26. 「誕生!! 魔法少女」
2026年1月1日連載スタートしました。
毎日朝8:00投稿予定しております。
「じゃあ行ってくるね。悪いけどミカ、ちょっと待っててね。」
「うん。いってらっしゃい。」
ナミの春休みが始まって4日目、そしてミカと出会ってから5日目の今日、二人は東京に来ていた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ミカのコンピュータで、すべてがFALSE(ウソ)として選別されてしまった6,257件の魔法子猫の情報と312件の五色の魔法子猫の情報。そして最初はTRUE(本当)として選別された29作とUND(未定)とされた『子猫の魔法少女マジカルキティ』の、合わせて30作品の5色の魔法少女シリーズ。2日目からは、二人はそれらの内容を吟味し、ある程度場所が特定できて、かつ比較的自宅からもなんとか通える範囲を中心に調査していたが、今のところまったく成果がなかった。
魔法子猫に関しては、日本よりもアフリカやヨーロッパ地域の方が質的にも量的にも有益そうな情報が多かったが、さすがに遠すぎるので、二人はとりあえずそちらは後回しすることにして、国内の情報を優先して直接現地に赴くなどして調査を実施した。
5色の魔法少女は物語の舞台が架空の街となっているため、各作品のベースとなる都市がどこなのか特定するのは困難を極めた。ミカのコンピュータで調べてみると、全30作品を通して共通の舞台となっている『ありふれた郊外』に該当する街が、宝石市も含め全国で100箇所以上存在した。さらに調べてみると、その『ありふれた郊外』に、一作品辺り数百に及ぶ全国各地の様々な街のフレーバーがミックスされていて、それがモデルとなる都市を特定するのをより一層困難にしていた。一番多い作品になると、なんと作中に700箇所以上もの場所や地域などが他に特定することができた。それでもミカのコンピュータは、何作かの作品の、実際の舞台となった街を特定することに成功した。ただし『子猫の魔法少女マジカルキティ』は、放送開始前で現時点では情報もほとんどないので、放送が始まってから改めて調べることにした。
それから、ミカは行く先々で多くの人や猫に話しかけてみたが、いまだに誰とも会話を果たすことができず、ミカと会話できるのは、なぜか今もナミ唯一人だけだった。ナミのパパとママも、直接が無理だったら、ミカのコンピュータを介してミカと会話しようと試みたものの、ミカのコンピュータを通すと、音声だとやはりニャーニャーと鳴いてるようにしか聞こえず、また文章にすると、なぜか変な文字化けを起こしてしまうので、いまだにナミを通してでしか会話することができなかった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そして二人がなぜ今東京にいるのかというと、やはりどう考えても5色の魔法少女が1番気になる。というわけでナミ達は今日、シリーズの制作会社である宝石プロダクションの本社がある東京までやって来たのだった。
ナミ達は例の5色の魔法少女TRUE差し替え事件があって、すぐにでも宝石プロダクションに行ってみたかったが、もし直接本社に訪問したとしても、誰も会ってくれないだろうし話も聞いてくれないのはまず間違いないので、だったら宝石プロダクションの本社横に併設されている宝石プロダクションミュージアムにとりあえず行ってみようということになった。そこでなにか五色の魔法子猫に関係する資料が見つかればありがたいし、そこのスタッフに事情をうまく説明して、運がよければ関係者とも会わせてくれるかもしれないと思ったのである。
しかし、いざ宝石プロダクションミュージアムに行こうとしたら、春休み中のせいなのか、どの日も予約でいっぱいで、幸いにもこの日に1つだけ予約の空きができたのだ。
ナミは近くの公園でミカに待機してもらうと、宝石プロダクションの本社まで行って、守衛でミュージアムの受付登録を済まし入館許可証をもらうと、ミュージアムの方へ向かった。
ミュージアムには、宝石プロダクションが過去から現在までに制作した数多くの作品資料が一斉に展示してあった。それはナミがまったく知らない大昔のものや、ナミが小さい頃に観たことがある作品もあった。中でも5色の魔法少女シリーズは宝石プロダクションの看板作品なので、展示スペースのかなりの割合を占めて、入口を入ると右手には歴代の29作品の5色の魔法少女達の等身大パネルが一同に展示されていて、そこで来館者が記念撮影できるようになっていた。
そしてパネルから少し離れた場所では、男性二人がなにか打ち合わせでもしてるようだった。
「それにしても……いいんですか? 忙しいのにこんなとこにいたりして。」
「いやあ……それがさあ、今の時期は別にそんなでもないんだよ。」
ナミはミュージアムに入ると、他の作品には目もくれず、5色の魔法少女シリーズのコーナーへと向かった。ナミは一つ一つの資料を食い入るように見つめた。ナミが見つめた先は、偶然にもナミが小さい頃に観ていた『苺の魔法少女マジカルフレッサ』だった。
「懐かしいな。これ……」
ナミが小さい頃は、同世代の他の女の子達と同様に5色の魔法少女を観て育ったが、彼女自身はあまりのめり込むこともなくって、5色の魔法少女から卒業するのも割と早かった。それでも『苺の魔法少女マジカルフレッサ』の資料を見ると、自分の小さかった頃のことを思い出して、少し懐かしい気持ちになった。
「……いいよ。」
その時、ナミの耳元にミカの声が届いた。
ナミはミカの声が聞こえると、さっさと隣の資料へ移動した。
会場の中にいる誰にも見えないが、実はナミの前面にはミカのスクリーンが浮かびあがっていた。
ミカはスクリーン越しに資料を確認すると、すぐさまそれを分析していった。会場内は等身大パネル以外、一切の撮影がNGで、もちろんペットの同伴もNGで、だからといって、ミカがいないと資料の分析は不可能なので、これは二人にとって苦肉の策であった。
ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、
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