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64. 惑星JAIA

 正直いってクス自身、自分が他のヒューマノイド達と比べても、性能的に決して出来がよい方でもないという自覚があり、そんな自分がなぜ5大長官の一人に抜擢されているのか、まったくわからなかった。


 実際にクスは、以前QLタワーの廊下を歩いていた時に、偶然「G」と別の幹部が話しているところに遭遇し、その時「G」がクスについて、「彼は不出来だ。」と言ったのをうっかり立ち聞きしてしまったことがあった。クスは、それ以上聞くのが辛くて、その場を急いで後にしてしまったのだが……そんなこともあって、彼は「G」のことをより苦手に思うようになっていた。


 ただ5大長官といっても、他の4人の長官と比べて、実際に仕事の難易度ははるかに低く、クスにでも務まる簡単なものであるのは間違いなかった。クスの部署「惑星ジャイア猫型ロボット実現室」は、確かにロボットのクーデターが起きた当初こそ、5つの部署の中で最も注目された部署であったが、以降500年はすっかり窓際部署に収まって、現在の主だった業務といえば、ウラネコだったロボット達の日常の世話とかだったりしていた。だがそれも、もう昨日までの話となった。今日から再び5つの部署の中で、最も重要な部署へと返り咲きになってしまった。


 そういうわけで、彼は「G」への報告後、今日をもって5大長官の任から解任されてしまっても、何一つ文句を言うことはできなかった。それでもクスとしては、今の地位に踏みとどまって、彼と部署のメンバーでやれる限りのことはやってみたかった。


 クスは「G」がいる統括室に赴くと、「G」にこれまでの経緯を報告した。


 すると「G」は、ここ500年以上に渡って何の進展もなく、ずっと凪状態だったミカの宇宙船の状況が初めて動いて、どこかの惑星に到着したという重大な報告を受けたにもかかわらず、特に驚いたり、興奮した様子も見せることもなく、いつものように終始淡々と冷静にしていた。そしてクスの話を聞き終えると、計画してきた通りの作戦を実行に移すようにと、粛々とクスに指示を出すだけだった。それと、クスを解任するとかいう話もなかった。


 そして、その計画というのは、惑星ジャイアにあるウラニャースの光の塔――現在は単に光の塔と呼ばれている――の莫大なエネルギーを、ジャイアからミカがいる惑星まで物質を転送するための装置へと転換し、ミカの父親のパタパがそれを伝って、その惑星にいるはずのミカを迎えにいくというものであった。


 この光の塔の莫大なエネルギーを物質転送に利用するという方法は、過去に人類が発明したとされるロストテクノロジーの一つだったが、ロボット達は、独自でこの技術を現在に復活させることに成功していた。


 ただし、この技術は非常に取扱いに注意が必要で、実験の初期段階では、転送の際に、エネルギーの出力調整に失敗して、転送の途中でロボットが粉々に爆発してしまったり、転送先の距離の計算を微妙に誤って、宇宙空間にそのまま投げ出されて回収不可になってしまったものや、光の塔の出口が予想以上に早く閉まってしまったせいで、転送先の惑星に永久に取り残されてしまう……といったような事象が頻発した。そして何よりも注意を要するのが、光の塔のエネルギー調整だった。もしこれを間違えてしまうと、最悪の場合、エネルギーが惑星に反作用を起こし、惑星自体が爆発してしまうという恐れがあった。


 そして、この光の塔を管轄しているのが、クスと同じ5大長官の一人で、科学部門を統括するクリスだった。クスは、このクリスのことも苦手にしていた。


 同じヒューマノイドの仲間であり、見た目だけは年下で若くかわいらしい女性タイプである彼女は、5大長官という対等な立場にいながらも、クスに対しては、常に上から目線で、言葉遣いはいやみったらしく、つんけんして――クスにとっては、まさにイヤな同僚の一人といった感じなのだが――そんな彼女の機嫌を取りつつも、なんとかこの光の塔の物質転送の技術を確立させるところまで成功していたのである。


 そして宇宙船が降り立った惑星の照準を確定したり、細心の注意をかけてエネルギー調整を完了させると、後は予定通りパタパがミカを迎えにいくだけとなった。

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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