明日の聖戦 ~英雄と呼ばれた男~
「ベア・バレー総帥、遂に明日ですな」
変わった黒い眼鏡を掛けた男、イシーム将軍が笑みを浮かべながら近付いてくる。彼は私の唯一無二の友人であり、共に数々の歴戦を共にした戦友である。
「これまでの日々、長かった……」
私は涙をぐっとこらえながらも、波のように押し寄せて来る喜びに浸っていた。それほどまでに我が軍は明日という日に向けて恐怖し、期待を寄せていたのだ。一心不乱の大戦争に向けて。
これまで我が軍はこれまで軍備を整えていた。
鬼神にも劣らぬ戦力を有する歩兵。高速ながらも高い火力を有する戦闘機。大艦巨砲主義を極め抜いた戦艦。 一つの部隊に全てをつぎ込む思想が基本であるとされているため、この3つを一度に使う事はこれまでの戦争では誰も成した事は無い。そう、我々は戦争のタブーを犯した!
――3つの精鋭を使う我が軍勢が負けることなど、万に一つも無い。
「さあ、明日に向けて休養を取れ! 朝は早いぞ!」
私はイシーム将軍を始めとする将軍達に休養を呼び掛ける。これまでにない一番の大戦、十分に休みを取り活躍して貰わないといけない。
「はっ! では我々はこれにて!」
古今無双の将軍達が敬礼をし、その場を退出していった。
「ふふっ、待っていろ。明日の決戦、必ずや勝利しみせよう。
勝利は我々の為だけにあるのだから!」
この大いなる戦、激戦になるのは間違無いだろう。しかし、我々の勝利も同時に間違い無いであろう。
◇
遂に決戦の時が来た!
「全軍! 勝利は我々の物である! いざ突撃!」
『うぉおおおおおおおぉおおぉぉおお!!』
陣に構えた私の一声で軍勢は進み征く。3つの精鋭部隊を3人の選ばれし将軍が指揮をする。
――我が軍に、負けは無し!!
「歩兵師団、航空隊、連合艦隊、それぞれ戦闘開始!」
オペレーターが戦闘の報告をする。遂に戦争の火蓋は切って落とされた!
「了解した、それぞれ奮戦せよ!」
私は総合的な指揮をする者として責任を取りながら戦わねばならない。我が軍が負けたら、私は自害しなければならない。いや、負けることは有り得ないのだろうが。
これからの戦い。果たして勝利の女神はどちらへ微笑む?
◇
戦闘が終わった。その報告を得た私は声をあげる。
「戦況を報告!」
「はっ!」
声をあらげる私の一声にたじろぎながらもイシームは応答する。
「フィギュア歩兵師団、同人誌航空隊、同人ゲーム連合艦隊!
全て完売! ――我が軍の勝利です!!」
「よぉおぉぉぉおおおおおおおぉおおおしぃっ!!」
私は喜びにのあまりに叫んだ。遂に勝利を掴んだ。この喜びはこれまでに感じ取ったことは無い!
魅力的な3つの萌え商品を売る新星同人サークル「ヴィクトーリア・ベア・バレー」に負けなど無かった!
ベア・バレー総帥こと、熊谷真一はその後。コミケの英雄としてオタク達から崇められ、軍神として祀られるのであった。
どうも、処女作になります、「エリカの花」です。
コメディーでございます。
寒い、ですかね?
意外性なんて気にせずプロットにづらづら書き綴ったのを作品にしてみました。
つまらない? ごめんなさいw
追記 コミケについてなんですが、同人誌とゲームとフィギュアを同時に売るサークルは無いそうですね。