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第一章

神様は私を見放した。世界すべてが。

ゴミ以下の存在だと見下す。

きっと、世界は私を殺したいと願っているのだろう。


1.さよなら、少しの希望


世界は何も変わらず、朝を迎えた。清々しい。

そして私は残酷な一日の幕開けだ。朝は大嫌い。

一日大嫌い。嗚呼、この世に生きるのが辛い。いっそ死んでしまいたい。

学校に行く足取りが重い。学校だってゴミが来るから気が重いだろうに。


「おはよー!千ちゃん」

「...おはよ...」

「元気ないよ?大丈夫」


声をかけて来たのは唯一の友達の青草利奈。

一緒に教室に行こうと手を引っ張る。その力は痛い。

150mの空間。たったこれっぽっちの距離。なのに掴まれた手は真っ赤。

教室に入ればお約束のパターン。無言。クラス内は静まり返る。

今日だけの事ではない。毎日毎日。やってる奴は相当楽しいんだろうな。

机の上には菊の花。まぁとっても綺麗だ。最高。

毎日わざわざ飾ってくれて。嬉しい嬉しい。

無言で自分の机に近付きカバンを横にかける。そして花瓶を持って廊下に出る。

利奈は不安そうな表情で私を見詰める。半分涙目で腕を掴んだ。


「やっぱり先生に...」

「いいよ別に...大丈夫だから」


信用出来るものなんて絶対ないんだ。掴まれた腕を振り放した。

彼女は「ごめん...ね」と一言呟いて泣き始める。


泣いてるんじゃない、腹の底から笑ってるんだ。内心では大笑い大爆笑。

青草は友達と言う仮面を被った悪魔。大体被っているのは仮面じゃない、根から悪魔。


昨日、世界は私を敵に回し、私は世界を敵に回した。


「本当にウザイ」

「誰が?」

「決まってるでしょ?アイツだよ」

「ぇ...千ちゃんの事?」

「当たり前でしょ!あんなウザイのこの世に一人しか居ないでしょ」

「.......」

「あ、で話変わるけど、私ねA組の星沢君から告白されたんだ」

「...あ、よかったじゃん。勿論答えはYESでしょ」

「もち、だけどさぁータダじゃ面白くないでしょ」

「タダじゃって」

「ウザイあいつと一週間付き合えたらいいよ♪みたいな」

「.......」



.........。

昨日、聞いてしまった内容そのまんま。

下らない事ばかり覚えていられる。たまに自分が憎い。


自分が可哀想。なんて絶対に思わない。其処まで自惚れじゃない。

本当に可哀想なのは星沢君。本当に。同情はしたくないけど。

珍しく下駄箱に手紙が突っ込んであると思えば、例のアレ。

放課後に待ってます、か。

手紙をびりびりに破いて近くのゴミ箱に突っ込んだ。


そして、手紙に書いてあった場所に向かう。

嗚呼可哀想。


「星沢くん」

「あ...翠咲さん...僕と付き合ってもらえませんか...」


言いたくもない事無理に言ってるのが判る。

此処で答えを『NO』と出したら私は彼を傷付ける事になる。

『YES』を出してもどちらにせよ、結局は彼を傷付けるのだろう。


「無理しなくていいから、ごめんね私で」

「あ...本当にごめんでも僕は」

「一週間」

「....」

「宜しくね、日向君でいいのかな」

「うん、此方こそ宜しく千」


悲鳴。絶叫。絶望。

笑っている自分が憎い。酷い。

どうせ限定された期間で付き合うのならば私は都合よく利用道具になろう。

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