43. 「誕生!! 魔法少女」
――私が本当に伝説の五色の魔法子猫だったら……
ホタルがそう強く願った瞬間、ミカのリボンについた5色の石の、右から2番目の黄色の石が、突然、目がくらむほどの目映い光を放ち始めた。すると、灰色に塗られた世界の中で、黄金色の温かな光が、二人の周りを包みこんだ。
その光は、惑星ウラニャースの光の塔から発せられたもので、ミカは、その光を全身で受けとめた時、かつては偉大な魔法国家だったウラニャースの魔法の真髄、そして伝説の五色の魔法子猫の真相に、かすかに手が触れた気がした。
その光を浴びても、ミカが今以上の魔法が使えるようになったわけではなかったが、自分が光の塔から受け取ったその膨大な魔法知識を、五色の魔法子猫達に授けることができるようになったのがわかった。ホタルは黄色の魔法子猫、だから雷属性の魔法だ。
ロボットの左手の吸盤にピタリとくっつけられていたミカは、なんとか尻尾だけ吸盤から外すと、その場で空中に小さな星を描いた。
すると、星の中からかわいらしい装飾品が出現した。
その宝石は、古代エジプト時代にスカラベと呼ばれた装飾品に似て、真ん中には、虫の代わりに、逆立ちした猫が描かれて、その長い尻尾でハートの絵を描いていた。
ミカは尻尾を振って、猫のアクセサリーをホタルに向かって投げた。
猫のアクセサリーがホタルの前まで来ると、なぜかホタルが首元に掛けていた黄色の宝石がついたペンダントにかっちりとはまった。
その瞬間、ホタルは自分が本当に5色の魔法少女なんだとわかった。
――変身できる!
するとホタルは、普段のホタルだったら絶対に無理、というより人間ではありえないくらい、くるくると回転しながら空高くジャンプした。そして、空中で黄金色に光り輝くと、ホタルは5色の魔法少女へと変身した。
黄色の魔法少女イエローキティになったホタルは、地面にピタッと着地すると、
「かわいい子猫をいじめる悪いロボットは許さない。5色の魔法少女イエローキティ。」
ホタルは片足をちょこんと折り曲げながら、両手でかわいらしく猫のポーズをとると、口からは自然と決め台詞が飛び出した。
(えっ? なんなのこれ? すごく恥ずかしいんですけど……)
ホタルは、決めポーズを解いてすぐに通常の姿勢に戻ると、恥ずかしさのあまり、真っ赤になって下を向きながらスカートの両端を手で掴んだ。
ホタルはふとスカートを覗いてみると、思わず目を見張った。ホタルが今身に着けているコスチュームは、まさしく自分がナミのためにデザインした魔法少女のコスチュームそのものだった。
ホタルは、最後にコスチュームについた猫耳と長い尻尾を交互に確認した。
(やっぱり……イヤな予感がしたのは間違いじゃなかった。)
ホタルは、自分が5色の魔法少女になって、変わったのがコスチュームだけではないのがわかった。
自分が今、様々な電撃系の魔法が使えるようになっているのと同時に、信じられないくらいの驚異的な身体能力も手にしており、おそらく目の前にいる現場ロボット程度だったら、キック一発で簡単に破壊できそうだった。
パパは、突然の五色の魔法子猫の出現にも、特に慌てることなく、今目の前で起きている未知の現象を淡々と分析していた。しかし、ある地点まで行くと、そこからはロックがかかってしまい、なぜかそこから先は調べることができなかった。
だが、目の前にいる伝説の五色の魔法子猫を見て、
――よくやったぞ、ミカ。さすがパパとママの自慢の娘だ。
なぜかミカのことを誇らしく思う意味不明な感情が湧き上がっていた。
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