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65. 惑星JAIA

 それから宇宙船がその惑星に降り立って、だいたい2週間が経過した頃、その惑星に繋がる光の塔が開通し、ジャイア側からその惑星の簡単な調査を行うと、一部不明瞭な事象はあったものの、動植物などの生命体が生息するには最適な環境だということが判明し、これならミカがその惑星に生息している可能性ある……ということになったので、パタパを予定通り、その惑星へ派遣することになった。


 クスはその時、現地が灼熱の煮えたぎった惑星だとか、氷河でカチコチになった惑星だとか、生命体が絶対に生息不可能な惑星だったらよかったのに……と心の中で思った。


 それからしばらくすると、パタパから、ミカにジャイアに帰るのを拒否されているという連絡が入ったので、万が一に備え、入り口の前に待機させていた現場ロボット一体を光の中へ派遣することにした。現状の光の塔の出力上限では、ネコ一匹と現場作業用のロボット一体くらいをその惑星に転送するのが限界だった。


 それからしばらく待っていると、やがてパタパと現場ロボットがジャイアに帰ってきた。パタパは、ミカを連れ帰らず手ぶらで、現場ロボットの方は、なぜか片腕が吹っ飛んでいた。


 パタパに確認したところ、ミカにはロボットになることを完全に拒絶され、しかも土壇場で五色の魔法子猫というのが現れて、現場ロボットが一撃で破壊されてしまったとのことだった。


 パタパは、ロボットとの戦闘中、その自称五色の魔法子猫だという個体の分析を試みたものの、なぜか途中でエラーとなってしまうため、その個体が本当に五色の魔法子猫かどうかわからなかったのだという。


 クスは、パタパに対し、「ミカは喜んでロボットになってくれるって言ってたじゃないか。」と大きな憤りを覚えたが、ウラネコだった時のパタパと、今のロボットのパタパとでは、まったく別の人格といっていいので、そういうことを今さらパタパに言っても無駄なだけだった。


 そして現場ロボットを破壊した、いわゆる五色の魔法子猫について、魔法子猫になるまでは、100%人類の未成熟な女性だということだった。しかし、そもそも伝説の五色の魔法子猫に関しては、惑星に正式な書物や文献などが一切残ってなくて、当時から絵本とか伝承を通じてしか、彼女達の情報は伝わっていなかったため、実際に五色の魔法子猫がどういうものなのか、実はロボット達もよくわかっていなかった。


 五色の魔法子猫とは、子猫だけど猫でなくて人類だったのか、ならばパタパが遭遇した少女は本当に五色の魔法子猫だったのか、クスはパタパに確認してみたが、パタパはさっぱりわからないと答えた。クスは、「もう! なんだよそれ! 伝説の五色の魔法子猫達を探しに行くっていったのはお前だろ!」と、さらに憤ったが、それを今さらパタパに言っても無駄なだけだった。


 パタパがその惑星で遭遇したのは、本当に伝説の五色の魔法子猫だったのだろうか?


 実は、それはぜんぜん可能性が0という話ではなかった。


 実際にパタパは、伝説の五色の魔法子猫を探すためミカを宇宙に派遣し、ミカは500年の歳月をかけて、ついに彼女達が生息しているという目的の星に到着した。そして今、目の前で五色の魔法子猫を名乗る少女に現場ロボットが破壊された映像を見返して、彼女の実力の片鱗を目の当たりにしているところだった。


 これは想定していた以上に、非常にまずいことになってしまった。


 ミカを連れ戻すためには、強大な力を誇る伝説の五色の魔法子猫と戦わなければならない。しかも、彼女が本当に伝説の五色の魔法子猫だとしたら、我々は、自分達ロボットが本来は仕えるべき対象である人類の一種であり、しかもジャイアの人類を救ってくれるといわれる伝説の存在と戦ってしまうことになってしまう。


 焦ったクスは、とりあえず本件をすぐに「G」に報告しにいった。


「G」の答えは、同じ人類といえ、ジャイアの人類とは別人類なので、再び抵抗されることがあれば、戦闘行為を行っても特に差支えはない。自称伝説の五色の魔法子猫という人類に対しては、交渉の余地があれば交渉し、余地がなければ敵対相手として扱っても構わない。その手段についてはクスに一任するので、約束通りミカをジャイアまで連れて帰るようにと簡単な指示を与えるのみだった。


 クスは黙って「G」の指示に従うことにしたが、装置の出力アップには、まだまだ時間と労力が必要で、現時点ではそんな大した質量のロボットをその惑星に転送することはできない。それに戦闘タイプのロボットは、500年前のクーデター勃発時に、ウラネコ達の反抗によって一つ残らず破壊されてしまっていた。その後、ジャイアでは戦争や争いもなかったので、戦闘用のロボットの製造もなければ、武器や兵器といった類のものも存在しなかった。次回、その惑星に転送できたとしても、多く見積もって、現場班長のロボットと部下の現場ロボット数体を送る程度が限界であろう。


 こんな戦力で、自称伝説の五色の魔法子猫と戦って、ミカをジャイアまで連れ戻すことなど本当にできるのだろうか?


 クスは甚だ疑問に感じたが、それを考えるのが彼の仕事であるということを、彼自身すっかり忘れているようだった。

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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