78. 2週目
「えっ? ……う、うん。」
蛍は顔を真っ赤にしながら、三玖の提案を受け入れた。
しかし内心では――
(えーっ!? さっき南美が普通に魔法少女に変身できそうだったのに、なんで三玖は止めちゃったの? 私、今回はミカと一緒にずっと南美と三玖の後ろに隠れて、2人に守ってもらおうと思ってたのに……)
とんだとばっちりだと思っていた。
「えっと……そうね、私からも改めてお願いするわ。」
三玖も心の中では、自分の予想以上に南美が普通に魔法少女に変身できそうだったので、別にあの時、無理に南美の変身を止める必要はなかったと思っていた。しかも、かなりいいタイミングのところで自分が変身を止めてしまったので、実はかなり決まりが悪かったが、そんなことは一切表情に出さず、いつもの余裕のある感じで蛍にお願いした。
蛍は、恥ずかしさを紛らわすように、コホンとひとつ軽く咳払いした。
「うん……そ、それじゃ、やってみるね。」
「うん、お願い!」
南美は目を輝かせながら蛍に注目した。
「……よし。」
蛍が目を瞑って強く願った瞬間、蛍の首元に掛けられたウラネコのペンダントについた黄色のプレシャスストーン(PS)が強く光り輝き、蛍の周囲が黄金色に彩り始めた。
――変身できる!
蛍はくるくると回転しながら空高くジャンプした。そして、空中で黄金色に光り輝くと、蛍は5色の魔法少女イエローキティに変身した。
そして地面にピタッと着地すると、
「かわいい子猫をいじめる悪いロボットは許さない。5色の魔法少女イエローキティ。」
ホタルは片足をちょこんと折り曲げながら、両手でかわいらしく猫のポーズをとると、口からは自然と決め台詞が飛び出した。
(えっ? だから、なんでこうなっちゃうの? すごく恥ずかしいんですけど……)
ほたるは決めポーズを即座に解くと、恥ずかしさのあまり、真っ赤になって下を向きながらスカートの両端を手で掴んだ。
蛍の一連の5色の魔法少女イエローキティの変身モーションに圧倒されて、しばしポカンとした表情で眺めていた南美は、すぐにうれしそうな顔になると、キラキラと目を輝かせながらイエローキティになった蛍の元に近づいた。
「うわー、すごいよ蛍。すごい光ってたよ。それに、すごく高くまでジャンプしたね。すごくかっこよかったよ。やっぱり5色の魔法少女ってすごいんだね。」
南美は、イエローキティになった蛍にすごいを連発すると、それから蛍の魔法少女姿をじっくりと観察し始めた。
「えーっと……ジロジロ見ないで。……恥ずかしいよ。」
蛍は恥ずかしさのあまり、両手で顔を隠したが、頭の猫耳が垂れ下がり、スカートの後ろの尻尾が、ミカの尻尾みたいに、かくかくとあっちへ行ったりこっちへ行ったり、せわしなく動き回っていた。
「へー、やっぱりこのコスチュームって、なぜかわかんないけど、蛍が私とミカに見せてくれたデッサンと同じデザインになってるんだね。蛍によく似合ってて、すごくかわいいよ。ふむふむ……なるほど、猫耳や尻尾なんかも自分で動かしたりできるんだね。」
南美は、蛍の魔法少女姿を、上下左右様々な角度から観察しながら、蛍のファッションの才能と蛍のかわいらしさにすっかり夢中になっていた。
「それと……かわいい子猫をいじめる悪いロボットは許さない……だったっけ? それ、蛍が考えたの?」
三玖も顎に手を当てて、斜め横から蛍の魔法少女姿を冷静に観察しながら、いつも通りの落ち着いた感じで蛍に話しかけた。
「……えっ? ……え、えっと……」
「それに……変身した時のポーズも、すごく猫っぽくってかわいらしくって。私、思わずキュンとしちゃったよ。」
南美も三玖の質問に被せるように、うれしそうに蛍に感想を伝えた。
「あ、あの……ポ、ポーズも、セリフも……勝手に口から出ただけだから。そ、その……改めて感想を言われても困ります。」
蛍は、顔を真っ赤にしながら、二人に言い訳した。
蛍は、もうこれ以上自分に注目してほしくなかった。
「うん、蛍の言う通りだよ。5色の魔法少女に変身する時のポーズやセリフは、本人の性格や内面、それに自分はこうなりたいんだっていう、本人の心の奥底にある願望なんかが自然に表現されたものなんだ。」
ミカが、蛍の主張に賛同するように、そうつけ加えた。
(あの……お願い。いちいち余計な解説をつけ加えないでもらえますか?)
蛍は、ミカのフォローになってないフォローに、ますます顔が真っ赤になった。
「え、えっと……そ、それよりも今は、南美達も早く5色の魔法少女に変身しないと……」
蛍は、早く話題を変えようと、もじもじしながら小さく言った。
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