75. 2週目
緋色南美の高校2年がスタートし、それから異変やロボットや常磐さんやら、なんやかんや色々あった一週間が終了した次の月曜日、つつがなく今日の授業も終了した放課後の2年A組の教室は、授業が終わってからかなりの時間が経過し、すでに大半の生徒も教室を後にして、現在教室に残っているのは、南美と蛍、そしてミカも含め数人程度になっていた。
ちょうど一週間前、突如異変が発生し、周りに見える何もかもが彩り(カラー)を失って、灰色になってしまったのが信じられないくらい、いつもと変わらない温かなオレンジの光が、窓の外から差し込んでいた。
生徒会の仕事のため、授業が終了すると、すぐに教室を出て行ってしまった三玖の席に座って、彼女の帰りを待っている3人だったが、例の異変騒動以来、家にいる時以外は、できるだけ揃って行動するようにしていた。
中学時代は、三玖が学校の中でも外でも、ずっと忙しくしていたこともあって、あまり親しくなれなかった南美と三玖だったが、この一週間、ほとんど一緒に行動するようになると、まるで昔からの親友だったかのように、今ではすっかり仲良くなってしまった。南美と三玖の距離が急速に縮まってくると、南美の一番の親友を自認する蛍も、心の奥がなぜか少しモヤっとするのであった。
一方、学校公認で毎日学校に通えることになったミカだが、それからだいたい一週間が経って、休み時間とか昼休みになると、今でもたまにミカを見に生徒が集まってくることはあったが、次第にその熱も落ち着いてくると、比較的自由に校内で過ごせるようになっていた。そして現在は、基本的に授業中は、いつもの指定席である三玖の席の真後ろの棚の上に座って、他の生徒と同じように授業を受けていた。
学校はミカにとって新鮮な場所だった。
というのも、惑星ウラニャースには、学校のような未成年を教育する制度や機関というもの自体存在せず、生活していく上で必要とされる一般的な知識一式は、ウラネコが誕生してから一定期間が経過すると、その子の脳内に直接インプットするようになっているため、わざわざ学校まで行って、自ら知識を得るという手順を踏む必要がないのだ。もしもそれ以外に取得したい知識があれば、各自の興味や頭脳の容量に応じて、その知識を改めてインプットするか、ほとんどする者はいないが、各自で学習することになっている。ただし、本人が希望しなければ、決められた以上は特に知識を吸収する必要はない。
それでミカのパパとママは、本人の知的好奇心と向学心によって、各々がロボット工学とロケット工学を専門に研究していたのだった。その頃、すでにウラニャースは、基本的に研究することが何もなくなっていた状態だったので、パパとママのように自ら何かを学ぼうとする研究者は非常に珍しかった。ミカもウラニャースに居た頃は、自分も将来はパパみたいにロボットの研究者になりたいななどと朧げに思っていた。
ただし、この知識のインプットというのは簡単で便利なものではあるが、その効果は永続的なものではなく、その知識は単に直接脳にインプットされただけのもので、当人の経験や努力を通して肉付けされた本来の知識というものでは決してないので、一定時間が経過すると、徐々に忘れていってしまうため、定期的にインプットし直す必要があった。
そのため、学校で受ける授業の内容は、ほとんどミカが知っている内容だったが、こうして自分の頭を通して考えながら学んでいくという過程は、ミカにとって、なぜか心地のよいもので、勉強の楽しさを知るよい機会となった。
「うーん……でも、それにしても見つかんないね。」
南美は三玖の席に座って、肩肘をつきながら憮然とした表情を浮かべていた。
「うん、そうだね。3人目まではすぐに見つかったから、後の2人もすぐに見つかると思ったのにね。」
蛍は、少し困ったような笑顔で南美に答えた。
南美は、自分と蛍がそれぞれ赤色と黄色の魔法少女だとわかって、もうその翌日には三玖が緑色の魔法少女だとわかったので、残りの青色と桃色の魔法少女の2人も、明日明後日にはすぐに見つかるものと思って、最初の内はおとなしくじっと待っていたが、特にそのような気配もなかったので、もしかすると自分達が気づかないだけで、実はすでに自分達の近くにいるのではないかと思って、最近は学校の中にいても外にいても、周りをキョロキョロ見回すのが癖になっていた。
「よいしょ……っと……うん。南美の気持ちはわかるんだけど、今はそんなに焦る必要はないと思うよ。それに、もしかしたら残りの2色の魔法少女も、もうすでに私達のそばまで来てくれているかもしれない……けど彼女達は、今は自分が5色の魔法少女だという自覚がないから、私達のところまで来ることができないし、私達の方でも気づかないんだと思うよ。だけど、私達が彼女の力が本当に必要になった時は、きっと向こうの方から私達に会いに来てくれるはずだよ。」
その時、ちょうど今日の授業の復習が終わったところだったミカは、自分にしか見えない頭上の透明なスクリーンを閉じると、楽観的な調子で南美に答えた。
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