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36. 「誕生!! 魔法少女」

 ナミはバックパックをやさしく抱えると、改めて学校へと向かった。


「ナミ、私のせいで遅刻になってごめんね。学校の方は大丈夫なの?」

 学校への移動の途中、バッグの開口部の隙間から、ミカが小声で確認した。


「うん。ホタルから連絡があって……新しいクラスで担任の先生が生徒の出欠を取っている時に、ホタルが、私がいないのに気づいてて、私の名前が呼ばれた時に、『先生。日乃彩さんは今日体調不良で、少し学校に来るのが遅れます。』って、機転を利かして、とっさに言ってくれたんだ。それで、ホタルとはA組で、2年でも同じクラスになれたんだよ。」

 ナミは高校2年を、ミカと、それとホタルと一緒にスタートすることができたのが、うれしくて仕方なかった。


「へぇ、そうなんだ。それはよかったね。」

 ミカも、この広大な地球の中から伝説の五色の魔法子猫を探し出すという、今朝までは、ほぼ実現不可能だと思われたミッションが、実はナミこそが、ずっと探し求めていた伝説の五色の魔法子猫の赤色だったことが判明し――少し思ってたのと違うけど――これで伝説の五色の魔法子猫が本当に地球にいることが明らかになって、そしてナミと、ナミのパパとママとも、これからも一緒に暮らすことができるようになったので、うれしくて仕方なかった。


 ところで、ナミがなぜ、さも当たり前のようにミカを学校に連れて行こうとしているのか、よくわからない。


 ナミは電車を降りて、ミカを入れたバックパックを大事そうに両手で抱えると、駅からは早足で学校までの坂道を登った。なんだかんだいって、現在ものすごく遅刻している最中である。いつもなら20分くらいかかる駅から学校までの坂道を、今日は10分くらいで登りきると、ナミ達はようやく学校に到着した。


 学校では始業式はとっくに終わっていて、校内ではすでに授業が始まっていた。


「たしか……2年A組だったよね。」

 ナミは、ホタルからA組だと聞いていたので、下駄箱で上履きに履き替えると、2年A組の教室へ向かった。1年生の教室は1階で、2年生の教室は2階にあった。


 ナミは教室の前まで行くと、教室の後ろの扉をそーっと開いた。


 すると、クラスメイトの視線がナミに集中した。いつも元気で、今まで体調不良で遅刻したことなんて一度もなかったし、それに、休み明けに体調を崩すようなタイプでもなかったので、みんなが心配そうにナミのことを見つめていた。


「すみません! 遅刻しました!」

 それに対し、ナミはいつも通り元気に、数学の授業中の桜井先生に謝った。


 すると、桜井先生も、クラスメイトも、みんな「あれ?」という変な表情をした。ナミは体調不良で遅刻していると聞いて心配していたのに、いつも通り、というより、むしろいつも以上に元気そうに見えた。


 だが教室の中で、二人だけは違う顔をしていた。


 一人は、もちろんホタルだった。体調がよさそうなナミを見ながら、あちゃ〜って顔をしていた。

(せっかく体調不良で遅刻するって言っといたんだから、少しは体調が悪そうなふりをしてくれてもいいのに……)


 そしてもう一人は、教室の一番後ろの席に座っていた新葉しんはさんだった。ナミが体調不良で遅刻していると聞いていたのに、遅刻の理由が、明らかに体調不良でないのがまるわかりだったので、不満そうで、何か言いたそうな顔をしていた。


「日乃彩。もうわかったから、早く席に着きなさい。」

 数学の桜井先生も、少し呆れた顔で、ナミに早く自分の席に座るよう促した。


 ナミは、ミカの入ったバックパックを慎重に教室の後ろの棚に入れると、そっとミカに話しかけた。

「ミカ……これから私は授業だから、私が来るまで、それまではおとなしくしてね……。でも、何かあったら教えてね……」

「うん……」


 ナミは自分の席に座ると、それからはクラスメイトと一緒に、普段通り授業を受けた。ナミの席は教室の右端の前の方だった。


 それから午前の授業が無事に終了すると、昼休みの時間に入った。


 ナミは授業が終わるとすぐ、棚に入れていたバックパックを大事そうに抱えて教室の外に出た。すると、ホタルが慌ててナミの後を追いかけた。


「ナミ! 待って、待って。」

 ナミは、昼休みになったら、どこでミカとお弁当を食べようか、そればかり考えていたが、振り向いてホタルの存在に気がつくと、

「あっ! ホタル、今日はありがとう。先生に私の遅刻報告してくれて。」

「ううん、それは別にいいんだけど……もしかして、あなた、今ミカを学校に連れてきてるの?」

「……うん。実はそうなんだ。」

「やっぱり……。ナミが始業式始まっても学校に来ないから、多分ミカのことかなって思ったから。」

「うん。それでね、どこかミカと一緒にお弁当を食べられる場所がないか探そうと思って……」

「そう……だったら、いい場所があるよ。」


 ホタルがナミに案内したのは、学校の校舎の屋上だった。


 屋上に入る扉の鍵はいつも施錠されていて、普段は立入禁止になっているはずが、実は鍵が壊れていて、ほとんどの生徒は知らないが、現在は普通に入れるようになっていた。


「実はこの前、教室で新しいワンピースのデザインを考えてる時に、ちょっとアイデアが煮詰まって……それで、どこか気分転換になるような場所はないかなって、学校中を探し回って、偶然見つけたんだ。」

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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