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31. 「誕生!! 魔法少女」

2026年1月1日連載スタートしました。

毎日朝8:00投稿予定しております。

 ナミの春休みが始まって9日目、ホタルの家に行って、ナミ以外に初めてミカとしゃべることができる人と出会って、それから10日目、11日目と、五色の魔法子猫、そして5色の魔法少女に関する情報を求めて、変わらず各地を転々とするナミとミカの二人だったが、残念ながら、これといった成果もないまま、時だけが過ぎていった。ナミのパパとママも、洋食屋の仕事が休みの番になると、積極的に二人の五色の魔法子猫探しに付き合った。ナミは時間ができると、友達にミカのことを紹介したが、結局ミカとしゃべることができたのは、なぜかいまだにナミとホタルの二人だけだった。


 ナミにとって、いつも春休みは、なにか新しいことに挑戦したり、家族や友達と一緒に楽しい時間を過ごしたり、毎年充実したものになるが、それでも、こんなに幸せな気持ちのまま春休みを過ごし通したのは、彼女にとって初めてのことだった。それは、ミカがいたからだった。


 でも、ナミは知っていた。ミカは自分達の家族になるために地球に来たわけではない。彼女には、自分の家族、そして故郷のウラネコ達を救うという重大な使命があるのだ。彼女はそのことを一度も忘れたことはない。


 ミカは、その責任感から、一人で五色の魔法子猫を探すため、もうすぐ日乃彩家から出ていってしまうのではないか。その気配は、パパとママも薄々感じていた。そして彼女が出ていくとすれば、ナミの春休みが終わって高2が始まるタイミング、二人がずっと一緒にいられなくなるその時だろう。ナミは、ミカがいつこの話を切り出してくるのか、ビクビクしながら待ち構えていたが、今のところ、ミカからそういう動きはなかった。


 ――でも……もしミカから五色の魔法子猫を探さなきゃいけないから家を出ていく、なんて言われたらどうしよう? あなたのような小さくてか弱い子猫に、そんなこと絶対に無理だからやめてなんて、彼女に課された使命を考えると、そんなこと軽はずみに言えるはずがない。でも、このまま彼女をずっと私の家に閉じ込めていたら、永久に五色の魔法子猫を見つけることはできないかもしれない。だからといって、学校を辞めて、これから彼女と一緒に世界中を旅するなんて、絶対に無理だろう。もし、なんとかうまくいって、私が彼女についていったとしても、果たして彼女の力になることができるのだろうか? 逆に彼女の足を引っ張ってしまうことになるだけかもしれない。


 ナミは自分の無力さを呪った。


 ――神様……どうかミカを助けて下さい……

 ナミは、生まれて初めて心の底から神様に願った。


 そして、今日はナミの春休みの最後の日だった。


 ナミのパパとママも、春休みの書き入れ時なのに、この日は洋食屋を異例の臨時休業日にして、一日中ミカと一緒に過ごすことにしていた。この日、日乃彩家は早朝から外に出かける準備でバタバタしていた。そして、ナミの春休み最終日となる今日は、ナミが宝石プロダクションミュージアムに行った時に新たに見つかった、『5色の魔法少女シリーズ』の第29作『音色の魔法少女マジカルクイン』の舞台となった東北地方のある街に行くことにしていた。当初、『マジカルクイン』は作中でも九州地方の描写が多く、ファンの間でも『マジカルクイン』の舞台は九州方面である可能性が高いと考察されていたが、現時点での『5色の魔法少女シリーズ』の最新作で、ミュージアム内でもひときわ資料が多く展示してあったので、そのおかげもあってか、ミカのコンピュータが『マジカルクイン』の本当の舞台を特定することに成功していた。


 朝早くから家を出発し、午前中には現地に到着した日乃彩家一行は、最寄りの駅でレンタカーを借りると、さっそく5色の魔法少女の情報探しを開始した。そして、事前に何件か目星をつけていた場所を回ってみたが、午前中は特にこれといった成果もなく、ちょうどお昼時になったので、『マジカルクイン』の作中の舞台にもなった、城下にある有名な公園まで行って昼食をとることになった。『マジカルクイン』を観ていなかったナミは知らなかったが、その公園は5色の魔法少女マジカルクイン達がお互いの絆を深めた思い出の場所だった。


 今日は朝から好天で、長袖一枚で過ごせるくらい、穏やかで気持ちのいい絶好のピクニック日和だった。そして昼食は、洋食屋でメインシェフを務めるナミのパパとママが、早朝からミカのために用意したスペシャル弁当だった。


 ちなみにその洋食屋は、元々はナミの祖父、つまりナミのパパのパパが始めたものだったが、ナミのパパがまだ若くて修行中の頃に、不幸にもその祖父が亡くなってしまったため、予想外にも早くからパパが引き継いだ店だった。そして当時、店の近くで芸能の仕事をしていたナミのママは、祖父の代からのその洋食屋のファンで、パパとパパの料理に一目惚れしたママの猛アタックの末、二人は結婚して、その後、一緒に洋食屋を盛り上げていくことになったそうである。ナミのママも、当時、女優として結構人気が出てきたところだったのに、仕事を辞めることにはまったく未練がなかったそうである。ナミも、昔ママに聞いたことがあるが、ママは「人間関係がかなり面倒くさい世界でね。……それで、ちょっとね……」と言うだけで、あまり話したくなさそうだったので、ナミもそれ以上は聞くこともなかった。

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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