痛い目にあいました
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痛い目にあいました
「僕は学び舎のちいさな階段。毎日、みんなの足音を聴きながら、心の成長を見守ってきたんだ。今日はおててにちょっぴり大きな怪我をしてしまったけれど、自分の力で素敵な明日を組み立てて、日常生活の楽しさを取り戻していく、とっても真面目な男の子のお話だよ」
ある晴れた日の午後、男の子のタツオは、予期せぬハプニングでおててを刃物で切り刻まれたような深い傷を負ってしまいました。
「うわあああん! 痛い、痛いよサリナさん! 血も出ているし、これから僕のおててはどうなっちゃうんだろう……」
タツオは激しい痛みと、これからの不安で胸がいっぱいになり、大粒の涙をぽろぽろと流して泣いていました。
心配したしっかり者のサリナと一緒に、タツオは急いで街の「ほねつぎの救護所(整形外科)」へと向かいました。
しかし、お医者さんに診てもらうと、先生はあっさりとこう言いました。
「うむ、これは見た目ほど大した傷ではないから大丈夫だよ」
大きな処置をしてもらえなかったタツオは、まだ痛みが続いていたので、頭のねじが緩むような不安が消えませんでした。
すると、救護所の受付の係の人が、タツオの涙目の顔を見て、優しくそっと耳元でアドバイス(セリフ)をくれたのです。
「タツオくん、がっかりしないで。次の日になれば、あそこの『お肌の救護所(皮膚科)』が新しく営業してくれるから、明日そこへ行ってみるといいわよ」
「うん、ありがとう……!」
タツオは受付の人の優しさに少しだけ救われ、その夜はお布団の中で静かに眠りました。
そして次の日、タツオはアドバイス通りにお肌の救護所を訪れました。
そこの皮膚科の先生は、タツオの傷口を診るだけでなく、タツオのお話を本当に「親切丁寧な診察」で聞いてくれました。
「タツオくん、このおてては本当に痛かったね。腫れ上がっていて、ずいぶん辛かったろう。よく耐えて頑張ってここまで来たね」
先生に痛さと腫れの辛さを優しく聞いてもらった瞬間、タツオの胸を支配していた暗い霧(不安)は、ぽかぽかと温かい光に包まれるように、すうっと綺麗に改善していきました。
先生は、おててを「清潔に保つためのお薬」の処方箋をサラサラと綺麗な字で書いてくれました。
お家に帰ったタツオは、お薬を丁寧に塗りました。そして、怪我をしてから二日後(新湯から二日後)、お医者様の許可をもらって、自宅のお風呂へとゆっくり浸かりました。
「あぁ……温かいなぁ。お風呂に入ったら、驚いて凍りついていた心まで、すっきりと気分転換ができたよ!」
お風呂から上がったタツオは、もう後ろ(過去)を振り返るのをやめました。これからはルールを守って、自分の体調管理を一番に大切にしながら、前を向いて歩んでいこうと決意したのです。
お怪我から明けた今日、タツオはお部屋の中でトントンと手際よく動き始めました。
溜まっていた洗濯を綺麗に回し、お部屋の隅々までお道具を使ってピカピカに掃除をしました。さらに、机の前に座って、これからの暮らしを豊かにするための「家計簿の記入」を真面目にパチパチと行いました。
「よし! 仕上げは美味しい夜食づくりだ!」
タツオが台所に立ってお鍋をトン, トンと叩いていると、お友達のケンジやキヨコたちからも、「タツオの作った夜食は世界一だな! わっはっはっ!」と豪快な笑い声が聞こえてくるようでした。
出来上がった温かい夜食を一口食べると、タツオの胸の奥は最高のぬくもりで満たされていきました。
「世の中にはつらいこともあるけれど、こうして自分で日常を綺麗に整えて、明るい世界を考えれば、少しずつ前に進んでいけるんだね」
タツオは、お洗濯やお掃除、お料理といった毎日のささやかな家事の中に、きらきらとした小さな喜びがたくさん隠れていることに気がつきました。不器用でも一歩一歩進むことで、タツオは失いかけていた「日常生活の楽しさ」を、実に見事に、しっかりと取り戻すことができたのです。
夜空には、驚くほど大きくて綺麗な満月がぽっかりと浮かび上がり、おてての痛みがすっかり引いたタツオの未来を、優しく包み込むように照らしていました。タツオはお母様の運転する優しい車に守られているような深い安心感に包まれながら、明るい世界を心に描き、明日へのワクワクを胸の引き出しに仕舞い込んで、一歩ずつ、笑顔で穏やかな深い眠りへと落ちていくのでした。
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