5. 魔法少女になりたい少女
2026年1月1日連載スタートしました。
毎日朝8:00投稿予定しております。
そして、ひばりが5色の魔法少女になれるかなれないかどうか最終的に決定するラストイヤーとなる本年度は、幸運にも彼女と同じ高2が5色の魔法少女になることが発表された。これでひばりは、中2から高2を通して4年連続で自分と同学年の少女が5色の魔法少女になるという、シリーズでも過去に例のないケースに巡り合うことになった。これで今年も第一関門は無事に突破したと思うかもしれない。しかし『5色の魔法少女』の制作会社である宝石プロダクションが、『子猫の魔法少女マジカルキティ』の5色の魔法少女として、レッドキティ(赤色)のナミ、イエローキティ(黄色)のホタル、ブルーキティ(青色)のシノ、グリーンキティ(緑色)のミクの4色の魔法少女をすでに公式で発表済であり、ひばりが5色の魔法少女になるのは、現時点でほぼ絶望的な状況であった。
「公式では4色発表されたけど……でも、まだ桃色が残ってる。」
ひばりは5色の魔法少女は全員大好きだが、彼女の本命はあくまで桃色の魔法少女である。桃色の魔法少女は、幼少の頃から現在に至るまで5色の中でも一番大好きな魔法少女で、彼女にとっては特別な存在である。他の4色がすでに埋まっていて、桃色だけが空いてるというのは、逆に考えるとものすごくラッキーじゃないか。本当のことをいうと、桃色じゃなくてもいいから、なんて思ったことが一度もなかったわけじゃない。だが自分が本当になりたいのは、あくまでも桃色の魔法少女である。そう。絶対自分は桃色の魔法少女になれるはず! そして、このくだりを4年連続で繰り返すことになったのである。
それに他の4色の魔法少女も、もしかしたら実際の出番になった時に、予期せぬ事態が発生して、急遽メンバーが入れ替わって自分が選ばれる、なんてことがないなんて100%いえない。まったくなんの根拠もないのに、物事を自分の都合のいいように考えられる。この楽観的でポジティブなところなどは、ひばりの数少ない長所の一つといっていいのかもしれない。
――それに、もしも最悪今年が無理だったとしても、来年高3になった時に5色の魔法少女も高3になる可能性も0じゃないし。それに、もしかすると今後5色の魔法少女が、大学生の魔法少女だったり、会社員の魔法少女だったり、新婚の魔法少女だったり、子持ちの魔法少女だったり、おばあちゃんの魔法少女だったり――もう魔法少女じゃない気もするけど――そんな5色の魔法少女が始まる可能性だってある。……いや、今来年以降のことを考えるのはやめとこう。それを考えるのは、本当に今年自分が5色の魔法少女になれないと決まった時、その時だけだ。
――そ、それに……そんなこと、絶対にあるはずないし……
「……ま、いっか。」
ひばりは家に帰ると、早速二階にある自分の部屋に上がった。
ちなみにひばりの家はどんなかというと、どこにでもあるような建売の二階建ての白い一軒家で、取り立ててコメントするようなところもない。そしてひばりの部屋はどうかというと、一部を除いて、カーテンもピンク、机もイスもベッドもみんなピンクだらけで目がチカチカするし、部屋中のあちこちに桃色を中心に歴代の5色の魔法少女のフィギュアやグッズなどが、統一感なくごちゃごちゃと乱雑に置かれていて、まあ予想された通りの感じである。
その日のひばりは特に予定もなく、ベッドに寝ころびながらマンガを読んだり、ぼーっとしたり、プル達とのチャットを楽しんだり、再びぼーっとしたり、妹の万智とゲームをしたり、三度ぼーっとしたり、何が面白いのかわからない動画を観たりと、いつものように無為で無駄な時間を過ごしていた。もちろん宿題はやる予定に入っていない。
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