21. 「誕生!! 魔法少女」
2026年1月1日連載スタートしました。
毎日朝8:00投稿予定しております。
「えっ!? まさか!?」
ナミは、あまりにも信じられない情報がスクリーンに表示されているため、ミカのコンピュータの方を疑ってみるしかなかった。
「あれ? どういうこと? 5色の魔法少女は空想上の世界の話だって……ナミ昨日言ってたよね?」
「もちろん。あれはアニメだけの話よ。ぜんぜん現実の話なんかじゃない。……だって、私も子供の頃、日曜日の夜になったら毎週ワクワクして5色の魔法少女をテレビで観てたのよ。」
ナミはきっぱりと言い切った。
5色の魔法少女が現実の話であるはずがない。
――もし5色の魔法少女が本当にいるんだとしたら、それはそれで少し素敵な気もするけど……でも、あの話がもし本当だったのだとしたら、それはそれ以上に悲惨な話だ。あれは、あくまで空想上の世界だから面白いのであって、現実に毎年のようにどこかの惑星が必ず何者かに侵略されて滅亡の危機に陥ってしまうなんて――最終的には5色の魔法少女達によってその星は必ず救われることになるんだけど――でも、たとえそうだったとしても、そんな世界線があっていいはずがない。
「うーん……。私のコンピュータの正答率は99.99997%のはずだから、まず間違えるなんてことはないはずなんだけど……。でも、これって一体どういうことなんだろう?」
「そうね。5色の魔法少女のことは後でアニメの制作会社にも聞いてみるし、これからは五色の魔法子猫以外に5色の魔法少女のことも一緒に調べるようにしようか?」
ナミは心の中で、五色の魔法子猫より5色の魔法少女のことを調べていった方が、より真実に近づけるのではないかという気がした。
「あっ、そういえばこのUNDの1件ってなんだったんだろう?」
「ミカ。UNDってどういうことなの?」
「うん。UNDっていうのはね、まだ本当でもウソでもない、つまり未定ってことだね。そしたら、これもなんなのか見てみるね。」
するとスクリーンには、アニメ『5色の魔法少女』シリーズの30作目にして最新作にあたる『子猫の魔法少女マジカルキティ』が表示された。
「子猫の……魔法少女……?」
「マジカル……キティ……?」
二人はスクリーンに表示されたタイトルに特大の違和感を覚えた。しかし、二人ともいくら考えても、なぜかそれ以上考えを前に進めることができなかった。
「マジカル……キティ……魔法の……子猫? うーん……」
「『マジカルキティ』は来月からアニメが始まる予定だから、もしかしてそれで未定ってなってるのかな?」
「う~~ん。……ちょっと休憩しようか。」
「うん……そうだね。」
ミカは目の前の大きなスクリーンを閉じると、ナミの方を振り返った。
「ちょっと飲み物でも持ってくるね。」
ナミは、まるで予想もしていなかった事態に直面し、混乱のしすぎで、少し頭を整理する時間がほしかった。
「それにしても……大変なことになっちゃった。情報がないよりぜんぜんいいことなんだけど……。私達、これから一体どうなっちゃうんだろう?」
ナミが部屋に戻ると、ミカは行儀よく床に座ってナミの帰りを待っていた。
「おかえり、ナミ。実は、話忘れてたことがあったんだけど……」
「えっ? 何?」
「実は、このリボンのことなんだけど。」
ミカは自身の首元に飾られた水色のリボンを胸を張って強調した。
「このリボン、実はただのリボンじゃなくて、伝説の五色の魔法子猫達を発見するレーダーになってて……五色の魔法子猫を見つけると、リボンについてる5色の石のどれかが光るようになってるんだ。」
「へえ、そうなんだ。」
ナミはミカの近くまで寄って首元のリボンをじっくり観察した。
「うん。本来は五色の魔法子猫を発見した時に光るはずなんだけど……でも、さっき調べた感じだと、魔法子猫って、もしかしたら魔法少女のことだったって可能性もあるのかなと思って……」
「うん……。」
「それで……何色でもいいから、ナミが五色の魔法子猫だったらすごくいいのになと思ったんだけど……やっぱり、光らないね……。」
ミカは本当にがっかりしたように頭を下ろした。
「そうだね。もし私が五色の魔法子猫の一人だったら、ミカの星を救うことができるかもしれないし、それにミカともずっと一緒にいられるかもしれないね。……でも、そのリボン、どうやったら光るの? なにか方法とかあるの?」
「えっ? そういえば……どうやったら光るんだろう? パパは私と五色の魔法子猫の想いが重なった時に初めて光るって言ってたけど……でも具体的にどうしたらいいのか、パパとママからなにも聞いてなかった。」
ナミは、地球上に5色の魔法少女でも五色の魔法子猫でもどっちでもいいから、本当にいるんだったら、自分が魔法少女になってミカの星を救いたい。そう強く願いながら、ミカのリボンをしばらくの間、じーっと見つめた。それからリボンにまったく反応がないのを確認すると、ふーっと大きくため息を吐いた。
「……あっ、そうだ。そろそろ5色の魔法少女の制作会社に電話してみるね。」
5色の魔法少女の制作会社は宝石プロダクションという会社で、ナミは連絡先を確認すると、さっそく代表番号に問い合わせし、そこから運よくアニメのスタッフという人に繋いでもらうことに成功した。しかしそこからは、アニメの情報についてなにか知りたいことがあれば、公式の問合せフォームから問合せして下さいの一点張りで、何度真剣にお願いしても、むこうはまるで相手にしてくれなかった。
――でも、残念だけど仕方ない。昨日までの私だったら、宝石プロダクションの人とまったく同じような反応をするかもしれない。小さい子供とかだったらまだしも、私のような高校生にもなってある程度分別もある年頃の女性が、魔法少女って本当にいるんですか? みたいなことを真剣に聞いてたら、第一迷惑だし、普通は絶対に変な人だって思われるだろう。
「うーん……仕方ない。そしたら宝石プロダクションの人に言われた通り、とりあえずホームページにある問合せフォームから聞いてみることにしよう。」
ナミはパソコンのプラウザを開き公式のホームページにアクセスすると、具体的な内容は伏せつつも、それとなく本質はついた内容を記入して問合せフォームに送信した。
「よし! とにかくこれで今できることはすべてやった。後はどんな回答が来るか待つだけだ。……ふーっ、これで午前の調査は終わりにしようか? スクリーンばっかり見てて、ちょっと疲れたよね? 昼食を食べたら、それから気晴らしに外に出て調査しようか?」
ナミはノートパソコンを閉じると、イスをくるっと180度回転させて後ろを振り向いた。ミカはベッドの上で少し眠そうにしていた。
「うにゃ!?……うん、そうしよう。」
ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、
【ブックマークに追加】
【ポイントを入れて作者を応援しよう】
に、あなたの評価『★』をお願いします。




