22. 「誕生!! 魔法少女」
2026年1月1日連載スタートしました。
毎日朝8:00投稿予定しております。
二人は昼食を済ますと、いってきまーすと元気に家を出てみたものの、どこに向かって歩けば正解かわからない。ナミは右へ行くか左へ行くか一瞬悩んだが、さっと右を向いた。
「とりあえず、まずは適当に歩いてみようか。ミカは外見るの初めてだもんね。」
「……う、うん。そうだね。」
実は昨日学校からナミの家に帰る道すがら、バッグのチャックを開けてこっそりと外の景色を眺めたが、あの時は夜が迫って景色も薄らぼんやりとどこか心細さを感じさせたが、今は太陽も昇って景色も色鮮やかに、まさに散歩するには絶好の春日和で、昨日とは気分もまるで違う。地球の街並みは自然が多く、やはりウラニャースと比べると少しクラシックな印象で、まるで異国の情緒あふれる古い街並みを歩いているかのような気分だ。
「桜が綺麗だね。」
「桜? うん、そうだね。」
ミカの頭上には常に小さなスクリーンが浮かび上がって、対象物を見るとその情報が瞬時に表示されるようになっていた。スクリーンはミカにしか見えないようにしてあったので特に問題はなかった。
ミカは歩いていると、先ほど見たのと同じ緑の看板の建物を発見した。
「ねえ、ナミ。あのコンビニにちょっと寄ってみてもいい? 地球のお店ってどんなものが売ってるのか興味があるの。」
「えっ? コンビニ?」
「いい?」
「うーん……。ごめんね。ミカは本当はすごい子なんだけど、見た目は地球にいる猫とあまり変わらないから……ここだと猫はペット扱いになっちゃうんだ。ペットは普通コンビニとかほとんどのお店には入ることができないんだ。いろいろ不便をかけて申し訳ないんだけど、我慢してもらえないかな?」
「……そうなんだ。それじゃあ仕方ないね。」
ミカはがっくりと頭を下したが、ちょっと気になったので、ペットの猫っていうのがどんなものか調べてみた。
――ふむふむ。なるほど、ペットの猫というのは人間の生活を豊かにするパートナーである。基本的にごはんや生活に必要なあらゆる品々は、すべて飼い主である人間から支給され、猫は自分の気分のおもむくまま、好きな時に遊び、好きな時に寝る。そして人間の仕事に時々ちょっかいを出すのが好きである。特に自分ではなにもしない。もちろんしゃべることはできない。ニャーとか鳴く。猫が飼い主の人間に対してどのような認識をもっているのかは不明である。飼い主である人間は、猫と遊んだり猫を観察するのが楽しいそうである。えっ? なんなの、このペットの猫っていうのは? ここまで怠惰な暮らしが許されているなんて。私なんかでも少しは家のお手伝いなんかしてるのに。
もしかするとウラネコが退化していったら、こんな風になってしまうのだろうか? 同じ猫に属するものとして、ミカは急に恥ずかしくなった。
「ナミ……」
「うん? どうしたの?」
「ごめんね。地球の仲間達がずっとお世話になってて。」
「えっ!? なんのこと?」
――二人は、その後も気の向くまま宝石市内をあちこち歩き回った。家を出てから、かれこれもう2時間くらい経過したが、その間二人は色んな人とすれ違った時に、ミカを見て「わー、かわいい子猫。」と近寄って何度も声を掛けられた。確かに、ミカは見た目だけだと、アメリカンショートヘア、それもコンクールに出ればチャンピオンになれるくらいすごく愛らしい子猫にしか見えない。そして、中にはミカのことを撫でたりしながら、ミカの長い尻尾を見て、「わっ! 長い尻尾。」と驚いたりしていた。ミカはそんな人達に対し、試しに一言二言しゃべりかけてみたが、ミカがしゃべっていると認識しているみたいな人は一人もいなかった。
それは対象が猫の場合でも同様だった。ミカは街中で猫と出会った時に、色々と声を掛けてみたが、まったく相手に通じなかった。ミカの耳にも、相手の猫はニャーニャーと鳴いてるようにしか聞こえなかった。
「うーん……。ミカがしゃべってるって誰も気づかなかったね。もしかすると年齢とか性別とか、なにか特定の条件があるのかって思ったけど、特にそんなこともないみたいだね。」
「うん。私もコンピュータで分析してみたけど、結局わからなかった。」
「うーん。だったら、なんで私だけしゃべれるんだろう?」
二人は、ほんの一言か二言くらいだったら、たとえ聞こえてしまっても多少ごまかしが効くだろうし、それにミカのコンピュータでも特に問題ないって回答がでたので、ミカとしゃべれる人の条件を抽出するために、ナミ達に声を掛けてきた人達に対し、ミカは少ししゃべってみたが、おそらくむこうは、ナミのパパやママと同じように、ニャーと言っているようにしか聞こえなかったのだろう。それから地球の猫は、人間相手だけでなく同じ猫同士であっても会話することができなかったので、そもそも地球の猫は基本的に会話するという能力自体がないのだろう。
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