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54. 宝箱女子高校の少女

 だがしばらくすると、南美達は再び真剣な表情に戻った。


「でも……ミカがウラニャースを出てから、もう500年以上も経っちゃったわけだよね? それに……故郷のウラネコ達も、みんなロボットにされちゃったって……だったら……私達5色の魔法少女が全員揃ったとしても……どうやったらウラネコ達を救えるんだろう?」


「うん。さっきも言ったんだけど……実は私も、五色の魔法子猫達が、どうやったらロボットにされたウラネコ達を救うことができるのかについては、よくわからないんだ。でも……私が光の塔から魔法の叡智を授かった時、五色の魔法子猫達の物語は――決して私一人を惑星から逃がすために、パパとママがとっさに考えた作り話なんかじゃなくって――本当の話だっていうことがわかったの。だから……五色の魔法子猫達が揃ったその時は、きっと南美や蛍や他の魔法子猫達が、ウラネコ達を救ってくれるはずだって、私はそう信じてる。……それに、パパはロボットになって、私の知ってるパパとはぜんぜん変わっちゃったけど……蛍が黄色の魔法子猫になった時、パパから、『ミカ、よくやったぞ。』って言う声が、私には確かに届いたの。」


「うん……そうだったんだ。」

 南美は、やさしげにミカに微笑んだ。


「それと……これは関係のない地球の人達には申し訳ないことなんだけど……ロボット達は、私をウラニャースに連れ戻すため、光の塔を使って、またこっちに来ると思う。それと……異変が起きた時に分析してたんだけど……時が止まって、すべてが白黒になってる間、実際の人や建物なんかは、地球から、まるごとどこか別の世界にでも転移してるみたいで……だから、人や建物にキズがついても、特に問題はないみたい。でも……惑星にあるものを、そのままごっそり転移させるなんて、光の塔のエネルギーを使っても、さすがにそこまでのことはできないはずなんだけど……」


「ふーん、そうなんだ。でも……念のため、キズつけないように気をつけなきゃね。」


「うん、そうだね。……それと、五色の魔法子猫が魔法を使うためには、光の塔から五色の魔法子猫達に対して魔華力まがりょくを送ってもらわないといけないから、ウラニャースから光の塔を伝ってロボットが来た時とかしか、五色の魔法子猫になることはできないし、魔法も使えないみたい。」


「そっか。……でも、だとしても特に問題ないかな。ロボットとかが来ないんだったら、別に私達が魔法を使えなくても特に支障はないだろうし、自分が5色の魔法少女だってことが、誰かにバレる心配もないもんね。もし私が5色の魔法少女になったとしても、その時は私達以外には誰も見てないんだし。」


「うん、そうだね。だったら安心だね。」

 蛍も、自分の魔法少女姿を誰かに見られずにすみそうだったので、少しホッとした。


「よし! そしたら、後は残りの3色の魔法少女達を探すことが何より先決だね。でも……どうやって探そっか? もうこうなったら、明日から街中歩いている女の子の首元を片っ端からチェックしてく?」


「あ、あの……そんなことしたら、絶対に不審者だと思われるよ……」


「えっと……そのことなんだけど……五色の魔法子猫達は、私達が探すんじゃなくって、向こうから自然に、私のところに集まってきてくれるみたいなの。ほら……もう2人の魔法子猫が私の側にいてくれるでしょう?……パパとママも、そのことは知ってたはずなのに、急いでたからか、そんな肝心なことを私に言い忘れてたみたい。」


 ――本当。五色の魔法子猫達が向こうから集まってきてくれるって、最初からわかってたら、春休み、南美や南美のパパとママにあんなに迷惑を掛けて、こんなに必死に魔法子猫探しなんかせずに、普通に南美と一緒に遊びに行ってたらよかった……

 ミカは今更ながらに少し後悔した。


「そっか。……だったら、私が宇宙船に乗ったミカを裏庭で見つけたのも、もしかすると必然のことだったのかもしれないね。」

「うん。……だったら、残りの3色の魔法少女達も、もしかすると、もう私達の近くまで来てるかもしれないね。」

 蛍がなんの気なく南美の意見に同意すると、南美は急に何か思い出して、思わず大声を出した。

「……あーっ!!」

「えっ!? ……ど、ど、どうしたの?」

「そういえば……」


 南美は、蛍をビクつかしつつも、学校で異変が起きた時、生徒会室で自分以外にも彩り(カラー)を残して平然としていた若葉三玖わかばみくのことを思いだした。


 それから南美は、放課後二人がグラウンドにいた時に、生徒会室であったことを二人に話した。


「――ふむふむ、なるほど。……だったら、若葉さんも五色の魔法子猫って可能性があるかもしれない。……よし、そしたら明日みんなで若葉さんに確認してみようよ?」

 南美が話し終えると、案の定というか、予想通りミカがそう提案してきた。


「……そ、そうだね……うん。そうしようか……」

「南美……で、でも……若葉さんだし……」

 蛍が心配そうな顔で南美を見つめた。


「えっ? うん……多分大丈夫……な気がする……」


 南美は、今日ミカを学校に持ち込んだことを注意されたばかりなのに、さっそく明日もミカを学校に連れていくことになって、結果的に親身になって相談に乗ってくれた若葉さんのことを速攻で裏切ることになってしまい、本当に若葉さんに対し申し訳なく思った。


 それに、中学時代に若葉さんとクラスメイトだった時の経験から、他の惑星から来た宇宙子猫だとか、5色の魔法少女だとか、ロボットの襲来だとか、そんな冗談みたいな話が一番通じない相手といっていい若葉さんが、果たしてこんな話をまともに取り合ってくれるのだろうか?


 そんなことを考えると、南美は明日がかなり憂鬱だった。

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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