40. 「誕生!! 魔法少女」
一方、その頃ナミの方は……
「……あの、新葉さん。実は……」
ナミが言いかけた時、ホタルが見たのと同じように、生徒会室の彩り(カラー)が突然なくなって、一瞬にして、すべてが白黒になった。
「えっ? 何?」
ナミは、突然目の前が白黒に見えるようになったので、自分の目がおかしくなったのではないかと疑った。そして目をパチパチさせながら、室内をキョロキョロと見回した。
「それで……実はなんなの? 日乃彩さん。」
ナミは新葉さんの声が聞こえたので、新葉さんの方を向くと、新葉さんが不審そうな顔で自分のことを見ていた。
(あれ? 新葉さんには色がある。……なんでだ?)
ナミは意味がわからなかったので、新葉さんを見てキョトンとした。
「どうしたの? 日乃彩さん。しゃべっている最中に急に周りをキョロキョロしたり、変な顔したり。」
新葉さんの方はいつも通りで、至って平然としていた。
(あれ? 今周りが白黒に見えるのって……もしかして、私だけなのかも?)
ナミはそう思ったが、一応、新葉さんにも確認してみることにした。
「えっ? あの……新葉さん……実は、なんか周りが全部白黒に見えてるような気がして……」
「……あら、そのこと? そのことだったら、特に問題はないから。それじゃ、話を続けましょう。それで日乃彩さん、実は何があったの?」
新葉さんは、至って普段通りで、ナミとの会話を継続しようとした。
「えっ? 新葉さんも周りが白黒に見えるの?」
「ええ。見えるわよ、私も。日乃彩さん以外はすべて白黒ね。……でも、多分大したことじゃないから。」
「えっ? 大したことじゃないの?」
ナミは、新葉さんの感覚が理解できなかった。
「ええ……そうね……中学生だった頃からたまにあるのよ、この現象。私はこの現象、多分ゾーンに入っているからだと思っているの。それに、この現象があったからって、特に何か悪いことが起こったっていう記憶もないから、別に心配することもないと思うわ。」
「でも……時計が止まってるみたいなんだけど……」
ナミが壁にかかっている時計を指さすと、時計は確かに3時35分42秒を指したまま、右に動かなかった。
「あら? 時間が止まってるんだったら、むしろラッキーじゃない。貴重な時間を消費しなくて済むわ。それに、今はあなたの話を聞くことが一番大事なの。……で、よかったら話してくれる?」
新葉さんが、この特殊な状況下に置いても、至って泰然自若としてるので、ナミも、とりあえず今は、新葉さんの調子に合わせて話を進めることにした。ナミの頭の片隅に、もしかしたらこれは5色の魔法少女と何か関係があるのかもしれないという思いがあったので、新葉さんに事情を説明したら、すぐにミカとホタルの元へ向かおうと思った。
「――そう……あなたの事情はよくわかったわ。あなたのご両親が洋食屋を経営しているのは私も知っているし、生後間もない子猫を一匹家に残しておくなんて、私もかわいそうだし危険だと思うわ。でもね……だからといって学校まで連れてきちゃダメでしょ。」
「うん……その通りです。」
ナミは、ミカのことについて、宇宙猫の部分は省略して新葉さんに事情を説明した。
(もし本当のことを話しても、新葉さんに変な人だと思われるだけだし……)
「うーん……そうね。私もあなたの話を聞いてしまったからには、この件を無視するわけにもいかないわね。それで……明日はどうするつもりなの?」
「うん、明日はママがお店の休みの予定だから、ママに面倒を見てもらおう……かな?」
「そう、それはよかった。それじゃ、私もあなたの猫について、何かできないか考えておくから。日乃彩さんも他に困ったことがあったら、いつでも相談してね。」
「ありがとう、新葉さん。すごく助かる。」
新葉さんは、やっぱりクラス委員で責任感があって、それにすごくいい人だ。
「ううん、別に気にしないで。こちらこそ時間をとらせてごめんね。……それより子猫のことが心配でしょ? 早く行ってあげて。」
「うん、新葉さんありがとう。それじゃ行ってくる。」
ナミは新葉さんとの相談が終了すると、急にミカとホタルのことがすごく心配になってきた。
ナミは生徒会室から出ると、すぐ廊下を駆け出した。
廊下に出ると、廊下を歩いていた先生も生徒も、周りの何もかもが、すべて白黒で時間が止まっているようだった。おかしかったのは生徒会室だけじゃなかった。
(なんなんだ? これは一体?)
悪い予感しかしない。ナミは、全速で二人が待つグラウンドへ向かった。
時が止まり、すべてが白黒になってしまった世界の中でも、学園内に、彩り(カラー)を維持し、時間の経過を認識できた人は何人かいた。一つ目は生徒会室のナミと新葉さん。もう一つはグラウンドのミカとホタル。それと、屋上からグラウンドの二人の様子を静かに観察していた遊草シノ。そして実はもう一人、突然起きたこのわけのわからない現象に、ひたすらパニックになっていた少女がいたのである。
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