25. 「誕生!! 魔法少女」
2026年1月1日連載スタートしました。
毎日朝8:00投稿予定しております。
ナミは、ミカが言ったままのことをパパとママに伝えた。
「ふーん。それにしても不思議ね。」
「そういえば……5色の魔法少女のことを制作会社に問合せるって話はどうだったんだ?」
「……あっ! そうだ! そういえばメールで問合せした件、もしかしたら制作会社から返事がきてるかもしれない。よし! ミカ、見に行こう。」
「うん!」
そう言って、二人はそのままナミの部屋へ駆け込んだ。
ナミはイスに座ると、すぐにノートパソコンの電源を入れた。
「今朝メールを送ったばかりだから、まだ返信はきてないと思うけど……」
ナミは口ではそう言ってみたものの、心の中ではなぜか少しイヤな予感がしていた。
少し待つとパソコンが立ち上がって、ナミはすぐにメールの画面を開いた。
今日届いた何件かの大して重要じゃないメールの中に、果たしてそのメールは確かに存在した。
送信先は、宝石プロダクションの5色の魔法少女『子猫の魔法少女マジカルキティ』の制作チームの代表からで、タイトルは「Re: 問合せ」となっていた。
「あった!」
ナミは、よかったという気持ちより、なぜかそのメールを見るのが少し不安な気持ちになった。
「早く見ようよ。」
ミカが横からワクワクした様子でナミに催促した。
「えっ? ……うん。開けるよ。」
ナミは少し勇気を出して、おそるおそるそのメールを開いた。
Re: 問合せ
日乃彩ナミ様
いつも5色の魔法少女シリーズを応援いただき、誠にありがとうございます。
5色の魔法少女シリーズは、長年に渡りあなたのような熱心なファンの皆さまのご声援に支えられ、今年で無事に30周年を迎えることができました。
お問合せの件ですが、子猫の魔法少女マジカルキティは、4月からの放送を純粋に楽しんでもらうため、公式で発表している以外の情報につきましては、一切公開することができません。申し訳ありませんが、放送が開始するまで、それまでしばらくはお楽しみにお待ちください。
さて、もしも5色の魔法少女が本当に地球にいたりしたら、それはとても素敵なことでしょうね。残念ながら、私達はまだ彼女達と会ったことはありませんが、もしかするとこの世界のどこかにいて、いつかあなたとも出会うことがあるかもしれませんね。
そしていよいよ4月から、5色の魔法少女シリーズの記念となる30作目になる『子猫の魔法少女マジカルキティ』がスタートします。我々制作一同、放送開始に向けて、みなさんに楽しんでもらえる作品になるように、すべての情熱をかたむけて作品の制作に取り組んでいるところです。
新作の『子猫の魔法少女マジカルキティ』、そして新しい5色の魔法少女達も、きっとあなたの新たなお気に入りになっていただけると、そう信じております。
これからも5色の魔法少女の応援よろしくお願いします。
宝石プロダクション
それは、おそらく大量のファンからの問合せに対して、いつでも対応できるよう事前に作成している、いわゆる定型文のメールに少しアレンジを加えたような内容で、ナミが予想したものとはまったく違った内容だった。といっても、ナミは開く前にどんな内容のものを想像していたのか漠然として、今となってはなにを不安に思っていたのかわからなかった。
メールの最後には『子猫の魔法少女マジカルキティ』のホームページのリンクが貼り付けてあった。
ナミは試しにそのホームページを開いてみたが、物語の簡単なあらすじや、5色の魔法少女の紹介などが載っている普通のホームページで、特にめぼしい発見はなかった。
「うーん。なんか期待したり心配したりしたけど……なんか損した気分。」
「そうだね。」
ミカも宝石プロダクションのメールやホームページを自分のコンピュータで色々と分析してみたが、特に異常は発見されなかった。
「もう遅いし……お風呂に入ったら、今日はもう寝よっか?」
「うん、そうしよう。」
二人は、そこでそれまでの緊張の糸がプツリと切れて力が抜けると、そのままゆっくりとお風呂場へと向かった。
だが、本人達はまったく気づかなかったが、実はものすごく奇妙なことが二人には起こっていた。
二人が先ほどまで見ていたホームページを覗いてみると、そもそも番組のタイトルが、5色の魔法少女シリーズ『子猫の魔法少女マジカルキティ』だったし、あらすじも、ロボットの反乱によって故郷の惑星が滅亡の危機に瀕し、5色の魔法少女を探しに宇宙船に乗って地球にやってきた子猫というのは、どう考えてもミカのことだったし、5色の魔法少女のキャラクター紹介ページで紹介された主人公の赤色の魔法少女レッドキティは、アニメ風の作画になっているものの、どうみてもナミにしか見えなかった。だが、彼女達はホームページをじっくりと何度見返しても、そのことがまったく認識できなかったのである。
ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、
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