28. 「誕生!! 魔法少女」
2026年1月1日連載スタートしました。
毎日朝8:00投稿予定しております。
ナミの春休みが始まって4日目、そしてミカが地球に来てから5日目、二人は東京から帰ってきて、宝石プロダクションミュージアムに展示されていた資料をすべて分析してみたが、結局、新たに5色の魔法少女シリーズの1作品の舞台を特定できた他、特にめぼしい発見はなかった。
ミカが地球に降り立ってから5日が過ぎ、それから6日、7日……と過ぎてゆき、気づけば今日で10日目になっていた。その間、二人は五色の魔法子猫と5色の魔法少女に関する情報を求め、各地を巡って新たな情報を求めたが、いずれもこれといった成果なく無情にも時間だけが過ぎていった。
ミカは当初、伝説の五色の魔法子猫がいるという惑星に降り立てば、すぐにでも彼女達が見つかるものと思っていたが、現実はまったくの逆だった。ミカのコンピュータで、最初地球の魔法子猫に関するTRUE(本当)の情報が0件といわれた時は確かにショックだった。だが本当に地球上に五色の魔法子猫が存在するなら、その後、情報を上書きしていくなかで、彼女達に対する新たな情報が追加されたり、当初ウソだと判定された情報にTRUEの可能性が出てきたりしないとおかしかった。しかし現実は、依然99.99997%の可能性で、地球上に五色の魔法子猫は存在しないことになっていた。
ほぼFALSE(ウソ)だとわかりきってるのに、なのにあえてわざわざ現地まで赴いて、五色の魔法子猫のことを調査しようなんて、普通だったらミカでも絶対に思わないだろう。しかし今のミカには、その0.00003%の可能性にすがる以外他に方法がなかった。ただし、自分は別にそれでもよかったが、こんな無謀なことにナミまで巻き込んでしまったのが心苦しかった。せっかくの春休みだというのに、友達とどこにも遊びに行けず、彼女にとってはまったく関係のないことにずっと付き合わせてしまっている。それに、ナミのパパとママの洋食屋も春休み中の営業は普段より忙しいらしいのに、自分のせいで二人にも色々と負担をかけてしまっているので本当に申し訳なかった。
しかしナミとナミのパパとママがいなければ、ミカ一人で調査を実行するのは事実上不可能だった。もしミカがナミの元を離れ一匹の野良猫として五色の魔法子猫探しに出た場合、彼女一人では一週間以上生存するのは不可能で、地球で生存するためには、地球の飼い猫と同様に、どこかの家で普通の一匹の飼い猫として一生を終える以外他に選択肢はないとミカのコンピュータは提示していた。
春休みを通し、ナミとミカは四六時中いつも行動をともにし、二人の絆はより強固なものとなった。ミカにとってナミは本当のお姉ちゃんみたいな存在で、日乃彩家は居心地がよくって、自分の家みたく心の底からリラックスして過ごすことができる。できれば、いつまでもこうしていたい気持ちもあるが、彼女は地球に亡命に来たのではない。ミカはロボットによって種の滅亡の危機にある故郷のウラネコ達を救うため、伝説の五色の魔法子猫を探すために地球に来たのだ。それに、もうこれ以上ナミの家族にも迷惑をかけることはできない。ナミの春休みも、もうあと少しで終わる。そしたら、日乃彩家から出ていこう。たとえ一人きりだとしても、0.00003%の生存可能性はあるんだから。ミカは心の中でそう決めていた。
ナミはイスに座って、今日これから訪問する方面のことを調べていた。
「う―ん……。こっちに行ったら、今日中にあっちの方に行くのは、時間的に少し厳しいかな?」
「……ナミ、ごめんね……せっかくの春休みなのに……」
ミカは、今も懸命に自分のために五色の魔法子猫探しを手伝ってくれているナミを見て、すっかり落ち込んだ様子だった。
「……コラ。そんなこと言うんじゃない。私は好きでやってるんだから。それに、私はミカと一緒にいれてすごく幸せなんだよ。」
ナミはイスから立ち上がり、ミカをそっと持ち上げると、やさしく抱きしめた。
ナミは、ミカが今どんなことを考えているのか、彼女にもそれは痛いほどわかっていた。ミカが地球に来てから日が経つに連れ、少しずつ元気がなくなっていく。それなのに、彼女の力になることができない自分の無力さが悔しかった。それから自分の春休みが終わったら、彼女が日乃彩家から出ていこうと思っていることも、ナミにはなんとなくわかっていた。
「……うん。ごめんね。私もナミと一緒ですごく幸せだよ。」
「ミカ、大好き……。本当の妹みたい。」
「うん。私も……」
二人はその姿勢のまま、目を閉じてしばらく抱き合っていたが、ナミは突然なにか思いついたようで、目を大きく見開くと、ミカをそっと机の上に置いた。
「……そうだ! こうやって一日中必死に外を歩き回って、それで家にいる時はずっとパソコンとにらめっこ、みたいな生活ばっかりしてたら、さすがに気が滅入っちゃうよね。……だったら、今日は思い切って気分転換にどっか遊びに行こうか?」
「うん! そうしよう!」
ミカが少し元気になったように見えて、ナミは少しほっとした。
「よし! そしたらどうしようかな? 今からだったら……うーんと……あっ、そうだ! そしたら、これからホタルの家に行こうか?」
「ホタル?」
「うん。奈野原ホタルっていって。私の一番の友達で、とってもやさしくてかわいい娘なの。ファッション雑誌でモデルなんかもやってて、それで同世代の女の子からもすごく人気なんだ。……ホタル、学業を優先するって理由をつけて、普段はモデルの仕事をセーブしてるから、雑誌社の人から春休みの間にものすごい量の仕事を入れられちゃったみたいで――ちょっと気の毒なんだけど――でも、確か今日一日だけお休みを入れてもらったって、前に言ってたから……それで、どっか出かけてなきゃいいんだけど……」
ナミはさっそくホタルに連絡をとった。
「……よかった。ホタル、家にいるから、今から来てもいいよって。じゃあ、今からホタルの家に行ってみよう。」
「うん。」
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