30. 「誕生!! 魔法少女」
2026年1月1日連載スタートしました。
毎日朝8:00投稿予定しております。
「え――っ!? なんで!?」
ナミとミカが声を揃えて叫ぶと、ミカは驚きのあまり四本の足を真っ直ぐにしたままピョーンと空中に跳ね上がった。
「……ホタル。あなた、もしかしてミカがなにをしゃべってるかわかるの?」
ホタルは、あまりの衝撃のため、ナミに返事するのにかなりの時間を必要とし、しばらくの間、ハーハーと呼吸を取り乱していた。
「……うん……やっぱり……しゃべってるんだ……この子……」
ホタルは呼吸困難に陥りながら、なんとか息をツギハギしてナミに答えた。
ホタルはパニックと呼吸困難で酸素が十分に頭に行き渡らないせいか、フラフラになって、今にも倒れそうだった。
もしも現実で突然猫がしゃべり出したりでもしたら、普通なら、意味がわからなくて、自分がおかしくなったんじゃないかとパニックになってもしょうがない。ましてや、ホタルは普通の人と比べても内気で気が弱い方で、こういった特殊なケースに対する耐性も決して強い方ではない。そのため、ホタルにとって、この猫と会話する初体験は、通常の人間よりはるかに大きなダメージを受ける形になってしまった。
「ごめん、ホタル。ミカがしゃべれるってこと、ホタルには絶対にわからないと思ってたの。」
ナミはホタルに謝りながら、必死に彼女を看病した。ミカも、これ以上彼女を混乱させちゃいけないと思い、心配そうにホタルの様子を見ながら、しばらくの間、自分は黙っていることにした。そして、それからしばらくして、ホタルが少し落ち着いてきたようなので、ナミは話を続けることにした。
「ホタル。あ、あのね、実はミカはね、地球の猫じゃなくて、宇宙から来た宇宙猫なの。」
「う、宇宙猫……」
ナミから新たなパワーワードが飛び出して、ホタルは再び混乱しそうになった。
その後、ナミもホタルが混乱しないよう、注意して一つ一つ丁寧に事情を説明したので、ホタルの方もようやく落ち着いて、ナミの話を聞くことができるようになった。そして、ミカがしゃべることも、ようやく受け入れられるようになったので、それからは三人で話ができるようになった。
そして、ミカから彼女と惑星ウラニャースで起きた悲劇を聞くと、ホタルは大きなショックを受けて、しばらくは涙が止まらなかった。それからミカが地球に来て日乃彩家で暮らすことになってからのこと、それとミカのコンピュータで起きた『5色の魔法少女』の奇妙な分析結果についての話も聞いた。
「へえ、それは不思議だね。」
ホタルは、目の前の大きなスクリーンに映し出されたミカのコンピュータの5色の魔法少女の分析結果を見ながら、分析結果が不思議なのか、目の前の大型スクリーンが不思議なのか、もはや訳がわからなかった。
「それじゃ、私の方でも一応調べてみようか?」
すると、ホタルは自分のスマホでも5色の魔法少女のことを調べてみた。
それから、最新作の『子猫の魔法少女マジカルキティ』のことも確認したが、ホタルが見ても、特になんの違和感も感じなかった。
「やっぱり、私が見ても特になにも変わらないね。」
ナミとミカも、あまり期待してなかったので、予想通りの結果を受けても特に気にはならなかった。しかし実際には、ホタルのスマホのスクリーン上に表示された5色の魔法少女のイエローキティは、どう見ても奈野原ホタル本人にしか見えなかった。
「……でも、なんでホタルはミカとしゃべることができたんだろう?」
ナミは不思議そうな顔でミカとうなずき合った。
「えっ? ミカがしゃべれるって、誰でもわかるわけじゃないの?」
「うん。実はミカとおしゃべりできるのって、なぜか今まで私一人だけだったの。私のパパとママもミカとおしゃべりできないし、街中を歩いていても、今まで誰一人ミカがしゃべってるって気づいた人はいなかったの。だから、ホタルがミカがしゃべってるのを理解してるってわかった時、私達の方もすごくビックリしたんだよ。」
「へぇ……そうだったんだ。」
「うーん……それにしても、なんでなんだろう?」
ミカは、男性と女性、赤ちゃんから老人、それから家猫、野良猫に至るまで、数多くの人と猫にしゃべり掛けてみたものの、今まで誰一人一匹として自分がしゃべっているのを理解している人や猫と出会ったことはなかった。ミカはコンピュータを使って、今までの情報とホタルの結果も踏まえて再度分析を試みたが、回答は得られなかった。
「もしかすると、私の友達とか同年代の女の子だったら、ミカの言葉がわかるのかも……」
「うん、そうだね。試してみてもいいかもしれないね。」
「そうだね。……明日からダメ元でいいからやってみようかな。」
ナミは思いつきで言ってみたものの、実は自分でもあまりいいアイデアだと思わなかった。
それからミカのことやホタルのこと、お互いのことを話したり、ミカに長い尻尾を使った見事な芸を見せてもらったり、魔法を見せてもらったりして、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。そして気づけば日もすっかり沈んで、ナミ達が帰る時間になってしまった。ホタルは家の外までついていって、ずっと手を振って二人を見送ってくれた。
「ナミ。ホタルっていい娘だね。」
「うん、そうでしょ。私の一番大切な友達なんだ。」
ナミも、ミカがホタルのことを好きになってくれて、うれしかった。
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