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ヴェンデッタ  作者: 白銀悠一
最終章
35/45

聖戦

 老人がドアを開けると、金髪の青年が装備を整えている所だった。

「ライド。どこへ行くのだ」

「決まってんだろ。シュウを助けに行く」

 ラミレスを一蹴し、ライドは猟銃を手に取る。

 部屋を出ようとして、ラミレスに止められた。

「邪魔すんなって」

「待て。そのまま行っても足手まといなだけだ」

 ラミレスに制され、ライドは苛立たしげに舌打ちした。

「ならどうすんだよ。ここで待ってろってのか?」

「違う。今お前が出来る最大の援護をするのだ」

 ラミレスはライドを手招きし、どこかへ出かけて行った。



「じゃあね、ターニャちゃん」

 ラクアがターニャに別れを告げる。だが、ターニャは納得していないようだ。

「……お兄様。本当にダメなの? 私も……」

「ダメだ。お前は、城を守れ」

 タクスはターニャに厳しい口調で言った。

「城の守りなら……」

 ターニャが辺りを見回す。

 シュウ達は、雷の国から、土の国へと移動していた。

 今いる場所はフォレスト城であり、準備が整い次第、保管庫なる秘宝の在り処へと、向かう予定だ。

「教団がどう動くかわからない」

 タクスがターニャを諫めるが、彼女はむっとして反論した。

「それを言うなら皆そうじゃない。どこの国も王族が不在なんだから」

 ターニャがタクスの後ろに立つ、王達を見ながら言う。

 確かにターニャの言い分は筋が通っている。

 今更、一国だけ王女が残った所で何の意味もないのかもしれない。

 しかし、タクスの本心は戦術的な意味合いなどではなく、兄としての思いやり……気遣いとしてのそれだった。

「ターニャ。タクスを困らせてはダメ」

 カナがターニャを諫める。親友に諫められ、ターニャは若干気落ちした。

「でも……私だけ……」

「私もいますよ、ターニャ様」

 スーラがターニャの横に立った。

 タクスの前なので、猫を被った状態だ。

「そうだよねー、スーラはしっかりとお城を守らないと!」

 タクスの肩に乗っていたサニーが実に嬉しそうな顔をする。

 反対に、ほんのわずか、スーラの顔がどす黒くなったが、それに気付いたのはラクアとサニー、カナだけだった。

「くそ……。ええ、ですから、私と共に、民を見守りましょう」

 引きつった笑みでスーラがターニャに微笑む。

 ターニャは苦笑しつつ、納得した。

「……わかったわ。……無事で帰ってきて」

「わかってる」

 カナがターニャの手を取り、力強く頷いた。

 話が終わったことを確認したシュウは馬に跨る。

 他の仲間達も各々の馬に乗った。

「セフィロ。バーン、無事でね」

 リクがセフィロとバーンの馬の横に立ち別れを告げる。

「ええ。帰ってきたら、話しましょ。今後の事について……」

「問題ねえ。セフィロは俺が守ってやる」

 バーンが馬の上からリクの頭を叩いた。

 痛い、とリクは頭を抑える。

「お爺様も……」

 クラウディアがグラムの馬に駆け寄った。

 グラムはその頭を撫でながら微笑む。

「問題ない。ワシは強いからな」

「うん。パパのパパだもんね」

 リクとクラウディアがターニャ達の元へ戻った。

「シュウ。そろそろ……」

 セレナがシュウを見つめる。

「分かってる。行くぞ!」

 シュウが号令を出し、馬で駆け出す。

 もはや隠す必要がなくなった仮面をつけて、最後の戦いへ赴こうとしていた。



「では、私は奴を迎えに」

「頼みます。失敗作ではありますが、その戦闘力を買っていますので」

 アルドはお辞儀をして、馬へ跨ると、駆けて行った。

「我々はあなたについて行けばよろしいですかな?」

 ウストンが聖王に訊ねる。

 セントは頷き、シュトナ城の周りに集まった兵団を見つめ、蒼い騎士がいないことに気付いた。

「彼らは?」

「……どこへ向かったのか私には分かりかねます。……気にする必要はないかと」

 セントは苦笑して、白と深紅の騎士団へと振り向いた。

「さて。今こそ、千年を超える悲願の成就を成します。敵は僅かです。一気に殲滅し、秘宝を奪い取り……世界を救いましょう」

 セントは黄金に輝く鎧を太陽に反射させながら、馬へ跨った。

 そして、馬の脇腹を蹴って、駆け出す。

 白い街並みの中でその黄金はとても目立った。

 隣を並走していたウストンがセントの装備を確認し、訊ねてくる。

「武器が見当たりませんが」

「ええ。先に向かっているはずです」



 

 適度に休憩を挟みながら一向はとうとう、保管庫があると言われる、荒野の大地を踏みしめた。

 あちこちに錆びた建造物……砦の残骸のようなものや、風化した家屋のような物が見られる。

「……戦いの跡だね」

「ええ。かつてここで戦いがあったはずです」

 馬を降りたラクアが興味深々にその残骸を見つめる。

「……銃がなかった時代か……」

 シュウも馬を降り、その廃墟の中へと入った。

 他の仲間もそれに続く。

 明かりが必要なほどではないが、薄暗い。広いとも言えなかった。

 壁には剣が立てかけてある。

 狭い通路を進んでいると、ラクアが声を上げて、何かに躓いた。

 カナが倒れないよう、その体を支える。

「おっちょこちょい……」

「ごめん……ひっ!」

 ラクアが自分を転ばせる原因となった物を見て声を上げる。

 古めかしい鎧を纏った骸骨だ。

「……気をつけろ。そこら辺に転がっている」

 タクスが似たような死体を見つけ、注意した。

「……お化けとか出ないわよね……」

 セフィロが槍を握りしめ、注意深く見回す。

 怯えた背中を見て、バーンが笑った。

「んなもん出るわけないだろ!」

「そうとも限らないよ?」

 タクスの肩を離れたサニーがバーンへと飛んでいく。サニーはバーンの前で滞空した。

「おい、こっち来るんじゃねえ」

 豪快に笑い飛ばしていたバーンはセフィロと同じように怯える。

 バーンは妖精が苦手なのだ。

 その事を知らないサニーは首を傾げつつ、話を続けた。

「長老がよく昔話してたんだけどね……その中に、ぴったりな話があるの」

「なに? 何の話?」

 ラクアが目を輝かせながら近づいてきた。

「戦いに明け暮れた戦士達はね……自分が死んでも、その事に気付かないで戦いを続けるの」

「ちょっとやめて!」

 セフィロが耳を塞ぐ。

 離れた所から彼らを眺めていたシュウとセレナ、グラムとタクスは緊張感のなさに嘆息した。

 そもそも、今の話のどこに怖い要素が隠れているのか。

「しかし、軍を連れて来なくて本当に良かったのか?」

 グラムが談笑を眺めながら、シュウに訊いた。

「軍の実力を過少評価している訳ではありませんが、彼らがいると、遺物の力を最大限に発揮できないと思いまして」

「確かに」

 タクスが頷く。遺物が本領を発揮すれば、敵に甚大な被害を与えるものの、それは自分達にも返ってきかねない。

「それに、人々を戦いに巻き込むというのも賛成しかねます」

「……耳が痛いな」

 セレナの言葉にグラムが顔をしかめる。

「あ、いや、あなたを非難したわけでは……」

「構わん。……そう言えば、今だ話し合っていなかったな」

「……何の事で?」

 シュウがグラムを見返す。

「秘宝の願い事についてだが……」

 その言葉にシュウとセレナ、タクスに緊張が奔る。

 今まで、先送りにしてきた命題だ。

 だが、シュウ達がその事を議論することはなかった。

 サニーが悲鳴を上げたのである。

 慌てて振り返ると、サニーが骸骨の兵士に掴まれていた。

「サニー!」

 タクスが斧を振るう。

 ガレキの中から岩の塊が飛び出し、骸骨を粉々にした。

「で、出た! お化け!」

 セフィロが取り乱す。その背中をバーンが思いっきり叩いた。

「しっかりしろ! お化けじゃねえ、魔物だ!」

 カタカタ、と音を立てて、周囲の骸骨達が立ち上がる。

 シュウは拳銃を抜き、射撃を始めた。

 ラクアが杖で吹き飛ばそうとするが、狭い建物内では、本領を発揮できない。

「下がって。私がやる」

 カナがラクアの前に立ち、刀で骸骨を切り裂く。

「……外に出るぞ!」

 シュウは刀を抜き、骸骨を斬りながら、駆ける。

 皆頷き、彼に続いたが、緑髪の女性だけは違った。

 震えていて、動けない。

「おい! セフィロ!」

 走っていたバーンが引き返した。

 大剣を振るい、炎で骸骨を燃やしながら彼女の傍へと戻る。

「む、無理……怖い……」

「くそ! だから妖精は嫌いなんだ!」

 バーンがセフィロを立ち上がらせ、出口へと連れていく。

 その後ろを骸骨達が追い始めた。

「誰か! 手を貸してくれ!」

 普段なら何の敵でもないが、セフィロを支えているせいで、剣を振るえない。

 その様子を見たシュウが閃き、叫んだ。

「火の衣を纏え! セフィロにもだ!」

 意図は分からないものの、バーンはシュウの指示に従った。

 バーンの大剣が輝き、二人を赤い膜が包む。

 直後、豪炎が狭い廊下の中に流れ込んできた。

 二人の後ろを追いかけていた骸骨達は、一人残らず消し炭になった。

 バーンは息を吐いて、廃墟の外へと出る。

「助かったぜ。今のは……」

「私。ごめん……ちょっと調子に乗っちゃった……」

 サニーが謝る。バーンは気にするなと言わんばかりに手を振った。

「助かったならいいさ。っと、それ以上は来るな……」

 手でサニーを制しながら、バーンはセフィロの肩を叩いた。

「あ……もういない?」

「いない……と言いたいところだが」

 シュウが応えようとして、銃を構える。

 その先には司祭のような恰好をした骸骨が立っていた。

 司祭が手を振ると、近くの死体が先程と同じように組み立てられる。

「こいつが原因だな」

「ここなら!」

 ラクアが杖を振るう。すると、剣を手に取り突撃しようとした骸骨が凍った。

 続けて、グラムが鎚を振りかざす。

 雷が迸り、凍った骸骨を打ち砕いていく。

 骸骨兵士のほとんどは何もすることなく砕け散った。

 残るは司祭だけだ。

 司祭は何やら十字架のような物を取り出し、手を組んだ。

 光の球が煌めき、シュウ達へ向かってくる。

 シュウは左腕を突出し、その光球を吸い取った。

 光の球は連射出来ないらしく、司祭は再び祈りを捧げようとする。

 その隙にセレナが近づき、拳を叩きこむ。

 拳で打ち砕かれた骸骨は跡形もなく砕け落ちた。

「これで終わりですか」

 セレナが拳に着いた骨滓を落としながら言う。

 シュウとカナが辺りを注意深く見渡し、何もない事を確認する。

「問題ない。シュウは?」

「こっちも何も感じない。……保管庫はどこだ?」

 シュウがあちこちを見回し……気になっていた巨大な建物に目を留めた。指をさして、セレナに訊ねる。

「あれは?」

「……恐らくあれが保管庫です。神殿のような建物、だと聞いています」

 ここから少し離れた所にある建物に、視線が集中する。

 色あせてはいるものの、八つの柱に囲まれたその建築物は、どこか神々しい印象を与えていた。

 しかし、神殿の厳めしい扉が、全てを拒絶しているようにも見える。

「あそこに秘宝が……」

「そう。そうだ。先程話せなかった事だが」

 グラムが思い出したようにつぶやいた。歩き出そうとした一行が足を止めて、グラムに注目する。

「願い事はどうするのだ?」

 皆一様に、目の色が変わった。

 それは皆一度考え、先送りにしていたものであり、手に入るその時まで、結論を送らせていたことだ。

 一同に沈黙が奔る。恐らく、皆願いたい事は同じはずだ。

 家族を生き返らせてほしい。愛した者ともう一度逢いたい。

 その中で、セレナだけははっきりとした目で、口を開いた。

「私に一つ、提案があります」

 押し黙っていた戦士達が、白い女性に目を向ける。セレナはきっぱりとした口調で、思っていた事を話した。

「アクアさんを生き返らせましょう。あと一つの願いは……」

 セレナはシュウを見ながら話を続ける。

「アヴィンを生き返らせませんか?」

 その提案に一同が押し黙っていたが、しばらくして、タクスが声を出した。

「なぜその二人なんだ? 不満があるわけではないが……」

「……アクアさんは、シュウの想い人でした。アヴィンは彼の兄。ここまでたどり着けたのはシュウのおかげです。……彼がいなければ、秘宝は手に入らなかったでしょう」

 シュウはセレナが言おうとしている事がわかったが、同意する気にはなれなかった。

「待て、俺は別に……」

「……私は構いません」

 ラクアが同意する。続けてカナも頷いた。

「私もそれでいい」

「フフ……異論はないわ」

 セフィロが肯定する。バーンも声を出した。

「俺もいいぜ。シュウには借りがある」

「いいだろう」

 タクスが腕を組んでシュウを見る。サニーもタクスの肩の上で、笑う。

「私もいいよ。願いたいことはない事もないけど……」

 サニーが意味ありげな視線でタクスを見るが、タクスは気づく様子はない。

 最後に、視線がグラムに集まる。グラムは苦笑し、応えた。

「そのような目で見るな。若い者がそれを望むならワシも何ら異論はない」

「……皆……いいのか?」

 シュウが全員の顔を見渡す。

 返ってきたのは信頼を感じさせる頷きだった。

 だが、これでいいのだろうか。

 そもそも、兄はこれを望んでいるだろうか。

 本当に皆は……願いを自分に託し、それで満足なのか。

「シュウ」

 セレナが迷うシュウに手を差し出す。

「……いいのです。素直に、願いを受け取っても。あなたにはその資格があります。……少なくとも、私はそう信じていますよ」

「……わかった……」

 シュウはセレナの手を握った。

「行こう」

 シュウの言葉に皆が従い、歩き始め…複数の人影を見つけた。

「……あれは……」

「聖王!」

 セレナがシュウの手を放した。拳を握り、白と深紅の騎士団を見据える。

 セントと彼に従う騎士団は、保管庫の前に立ち塞がるように整列していた。

「ようこそ、セレナ。英雄の子孫達よ。神の庭へ!」

 セントが手を開き、抱擁するかのようにこちらへ歩いてくる。

 シュウ達は皆、臨戦態勢に入る。その様子をセントが意外そうな顔で見つめた。

「おや。私は英雄なのですが……その態度、無礼だとは思いませんか?」

「ふざけないでください! 皆、あなたの正体に気付いています!」

 セントが驚いたように目を見開き、拍手を始めた。

「なんと、それは素晴らしい! セレナ。あの出来損ないの娘にしては良くやりましたね」

「……ッ! それは父様の事!?」

 セレナが怒りに顔を歪める。反対にセントは笑みを浮かべていた。

「いやはや、何が起こるかわからない。私は過少評価していましたかね」

 セントがウストンを見つめる。ウストンは何ともいえない、と肩を竦めた。

「ふむ。……貴様がワシの息子を殺したのだな」

 グラムが鎚を構え、セントを睨んだ。

「グラム……そのような言い方、失礼です。私は何もしていませんよ」

「嘘つくんじゃねえ! シンディもお前だろ!」

「私の両親も……あなたの仕業ですわね!」

 バーンとセフィロが、剣と槍を向ける。

「エルフと妖精の長老と俺の両親を殺したのもお前か」

 タクスが斧を持つ手に力を込める。サニーも憤怒の形相で、セントを睨んでいる。

「……兄達を殺したのも……」

 カナが弓で、セントに狙いをつける。

「私のお姉ちゃんを……」

 ラクアが杖を振るい、カナに氷の矢を渡した。

「……アクアを殺し……ライドを攫い……兄を殺したのもお前だな」

 シュウが刀に手をかけ、左手に持った拳銃で狙いつけながら言った。

 各自が言い放った恨み言を聞き、セントは笑い出した。

 笑い終わると、頭に手を当て、シュウ達を見回す。

「いや、おかしいですね……。私は何もしてませんよ。皆、勝手に争い、勝手に死んで行っただけです」

「おかしい事は同意ですな。ハハッ。これが平和の大陸。……なんたる茶番だ……」

 セントの横に立ったウストンが剣を抜いた。鎧と同じく、血のような真っ赤な剣だ。

「よろしいですかな?」

 ウストンがセントに確認する。

「いいですよ。さあ決着をつけましょう!」

 セントの叫びと共に、光と深紅の騎士が動き出す。

 だが、それよりも速く、一人の女性が動いた。

 セレナだ。

 拳を掲げて、真っ直ぐにセントへと向かって行く。

「セレナ! 待て!」

 シュウが慌てて後を追う。

 セレナはシュウの声に耳を貸さなかった。

 もはやこれで最後になるであろう、裏切り。

 一人で戦わないという約束をした、一連托生のパートナーへの唯一の我儘。

 ここでセントを斃せば全てが終わる。

 気づくとセレナは叫んでいた。

 その叫びに呼応するかのように、右手の輝きが大きくなっていく。

 セントが間合いに入った。見慣れない黄金の鎧、その胴に向けて、拳を突き出す。

 これで最後だ。

 セレナはそう確信した。


 が、その拳はセントに受け止められた。

 有り得ない。セレナは驚愕に目を見開く。

 その殴りが、打撃が受け止められたことに驚いている訳ではない。

 光の爆発を受けてなお、無傷のその右手に驚いていた。

「な……ッ!」

「愚かですねえ……セレナ」

 そのまま、左腕でセントはセレナの首を掴む。

「さて……では返してもらいましょう……」

 セントがセレナの胸元へと手を伸ばす。


 シュウが刀を振るい、騎士達を斬り倒しながら進んでいると、セレナが窮地に追い込まれてるのを見た。

「セレナ!」

 シュウがセレナの元へと走るが、騎士達に阻まれ、なかなか辿り着く事が出来ない。

「シュウさん!」

 ラクアが氷の塊を呼び出し、騎士達の間に道を作った。

 カナがシュウの邪魔をする騎士達を射抜いていく。

「シュウ! 行って!」

「助かる!」

 シュウは騎士達の間を駆ける。

 時折飛んでくる閃光が実に煩わしい。

 退け。邪魔をするな。

 シュウは祈りながら駆ける。

「退けえ!」

 セントとセレナの前に立ち塞がった白と赤の騎士。シュウは白の騎士に刀を突き刺し、剣を叩きつけてくる赤騎士の頭を拳銃で撃ち抜いた。

「セレナ!」

 シュウは刀を死体から抜き、セントとセレナに視線を戻した。

 だが、彼が見たのは、セントが恍惚とした表情で、セレナの胸元から、剣を取り出した所だった。

 何だ? なぜセレナから剣が出てくる?

 しかし、その疑問もすぐかき消された。

 セントがセレナを放す。セレナはぐったりした様子で、地面に倒れた。

 シュウは瞠目し、叫んだ。

 叫ばすにはいられなかった。

「セレナ!!」

 


読んで下さった方、ありがとうございました。

後少しで完結(予定)

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