まで来ている。

 だが足りない、彼女すぐに振り向き、結城を睨め付け束縛するだろう。

 だから何か、それをする為に支援行動をとらなければならない。


『そこはぜひ任せて欲しいんだけどなぁ。まぁいいや勝手に動くけど、いいよね?。』

『申し訳ない、頼んだ。』


 もがきをやめ、ただ結果を見るために前を向く。


 女性が振り返る最中、結城の周りの空間が歪み、ねじ曲がり結城の姿が完全に隠れた。

 そして、同時にこちら側にまで歪みは発生し、こちらでは、騎士が落とした剣が勢い良く射出され、彼女の喉元へと迫る。


 振り返った先に何も無い事を確認した女性は、背後から喉元に迫る剣へとむきなおり、一瞬でその全てを叩き落とした。

 しかし、アリスの狙いはそれである。

 女性の背後の空間から突如結城が飛び出し、女性へと袈裟斬りの一太刀を浴びせた。

 血が勢い良く吹き出し、白黒螺旋の床を汚すがその血はすぐさま螺旋に飲まれきえていった。

 しかし女性はそれを物ともしない様子で再び結城の方はと向く。


「どんな手品かはわからないけど、なかなかやるじゃ無い、あなた。さっきの子と違って魔眼を使うと動けなくなるけど、まぁいいわ。気に入ったし、コレクションとして保存しても良さそうね。」

「どう…いう、ことだ…?」


 結城は女性のいう魔眼の効果を受け、動けない状態で何とか声を出す。


「だいぶ辛そうね、口ぐらいは動かせるようにしてあげる。どういう事って…それはそのままの意味でとってもらって構わないわ。」


 なるほど、普通に結城をコレクションに…。

 っておい、俺たちの世界の常識ではありえない行動だぞ、それとも常識が違ったり?。

 人をコレクションするとか趣味悪すぎだろう。


「あら、感謝して欲しいわね、オウルム王国から解放してあげるのだから。」

「それは…どういう…?。」


 俺としては、解放はありがたいが、ちょっとタイミングが悪すぎるし、魔族の無差別攻撃を見ると信用はできない。


「聞けば貴方達を召喚した魔術師とやらは『こちらと敵対している魔族に心は無い』と語ったみたいだけど、私達にもしっかりと心は残っているわ。私達としては、出来るだけ人間と戦いたくはないのだけれど。」


 じゃあなんで戦ってんだあんた。

 命令だからか?。

 と、聞いてみたいのだが、口が動かん。

 結城の後ろについていった奴らも殆どが、動けない状態になっている。

 ステータスを見ることも出来ないし、作戦などをたてる事も出来ない。


「…まぁ心の有る無しは置いといて、魔族とオウルム王国には因縁があるのを知っているわね。」

「…たしか十何代目くらいの王様が魔族を極端に嫌っていたとか…」

「魔族を嫌っていたのは18代目からずっとよ。数年ほど前から魔国の方では凶作が続いているの。私達は一番近い国であるこの国に助けを求めたわ。ちゃんとトンネルを作る費用や、相手側にもメリットを提示したりして計画は順調に進むと思ってた。」

「ってことは…。」

「オウルム王国側が、計画段階の最初の最初に断ったの。『この計画はダメだ』って。特に理由も語らなかったわ。とにかくダメだダメだわしがダメと言ったらダメなんじゃ。って感じで。」


 衝撃の真実。

 まぁ薄々、0.05mmくらいはそんなことを思っていた。最初に怪しいと思ったのもあの王様だったし。


「それは…本当の事なんですか…?。」

「騎士にでも聞いてみたらいいんじゃ無いかしら?。多分この国は裕福で、魔国は貧困だと聞いていると思うけど。」

「ああ、その通りだ。この国は裕福で、魔国の方は貧困だと聞いている。王は、魔国にトンネルを掘り、物資を送っていると言っていたが、まさかそれも偽りなのか…?。」


 そう言ったのはグレイ団長だ。

 ここは先頭集団とはぐれた集団のようで、どうやら団長は、先頭集団から戻ってきたようだ。


「団長…。そんな…?。」


 結城は信じて寄りかかることが出来るなにかを失ったような表情で言う。


「そうだ、我が国は魔国から攻められる前から内部抗争が絶えないような状況だった。だが、そうして争っていたのは一部の貴族のみだ。ならば、どうして我々が争う必要がある。たとえ王が神罰を受ける悪だとしても、民衆は無実であろう?。」

「そうですわね、だから私も戦いたく無いのです。しかし、私が許そうと、彼らは、他の四天王達は止まることはありませんし、私もせっかく見つけたコレクションを逃したくはありません。」

「ふむ、その言動。つまり、勇者方を他の場所に転移させてくれるのですかね。」

「いえ、そうするつもりはありません。けど、まぁいいでしょう。」

「そうしてくれると、こちらも助かる。勇者とはいえまだ子供だ。戦場に連れて行きすぎるのはよくないのでな。」

「では、この空間もちょうどいいですし、この空間を使って転移させましょうか。」


 そんなこと出来るのか…。四天王だかを同列のように言っているし、それだけのレベルでもおかしくないわな。


「…準備は出来ましたわ。最後かもしれませんわよ。」

「言葉はいらない。彼らに合わせる顔がないからな。私は後手に回ってばかりの間抜けな騎士団長だったからな。」


 全員がそれに対して何か言葉を出そうとするが、どうしても動く事、声を出すことが出来ない。

 そうしてもがいているうちに、いつのまにか人が消えていた。何も無い空間で、先程とは違い、青い粒子が周囲を覆っていてそこに限りは見えなかった。


「ここは…?」


 いつのまにか声を出せるようになっていた。

 また、体も問題なく動かす事が出来た。


『ここは転移用の別空間みたいなところだよ。』


 アリスもいるらしい。

 なら充分か。あれ?


『…なんで白黒螺旋じゃ無いんだ?。』

『さっきの所は1から2の場所に行くための通路で、他の場所に行かないような処置なんだよ。つまり、私達は、ランダムの場所に飛ばされると思うよ。』

『まじか、火山とかに行ったら死ぬぞ。』

『大丈夫だよ、安全な所に行くからね。』


 どうやらランダムテレポートは安全らしい。良かった。火山とか海底とかに飛ばされたら終わりだもんな。


 と、ある場所から、光が溢れ出てきた。

 楕円形に広がっていくその光の様子は、まるで、ビックバンのCGを見ているようだ。

 やがて光が俺を覆い尽くした。

 立ちくらみのような曖昧さが目を襲い、地面の感覚が変わり転移したことを知る。

 くらみが引いて、周りを見渡す。


 辺り一面の青い海、空から照りつける太陽。

 揺れる地面に、せわしなく働くガラの悪い男達。

 極め付けは、帆として張っている髑髏の旗。

 それらは海賊の船のようで…、


 ていうか海賊じゃん。

まさかの海賊です。

ありきたりなベターな気がしますが、これで自然神がなんちゃらかんちゃら出来ます。


ていうか見直してて思いましたが、主人公、仮面ラ○ダー好きというより、色々なネタが好きなタイプでは…?。

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