29. 「誕生!! 魔法少女」
2026年1月1日連載スタートしました。
毎日朝8:00投稿予定しております。
二人はすぐに出かける準備を済ませると、ホタルの家へと出発した。それから、だいたい歩いて15分くらいでホタルの家に到着した。ホタルの家はレンガ調のおしゃれな感じの家だった。
ナミがインターホンを押すと、すぐにホタルがいそいそと玄関から出てきた。
「いらっしゃい。」
ホタルは満面の笑みで二人を迎えた。ホタルは春休みが始まるずっと前から、自分の貴重なたった一日の休日は、一日中ナミと一緒に過ごしたいと思っていたのに、春休みの直前に、ナミの方から、超重要な用事が突然できてしまったので本当にごめんなさいと断られていた。だから、今日はナミと会えないとなかば諦めていたのに、こうしてナミの方から会いに来てくれたのがうれしくて仕方なかった。
ホタルは、次にナミの足元にぴったりと寄り添うようにくっついているミカを覗いた。
「へぇー、この子がミカなの。わー、かわいいな。それにすごくキレイな子だね。」
「うん。そうでしょ。」
ナミは、まるで自分が褒められているみたいでうれしかった。
二人の様子を見て、ミカはキョトンとした表情でナミを見た。
「ねえ、ナミ。なんでこの娘、私のこと知ってるの?」
「うん。ホタルには家族が増えたよって報告してたんだ。」
「ふーん。そうだったんだ。」
二人はホタルの家に上がると、ホタルに案内されて二階にあるホタルの部屋に入った。
ホタルの部屋は、たくさんのぬいぐるみやかわいらしいグッズに囲まれたファンシーな感じの部屋といった彼女のイメージとは真逆の、部屋全体が薄いイエローでコーディネイトされた機能的な部屋で、壁や床には、どこかの外国の人が写った白黒の写真や、幾何学模様のどこかおしゃれに見えるデザインのポスターなどが飾られていて、素人目にはわからないが、やっぱりファッションについて勉強してるくらいなんだから、センスがいいんだろうなというところを十分に感じさせた。
ホタルは二人を自分の部屋まで案内すると、飲み物とお菓子を取りに一旦部屋を出ていった。
「……ふーん。なんかおしゃれな部屋だね。」
ミカは、ナミの部屋とはまた違った印象のホタルの部屋の中をキョロキョロと見渡しながら、部屋っていうのは、その人の性格とか個性が出るもんなんだと思った。
「そうでしょ。ホタルはすごくセンスがいいんだ。ホタル、すごくかわいいからファッション雑誌でモデルやってるけど、実は彼女、将来はファッション業界でデザイン関係の仕事をするのが夢なんだ。それで、その勉強のために、今はファッション雑誌でモデルの仕事をしてるの。」
「でも、ファッション雑誌のスカウトの人に最初に声を掛けられたのはナミの方だったじゃない。」
その時、ホタルがお茶とお菓子を乗せたトレーを持って部屋に戻ってきた。
「えっ? そうだったっけ?」
「そうだよ。学校帰りに二人で駅前を歩いてたら、突然雑誌社の人に声を掛けられて名刺を渡されて……でも、ナミは『ごめんなさい。私はそういうことに興味がないんです。』って速攻で断って、そしたら私の方を向いて、『そういえば……ホタル、将来ファッション関係の仕事がしたいんだっけ。だったら、一回挑戦してみたら?」とか言って……それから私も恥ずかしいからって断ってたのに、ナミとスカウトの両方から一回お試しでもいいからやってみたらって強引に勧められて、それで結局私だけモデルをやることになったんだから。」
「うーん。そう言われると、確かにそうだったかも。」
「ふふ。ナミは街中でそういう人に声を掛けられることが多いから、だからあんまり覚えてないんだと思うよ。」
「うーん、そうかなー? ……でもね、ホタルは雑誌でもすごい人気なんだよ。」
ナミはミカに得意げにホタルを自慢した。
実際にホタルは、その雑誌の読者人気投票でいつも一位か二位を獲得していた。
「ふーん。」
ミカは、ナミからそう聞いて、ホタルのことをじーっと見つめた。
(ホタルは、人間という点ではナミとまったく一緒なんだけど、でもナミとはまたぜんぜん違ったタイプのように見える。私は人間の美的感覚はわからないけど、ホタルも、人間でいうとやっぱり美人になるんだろうな。)
一方、ホタルの方も、ミカについて偶然ミカと同じようなことを考えながら、ミカのことをじーっと見つめていた。
それから二人はお互いじーっと目を合わすと、自然に挨拶を交わした。
「どうもこんにちは。誇り高きウラニャースショートヘアのミカと言います。」
「ふふ、こんにちは。奈野原ホタルです。」
ホタルはミカに挨拶を返した後、ナミの方を振り向いた。
「それにしてもすごくキレイな猫だね。この子、ウラニャースショートヘアっていうんだったっけ? ……でも、なんで突然猫を飼うことにしたの? ナミが猫を飼いたいって、そんな話今まで聞いたこともなかったし……それに、春休みになるまで、ナミが猫を飼うなんて話一回もしてなかったよね? どうして急にこの子を飼うことになったの?」
ホタルは、ナミの実家が洋食屋という飲食の仕事をしている関係上、彼女が犬や猫などのペットを飼うのに昔からあまり興味がないことを知っていたので、そんな彼女が、なぜ急に猫を飼うことにしたのか不思議で仕方なかった。
「う〜〜ん。それは……」
ナミは、ホタルにだったら、なぜか本当のことを話しても大丈夫な気がして、本当のことを言おうかどうか真剣に悩んだ。
「でも、こんなかわいい子猫が急に目の前に現れちゃったらしょうがないかも。私だってすぐに飼いたくなるもん。」
ホタルはミカの方を見てうれしそうに笑った。
「ありがとう。」
ミカはホタルに少し頭を下げた。
「ふふ……それに、こんなにお利巧さんだし…」
そこまで言うと、ホタルは急にフリーズした。
「……あれ?」
ホタルは、常識にはない違和感を感じると、ミカのことをじーっと見つめた。
「あれ? どうしたの?」
ミカは、不思議そうに首を傾げながら、ホタルの顔を見上げた。
ホタルは頭が混乱して、ナミとミカを交互に何度も見返すと、おそるおそるナミに確認した。
「あの……もしかして……だけど……この子猫……しゃべってる?」
ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、
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