53. 宝箱女子高校の少女
「……でも……ロボットになってしまったら……」
「うん。そのことなんだけど……でも、五色の魔法子猫達がいれば、きっと大丈夫なんだと思うよ。」
「でも……魔法っていっても……私なんて、雷を出すくらいしかできなそうだし……」
蛍が申し訳なさそうにミカに応えた。
「うーん……そのことについて、実は私自身もよくわかってないの。……でも……五色の魔法子猫が全員集まれば、パパとママも、それとロボットになってしまった他のウラネコ達も……みんな元のウラネコに戻れる気がするんだ。」
「そう……だったら、私と南美以外の他の3色の魔法少女達を、一刻も早く見つけないといけないね。」
「うん、そうだね。でも、その話はまた一旦後にさせてね。……で、その光の塔なんだけど……実は光の塔の莫大なエネルギーの中に、なぜかわからないんだけど、かつて魔法大国だった頃のウラネコの叡智と魔華々(まがまが)しい力が眠っててね。多分……だけど……ウラネコ達が魔法を捨てて文明国家を選んでいった過程で、その知恵と力の源泉をそこに保存してたみたいなの。……もしかしたら、いつかウラネコ達に再び魔法が必要になる日が来るかもしれないと思って……先人達がそこに保存しておいたのかもしれない。」
「へえ……なるほど。」
「そのことは、私がロボットに捕まって、蛍が五色の魔法子猫だったらいいのにって強く想って、それと蛍の、自分が五色の魔法子猫だったらいいのにっていう強い想いを私が受け取った時、突然光の塔から何か温かい光が飛んできて、その光を私が受け止めた瞬間に、なぜかわからないけど、色々なことがわかるようになったの。……それで、私自身がすごい魔法を使えるようになったわけじゃないんだけど……ウラニャースに伝わるすべての魔法を、五色の魔法子猫達に授ける能力を手に入れたみたいなの。……それで蛍を見たら、蛍は黄色の魔法子猫だから、雷属性の魔法が使えることがわかったので……蛍に黄色の魔法を授けようとしたら、私の尻尾からウラネコのアクセサリーが現れて、蛍が首にかけていた黄色のプレシャスストーン(PS)と結びついて、蛍は黄色の魔法子猫に変身することができたの。」
「ウラネコのアクセサリー……でも、黄色のプレシャスストーン(PS)って……」
南美は怪訝な顔で蛍を見た。
すると蛍は、先ほど入手したばかりの、黄色のプレシャスストーン(PS)が中央にガッチリとはまったウラネコ模様のペンダントを首元から外すと、南美に手渡した。
南美は、蛍からペンダントを受け取ると、興味深そうにペンダントを見回した。
「へえ、こんなのがミカから出てきたんだ。それにしても、中々かわいらしいね。……でも、なんで蛍は黄色のプレシャスストーン(PS)なんかもってたの?」
南美は、再び怪訝な顔で蛍を見ると、蛍の方は、南美以上に困惑していた。
「えっ? あ、あの……この黄色い宝石がついたペンダントって、本当にプレシャスストーン(PS)とか、そ、そんな大したものじゃなくって……実はこのペンダント……この前雑誌の撮影の時に、撮影用の小物としてスタジオに用意されてあったものの一つなの……そ、それで撮影が終了した後に、スタッフの人から、今日持ってきたアクセサリーの中から好きなのを一つ選んで持って帰っていいよって言われたので、そ、その時に、その中からこのペンダントを選んだって、たったそれだけなの。だ、だから……実はこの宝石が、そんな貴重な宝石だったなんて……えっ? なんで? ……わからない……私……どうしたらいいの?」
蛍は、ものすごい偶然を引き当てて、自分が黄色のプレシャスストーン(PS)を所持することになっていたことに、パニックになった。
「へえ、そうだったんだ。でも……そう聞くと、確かに不思議な話だよね。」
南美も、蛍の話を聞いて、すごく不思議に思った。
「でも……南美は南美で赤色のプレシャスストーン(PS)を持ってるよね?」
「??」
ミカが突然振ってきたが、南美にはそんな心当たりまったくなかった。
「だってほら……現に今、首に掛けてるじゃん?」
「えっ?? ……あっ!!」
南美は、はっとして、その時自身の首元に掛けられていた赤い宝石がついたペンダントを、あたふたと首元から外すと、手のひらにおいて、じっくりと観察した。
「あれ? そういえば……確かにもってた。でも……これ、いつ手に入れたんだっけ? ……あっ! そっか……多分あれについてたやつだ。でも……だからといって、なんで私、今このペンダントを身に着けてるんだろう?」
南美は、自分の赤色のプレシャスストーン(PS)がついたペンダントを、いつどうやって手に入れたのか思い出したようだが、なぜ今もこうして身に付けているのか、自分でもまったく記憶になかった。
「そういえば……私も、今日このペンダントを学校に身に付けてきた覚えがない……」
蛍も、南美の意見に同意すると、気味が悪くて、なんだか怖くなってきた。
「うん。確かにすごく不思議なことなんだけど……でも、これって実はちっとも不思議なことじゃないんだ。プレシャスストーン(PS)っていうのは、所持している者がまさしく五色の魔法子猫だという証で、どんな経緯を通っても、最終的にはしかるべき持ち主の元に辿りつくという運命の石なんだ。そして五色の魔法子猫は、そのプレシャスストーン(PS)を一度手に入れると、意識せずとも、自身の身体の一部として肌見放さず常に身に着けるようになるんだ。」
「ふーん、そういうもんなんだ。」
「私も南美と一緒にいる時、なぜか南美がずっとそのペンダントを身に着けてるなって知ってたんだけど、今日光の塔から魔法の叡智を授かるまで、そのことが気になったことは一度もなかったんだけど……」
「うん。そう……だったら?」
南美が嬉しそうな顔でミカに確認した。
「うん! やっぱり、南美は赤色の魔法子猫で間違いないよ。」
それに対して、ミカは南美に笑顔で応えた。
「やった! ふふ、これでミカとはこれからもずっと一緒だね。」
南美は、ミカの尻尾とハイタッチした。
5色の魔法少女になるということは、南美にとって、かなりの責任と危険を背負うことを意味したが、彼女にとってはそれ以上に、今はミカと同じ時間を過ごせることの方が、よっぽど大事なことだった。
ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、
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