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83. 2週目

 グラウンドに行く前に、あらかじめマジカルキティに変身した南美、蛍、三玖の3人とミカは、正面玄関を出て南美を先頭に校舎の脇をまっすぐに駆け抜けると、間もなくグラウンドの前に到着した。


 4人は、グラウンドの手前にある石段の上からグラウンド全体を見渡した。


 すると南美達は、グラウンドの南美達の正面の奥に一本、それと左手の奥にもう一本、合計二本の光の塔が天高くまで伸びているのを目の当たりにした。


「……あれ?」

 南美はグラウンドに目をやるやいなや、思わず、場に合わない素っ頓狂な声を出した。


(えっ? どういうこと?)

 確か……前回自分がグラウンドに行った時は、正面にある奥の一本……だけだったはず。それとも、私がグラウンドに到着する前は二本あったのかな?


「……あれ? 光の塔が二本あるよ。」

「あっ、本当だ。でも……どういうことなんだろう?」

 南美に続いてグラウンドに到着した蛍とミカも、グラウンドを見るなり、二人とも不思議そうな顔をして二本ある光の塔を見つめていた。


(えっ? ……やっぱり一本だけだったんだ。)

 とりあえず南美は、まず正面の光の塔を確認した。


 すると――南美は見ていないが――多分前回光の中から現れたのと同じシンプルな形状をしたロボットが4体、光の塔の側に固まって、特に何をするわけでもなく、その場にじっと待機していた。遠くからなのでよくわからないが、ロボット達は何か手持ち無沙汰でダラダラしているようにも見える。向こうも南美達の姿に気づいたようだが、かといって特に何かアクションを起こそうとするような素振りも見せない。


 それからもう一本――教室からだと死角になって見えなかった――自分達から見てグラウンド左手の奥に伸びる光の塔を確認した。


 断定はできないが、塔自体は正面にみえるものとまったく同一のもののように見える。そしてこちらの方は、周囲に人影らしきものは見えない。


「えーっと……どっちに行く?」

 多分ロボット達がたむろしている正面の塔に行くのが正解だと思ったが、こういうことを勝手に自分で決めてしまうのはよくない。まずはみんなと相談しようと思って、南美は後ろにいる3人の方を振り返った。


 すると蛍は、南美の真後ろに隠れるように、身をすくめてビクビクしていた。いくらマジカルキティになったとはいえ、気持ちがいいものではない異変の世界、そして争いごとを好まない蛍の性格を考慮すると、再びロボット達と対峙するのが怖いのだろう。ロボット達が待機している光の塔の方をチラチラと確認しては、不安そうに一人オロオロしていた。


 一方三玖の方はというと、こういう特殊な状況下におかれても、普段通りの余裕のある表情で、腕を組んでいつもの優雅な佇まいをキープしながら、光の塔を遠くに眺めていた。そして南美と目が合うと、軽く南美に微笑んでみせた。準備はいつでも万全のようだ。それに三玖は、前回の異変時、ずっと生徒会室にいて光の塔を見ていなかったので、グラウンドに光の塔が何本立っていようが特に気にはならないのだろう。


 そして、三玖の足元で、グラウンドに伸びる二本の光の塔を、それぞれ真剣な顔で観察していたミカは、目の前の透明のスクリーンを閉じると、南美に答えた。


「うん。ウラニャースの光の塔は、多分ロボット達がいる正面の方だと思う。光の中から、マジカルキティの溢れ出す魔華魔華しい力が、確かに感じられるもん。……うん、間違いない。正面の方だ。……でも、左の光の塔は一体なんなんだろう? 少なくともウラニャースの光の塔じゃないのだけは確かなんだけど……」

 ミカは、ウラニャースの光の塔じゃない方の左の塔を見ながら小首を傾げた。


「……それじゃ、とりあえず正面の光の塔に行ってみようか?」

 ミカの話を聞いて、南美はみんなに提案した。


「うん。」

「ええ。」

「う、うん……」

 ミカ、三玖、蛍の3人は、それぞれ南美に同意した。


 ――よし! まずは正面のロボット達がいる光の塔に向かおう。左の光の塔からは特に何も出てきていないようだし……


 南美は、念のため左手の光の塔をもう一度チラッと確認すると、正面の光の塔に向かって駆け出した。しかし目を正面に戻したちょうどその時、左の光の中から何かが出てきたように見えた。


「……えっ?」

 南美はその存在に気づくと、数歩駆け出したところで、慌ててその場を急停止した。


「きゃっ。」

 すると、南美に続いて光の塔に向って駆け出した三玖が南美の後ろにぶつかってしまった。


「……もう! 急に止まったりしてどうしたの?」

 三玖は、南美の背中に勢いよく顔面をぶつけたみたいで、少し不機嫌そうに聞いた。


「えっと……ご、ごめんなさい。でも……あれ。」

 南美はそう言って、左手の光の塔を指さした。

 その時、南美は心の中で、(三玖って意外にこんなかわいらしい声を出すんだ。)と密かに新しい発見をしていた。


 南美に言われて、三玖達も再び左の光の塔に注目した。


 すると、先ほどまで誰もいなかった光の塔から、確かに何か出てきて、しかもこちらに向かってゆっくりと歩いてきているのが見えた。

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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