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23. 「誕生!! 魔法少女」

2026年1月1日連載スタートしました。

毎日朝8:00投稿予定しております。

 二人は川を挟んだ橋を渡ると、そのまま川沿いの道を歩いた。それからしばらくすると、むこう側からトレーニングウエア姿の女の子が走ってくるのが見えた。


「……あっ、遊草ゆくささんだ。」

「知ってる人なの?」

「うん。高校のクラスメイトなんだ。」


 二人が立ち止まって遊草さんを見ていると、遊草さんの方もナミ達の存在に気づいたらしく、ナミの前まで来ると立ち止まった。


「遊草さん。こんにちは。」

 ナミは游草さんと偶然出会ってうれしそうだった。


「あっ、こんにちは……」

 それに対し、遊草さんは無表情だった。それと声がすごく小さい。


 彼女の名前は、遊草ゆくさシノ。


 ナミが言った通り、同じ宝石女子学園に通う1年生のクラスメイトだが、ナミとはとりわけ親しい間柄というわけでもない。背はナミと同じか少し低いくらいで、細長い目と小さな口が印象的で、一見した感じだと、ショートヘアのクール系美少女のように見受けられる。彼女は普段から冷静で落ち着いていて、感情を表に出すことがほとんどないという。


「遊草さんはトレーニング中なの?」

「うん、そう……」

「へえ、偉いなあ。毎日走ってるの?」

「うん……。まあ、大体毎日かな……」


 遊草さんは、いつものように表情を崩さずナミと少し会話していると、ナミの後ろでキョトンとした表情で自分を見つめている子猫を見つけた。


「かわいい……子猫……」

 遊草さんは、ミカの前にしゃがみこむと視線をミカに合わせた。


「こんにちは。」

 ミカは少し緊張しながら遊草さんに挨拶した。


「ふふ、こんにちは……」

 遊草さんは、ほんの少しだが口角が上がっているように見えた。近くにいても表情を識別するのは難しいが、どうやらミカを見て少しうれしいようである。


 遊草さんはミカの頭をやさしく撫でた後、立ち上がってナミの方を向いた。


「あの……私、ランニング中だから……行くね……」

「あっ、ごめん。ランニング中に引きとめたりして。」

「いいの。じゃ……」

 遊草さんは小声で言うと、ナミ達が歩いてきた方向へと走り去った。


 ナミ達は、遠くなっていく遊草さんの後ろ姿をしばらくの間眺めていた。


「ミカ。あのね、遊草さんてすごくいい娘なんだよ。」

「へえ、そうなんだ。」

「うん。いつもクラスにいる時はツンとして無表情だから、それで誤解されやすいの。それに彼女一人でいるのが好きみたいで、普段はクラスメイトが気軽に声を掛けにくいような空気を醸し出しているし、授業が終わって休み時間になると一人でどっかに行っちゃうから、クラスの中でも少し浮いちゃってるっていうか。……でもね、黒板を消す当番の娘が風邪でお休みしちゃった時とか、率先して黒板を消してくれたり、クラスメイトがお弁当を忘れて困ってると、さっとその娘にパンを手渡してあげたり、本当はすごくいい娘なんだ。だから、クラスでも実は彼女のファンだって娘が結構いるんだよ。」

 ナミは、まるで親友の自慢をするみたいに、誇らしげに遊草さんのことをミカに話した。

「うん。私もあの娘に温かさを感じたよ。」


 その後二人は、引続きしばらく様々な場所を歩き回ったが、特になんの収穫もなかった。


「――今日はもう帰ろっか?」

「うん、そうだね。」

 気がつけば、太陽も落ちて、辺りはすっかりオレンジ色に染まっていた。


「あっ! いけない。今日は私が料理当番だった。」

 今日はパパもママも夜遅くまで洋食屋でお仕事だった。


「ミカはなにか食べたいものある?」

「できればお魚を……」

「そう。じゃあ、今日はお魚にしようか。」


 二人は家に戻ると、早速ナミは台所に向かって夕食の準備を始めた。ミカはリビングのソファに座りながら、スクリーンを出して色々調べものをしていたが、しばらくすると疲れてきたのか、うとうととソファの上で眠りに落ちた。それから夕食ができて、ナミとミカは二人だけで早めの夕食をとった。食後、ミカはソファに座って再び調べものをしていたが、またも知らぬ間に眠ってしまった。ナミは洗い物を終えると、宿題を片づけたり、ミカのかわいらしい寝姿を見て幸せな気分に浸ったりしていると、家の外から車のエンジン音が聞こえてきた。

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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