63. 惑星JAIA
では、5大長官の一人であるクスの外見はどんなのかというと……
地球の人間を基準にしてみると、背丈は長身で、パリッとした黒を基調とする長官専用の制服を身にまとい、少し長めのグレーの髪――といっても実際は本物の髪ではないのだが――を後ろでに伸ばし、目鼻顔立ちがくっきりとしたハンサムな顔立ちをした、年頃は30〜40代くらいに見えるイケオジで、これから確認することと、その後、実行しなければならないであろう事態を前に、眉間のシワを少しゆがめ、緊張した面持ちを浮かべていた。
クスは指令室に入ると、さっそく正面に掲げられた巨大なスクリーンに注目した。するとスクリーン上に映しだされたミカを乗せた宇宙船の現在地を示す小さな点が、スクリーン上のある惑星の外周上に重なって、その位置で完全に停止しているのが確認できた。
クスにとって、スクリーン上で宇宙船が完全に停止している状態を見るのは、この500年の中でも初めてのことで、ワンチャン故障か何かで宇宙空間を漂ってたりしてないかなとこっそり期待していたが、スクリーンを見ると、(あーあ、やっぱりか……)と少し落胆した。これで確認は無事終了……ということで、これからクスの仕事は、500年以上に渡って宇宙船の動きをただ観測するという単純な作業から、宇宙船の中にいるはずのミカの居場所を突き止め、ミカが生存している可能性があれば、ジャイアまで連れ戻すという複雑な作業に移行することとなった。
しかし、宇宙船がどこかの惑星に降り立ったからといって、クス側からは、直ちにその惑星がどのような特徴をもった惑星なのかなど確認することはできない。もしもその惑星が、一切の生命体の生息活動を拒絶する過酷な環境下におかれた惑星だったり、ミカが宇宙船から出てくるようなことが一生なければ、クスの仕事は、この動かない宇宙船を永遠に観察するだけの簡単な仕事になるだろう。だがクスの心の中では――多分そうはならないだろうという――なぜか悪い予感があった。
宇宙船が惑星に着陸し、クスが指令室に到着してから、すでに数時間が経過したが、宇宙船には今のところ特になんの変化もなかった。さすがに今日は何もないだろうと思い、そろそろ帰ろうかとクスが部屋を後にしようとしたまさにその時だった。宇宙船の変わらない様子をただただ眺めていた指令室内に突然、ピピピピ♪ ピピピピ♪ という宇宙船からの信号が、何度も発信されてきたのである。
これは宇宙船の外側に、宇宙船から指令室――元はミカの自宅の研究室にあったもの――に向けた発信用の緑色のボタンがついてあって、信号が発信されたということは、その惑星には、なんらかの生命体が生息している可能性があって、そのボタンをその惑星に住む何者か、もしくはミカ自身が押した可能性があるということを意味していた。
だが、もしかすると実際には石や岩や何かそこらの物体が、ボタンに偶然接触したという可能性も否定できない。しかし、クス側からはそれを確認することはできない。
これでクスの運命は決まってしまった。クスは、これからミカがいる惑星を調査して、もし彼女の生存の可能性が少しでもあるのなら、彼女をジャイアまで連れ戻さなければならない。
クスは、さっそく上層階にいる「G」に、この件の報告にいくことにした。
道中、クスの眉間のシワはさらに深くなった。いくら5大長官の一人とはいえど、日常業務の中で「G」と会うことなど、彼にはめったにないことだった。もちろんプライベートで会ったことは一度もない。そのため、彼は極度に緊張していた。それに彼は、「G」のことをなぜか苦手にしていた。もちろん「G」のことが嫌いというわけではない。「G」は我々ロボットの代表者であり、当然「G」には畏敬の念を抱いている。しかし「G」を前にすると、「G」には他のロボットにはない特別の存在感があって、まるで「G」にはすべてを見透かされているような、そして自分がロボットとしてとんでもない失敗作であるかのような劣等感を、なぜか抱かざるを得ないのである。
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