19. 「誕生!! 魔法少女」
2026年1月1日連載スタートしました。
毎日朝8:00投稿予定しております。
「――この宇宙船大事なものだから……とりあえずどこかにしまっておこうか?」
少し落ち着いたところで、ナミがミカに声をかけた。
「あっ! そうそう。大事なことなんだけど……この宇宙船の左右の赤と緑のボタン、特に緑の方のボタンは絶対に押したらダメだよ。」
「えっ? 本当? ごめん……裏庭で何回も押しちゃった。」
「え―っ!? なんで!?」
ミカは驚きのあまり四本の足を真っ直ぐにしたままピョーンと空中に跳ね上がった。
「ごめん。宇宙船の中を開けようとした時、どうしたら開くのかわからなくって……それで、何回も押しちゃった。」
「……うん。それだったら仕方ないけど……。でも、だったらなんで宇宙船は起動しなかったんだろう?」
「えーっと……そのボタンなんなの?」
「このボタンはね、赤いのがウラニャースから『伝説の五色の魔法子猫』がいる星へ向かうボタンで、それでこの緑のが『伝説の五色の魔法子猫』を見つけたあと地球からウラニャースに帰る時用のボタンなの。」
「ふーん、そうなんだ。でも……なんで起動しなかったんだろう?」
「うーん……なんでだろう?」
ミカは少し考えるとイヤな予感がした。
もしかするとこの緑のボタン、そもそも惑星ウラニャースに戻るボタンじゃなかったんじゃないか? ……いや、絶対にそんなことない。ミカは首を横にブルブル振った。
「とにかく! ……もうこのボタン、絶対押したらダメだからね。」
ナミがパパとママに宇宙船の説明をすると、パパが宇宙船のボタンにバッテンとテープを貼って使用不可にして、よっこいしょと宇宙船を抱え上げると、とりあえずクローゼットにしまっておいた。
ちなみに、先ほどミカが宇宙船を操作したのは科学の力で、宇宙船のような重い物体を魔法で移動することはできないそうである。そして宇宙船は基本遠距離移動用で、中に入って操作することはできないらしい。
「――ミカ。もう遅いし今日は寝よっか?」
「うん。」
ナミとミカはパパとママにお休みを言って、二階のナミの部屋に入った。
ナミは毛布を折り重ねてミカのために簡易用のベッドをこしらえた。
「ごめんね。ミカのベッドはすぐ買ってあげるから、今日はここで我慢してね。」
「ううん、ありがとう。」
ミカは毛布の上にトコトコと移動すると、そこに寝転がった。
ナミはミカに一緒に寝ようと何度も誘ったが、ミカは誇り高きウラニャースショートヘアを代表して地球に来た自分が、誰かと一緒に寝てもらうなんて恥ずかしいことは絶対にできないと頑なに拒否したのだった。
「じゃあ、電気消すよ。」
「うん。」
「お休み。」
「うん、お休み。」
電気が消えて部屋が真っ暗になると、ミカは視界の悪い部屋をキョロキョロと見渡しながら、長かった今日の一日を振り返った。
ミカにとって、故郷のウラニャースでパパとママにお別れして、宇宙での長い旅路の果てに地球に到着し、地球でナミと出会い、そして日乃彩家のお世話になるまで――これだけの出来事が――体感では、わずか一日の間に起きた出来事だった。でも、本当はどれくらいの月日が流れていたのだろうか? パパとママとは一日しか会ってないはずなのに、それがなぜか何十年にも、何百年にも感じられる。ミカは想像するとゾッとした。でも、今日『伝説の五色の魔法子猫』がいるという地球に来て、それからすぐにナミに見つけてもらって、ナミの家族と出会うことができたのは本当に幸運だった。今夜は地球に来て楽しかったことだけを考えることにして、ウラニャースであったことは考えないようにしよう。でも……電気が消えて一人ぼっちになってしまうと、どうしてもウラニャースのこと、パパとママのことばかり考えてしまう。
ミカはだんだん心細くなってきた。その時だった。ナミがベッドからミカに声を掛けた。
「ミカ。おいで。」
ミカはさっと立ち上がると、ナミのベッドめがけピョーンとダイブした。
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