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16. 「誕生!! 魔法少女」

2026年1月1日連載スタートしました。

毎日朝8:00投稿予定しております。

 くんくん……。階下から、なにやらすごくおいしそうな匂いが漂ってくる。

(地球のごはんってどんなのかな? ……って、そんなこと考えてる場合じゃなかった。まずはナミのママにちゃんと挨拶しなくちゃ。)


「ミカ、これからママにあなたのこと説明するから。それまで後ろで待っててね。」

「うん。わかった……。」

「ふふ……別に緊張しなくていいんだよ。ママはやさしいし、ちゃんと事情を話せばきっと大丈夫だから。」

「うん……。」


 二人が台所に入ると、ナミのママがテーブルの上に料理の準備をしていた。しかしテーブルが高くて、ミカにはどんな料理なのかまったくわからなかった。


「ごはんが冷めないうちに早く食べましょう。今日はナミの好きなチキンステーキよ。」

「チ、チキンステーキ……」

 ミカはチキンステーキというおいしそうなネーミングにつられて、思わず声が出てしまった。


「あら……。ナミ、そちらの子猫は?」

「あっ……」

 ナミのママは、ナミの足下でこっそり隠れるようにしているミカをいち早く発見した。


「あの……ママ、実は今日学校の裏庭でこの子と出会って……」

「出会って? ……それって、もしかして裏庭に捨てられてたってこと? でも……こんなキレイで可愛らしい子猫、捨てる人なんているのかしら?」

「いや、捨てられた……っていうんじゃなくって、脱出してきた……っていった方が正しいのかな?」

「脱出? えっ? 脱出って、もしかしてペットショップとかから?」

「えっ? そ、宇宙そらから?」

そら?」

「えーっと……」

「??」


 ナミは、ミカの特殊な事情をうまく説明する方法がとっさに思い浮かばなかった。でも、変なごまかしを言うより、噓偽りなくストレートに言った方が、ママには伝わるんじゃないかと思った。


「ママ! ……これ冗談じゃないから。真剣なことだから、ちゃんと聞いてほしいの。この子、ミカっていうの。ミカはぱっと見ただけだと普通のかわいい子猫にしか見えないけど……本当はウラニャースっていう宇宙の星から来たすごい子猫なの。実はミカの故郷ほしがロボットの反乱で今大変なことになってしまって……それで故郷の猫達を救ってくれる『伝説の五色の魔法子猫』を捜しに、ミカが一人で宇宙船に乗って……それで今日地球に着いたばかりなの。」


「で……伝説の……魔法……子猫?」

 ナミのママが驚いた顔で聞き返した。


「えっ? ママ……もしかして『伝説の五色の魔法子猫』のこと知ってるの?」

「えっ? 知らないわよ、そんな子猫。」

「え―っ!? なんで!?」

 ナミとミカが声を揃えて叫ぶと、ミカは驚きのあまり四本の足を真っ直ぐにしたままピョーンと空中に跳ね上がった。


「えっ? だって……今までふざけたことなんか言ったことないナミが、いきなりそんな意味がわからないことを言い出すんだもん。そりゃ驚くわよ。――でも、あなたが真剣なのはよくわかったわ。……だから、なんにせよあなたの言うことをとりあえず信じることにするわ。……ミカ、ようこそ地球へ。……へぇー、あなた宇宙から来たんだ。そう……ここに来るまでにはずいぶん大変な思いをしたんでしょうね。……でも、見た目はかわいい子猫にしか見えないけど、宇宙から来たっていうくらいだから、どこか特徴でもあるのかしら?」


 ナミのママは、台所に来た時からずっとナミの後ろで恥ずかしそうに隠れているミカのことをじーっと見つめた。


「ママ、ミカってすごいんだよ。ミカは地球の猫と違って私達とおしゃべりだってできるし、それに魔法も使えるんだ。よし! ミカ、ママに挨拶してくれる?」

「う、うん……。」


 ミカは、いわゆるママの無意識に醸し出される女優スターのオーラというものの前に、緊張でガチガチだったが、なんとか決心を固めてママの前に立つと、長い尻尾を垂直にビシッと立てて自己紹介を始めた。


「ナミのマ、マママママ……は、初めまして。わ、私は惑星ウラニャースというところからやってきました、誇り高きウラニャースショートヘアのミカと申します。先ほどナミ……いえ、あなたのご息女からもご紹介頂きましたが、実は私達の故郷がロボット達の反乱で、ウラネコ達が今とても大変なことになってまして。――あっ、ウラネコっていうのは、うらぶれたネコのことをいいます。――それで私のパパとママ――あっ、私の両親は科学者で、パパはロボットでママはロケットなんです。――それとDr.ネコボットさんという宇宙船に乗って……えーっと……そ、それで……『伝説の五色の魔法子猫』が見つかるまで、しばらくの間このお家にお世話になれないでしょうか?」


 ミカは……のようなことをなんとかがんばって言い切ったが、しゃべっている間も、ミカの尻尾の方があっちへ行ったりこっちへ行ったりと大変で、ママの視線は自然とミカの尻尾にくぎ付けになっていた。


「まあ、なんて立派な尻尾。」

「と、とにかくっ! ……ねえ、ママ。これで私の言ってること信じてくれた?」

「えっ? なにが? ずっとニャーってしか聞こえなかったけど……」

 ママはキョトンとした顔で答えた。


「え―っ!? なんで!?」

 ナミとミカが声を揃えて叫ぶと、ミカは驚きのあまり四本の足を真っ直ぐにしたままピョーンと空中に跳ね上がった。


「ううん。……でも……あなた……それとミカの言ってることも信じるわ。ミカがなんて言ってたのか、私にはぜんぜんわからなかったけど……ナミの言ってることが本当なんだって、一生懸命私になにかを伝えようとしているミカの真剣な表情から、なんとなくだけど私にも伝わってきたわ。あんなの、演技じゃ絶対に無理だもん。」

「ママ!」

「それに……そんな立派な尻尾を器用に使える猫なんか、地球にいないもん。……ミカ、日乃彩家ひのいろけへようこそ。『伝説の五色の魔法子猫』が見つかるまでお家にいてね。それに、ミカがよければ、ずっとお家にいてもいいのよ。」

「ありがとう! ママ!」

「それよりも早く食事にしましょう。せっかく作ったのに、冷めちゃったらもったいないわ。」

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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