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14. 「誕生!! 魔法少女」

2026年1月1日連載スタートしました。

毎日朝8:00投稿予定しております。

 二人はリビングを出ると、階段を上がって二階のナミの部屋に入った。


 ナミの部屋は、赤いシーツが掛けられた木製のベッド、窓ぎわにシンプルな白の机とイス、そして机の上に銀色のノートパソコンがあって、あとは部屋の隅っこに本棚があるくらいで、全体的にものが少なく、すっきりした印象だった。余計なものやかわいらしいものを置くのは彼女の趣味ではないみたいだ。壁のコルクボードには、家族や友達と写っている写真が何枚か貼られていて、誰から贈られたのかわからないぬいぐるみが本棚の上段に飾られていた。イスの上に赤色のクッションが敷いてあって、ナミはそれを床に置くと、ミカをそこに座らせた。


「――あっ! 忘れてた!」

 ナミは思い出したようにバッグからスマホを取り出すと、スクリーンを確認した。


「いけない。結構着てるな。……ごめん、ミカ。悪いけど少しだけ待ってくれる?」

「うん、いいよ。」


 それからナミは一人でスマホと格闘していた。


(は~~……。)

 ミカはナミの様子を見ながら、心の中で大きくため息をついた。


(この地球という星は、誰かと連絡するのに、まだ博物館にでも飾ってあるような物理ツールを使ってるんだ。やっぱり地球の科学レベルはウラニャースと比べると相当低いみたい。それに、地球には魔法も存在しないっていうし、『伝説の五色の魔法子猫』は、本当にこの星にいるんだろうか?)


 ――ミカがそんなことを考えていると、ようやくナミの用件も終わったようだ。


「ごめんね、お待たせして。そしたら……なにから話そうか?」

 ナミが話し始めると、ミカは手を挙げるみたいに長い尻尾をピンと空中に挙げた。


「そしたら、まずは私の方から話させてもらうね。私が来た惑星ウラニャースは猫類が支配している星で、ウラニャースで暮らしている猫はウラネコっていうの。ウラニャースにも昔は人類がいたようだけど、なぜか突然いなくなっちゃったみたい。それと、ウラニャースは科学文明がすごく発展していて、多分地球よりかなり先を進んでると思う。……それに加えてウラネコは魔法が使えるんだ。」

「えっ? 魔法?」

「うん、魔法。」


 ミカは部屋の隅の本棚に顔を向けると、一冊の本に視線を集中した。すると、本棚に収めてあった一冊の文庫本が勝手に本棚から抜け出し、空中をゆっくり浮遊してこちらに向かってくると、正座しているナミの太ももの上にぽとりと落ちた。


 ナミはその本を手に取ると、ただただ驚いた顔でミカを見た。


 ナミはそのかわいらしい容姿につられ、ついついミカのことを普通のかわいらしい子猫のように思ってしまうが、学校の裏庭で宇宙船を操作する様子を見て、そして今度は目の前で魔法を使うのを見て、やはりこの子は宇宙から来たすごい子猫なのだということを改めて実感した。


「でも……魔法が使えるっていっても所詮この程度なの。」

「へぇー……そうなの? (十分すごいと思うんだけど……)」

「昔はこんなものと比べられないくらい、ものすごい魔法が使えたそうなんだけど――でも、五色の魔法子猫の魔法はそれとはまた別格なんだけど――科学文明が進むにつれて、私達ウラネコはほとんど魔法が使えなくなっちゃったんだ。私のパパとママは二人とも科学者で、パパはロボット工学が専門で、ママはロケット工学が専門なんだけど、私達の一族は元々有名な魔法一族だったんだって……最近パパとママに教えてもらったんだ。」

「へぇー、ミカの両親てすごいんだね。」

「うん! それで魔法の代わりに進化していったのが、科学技術でありロボットだったの。ウラネコ達の家事やお仕事なんかも、すべてロボット達にしてもらえるようになって。それでほとんどのウラネコは、やりたくないことは何もしなくなって、自分達のしたいことだけをするようになっちゃって。それで、そんな時代が何百年も続いたの。」

「へぇー、すごい時代だね……」

「でも……ある日ロボット達が……」


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 何百年も続いた安寧の日々。それを突如として打ち破ったロボット達のクーデター。そして一夜にして存亡の危機に陥ったウラネコ達。戦いは一方的で、ウラネコ達にとって相当に悲惨なものだった。それはミカの家族も同様だった。


 ロボット達が反乱を起こした直後、家族の一員だったDr.ネコボットさんとネコロバさんが家を出ていって、帰ってこれなくなったこと。


 ロボット達のクーデターの影響で、外出が一切不可能となり、ウラネコ達はロボット達の来襲に怯える日々が続いたこと。


 でもパパとママが言うには、ロボット達のクーデターは、長年にわたってロボット達を愛し、ねぎらってこなかったウラネコ達の側にも大いに原因があるということ。


 その後、Dr.ネコボットさんがロボット達の代表者というロボットを家に連れてきて、それから連日遅くまで、パパとママがその代表者のところに行って、ウラネコとロボットとの未来について交渉を続けてきたこと。


 そしてウラネコ達はこれまでの言動を反省し、今後ロボット達と対等な関係を築いていくというような内容で、和平交渉は成立するかに見えたこと。


 しかし、ロボット達のことを見下す一部のウラネコ達が、ロボット達の反乱が一時沈静化したスキをついて、何十万ともいえるロボット達を一瞬にして破壊してしまったこと。


 それによって和平交渉は完全に決裂し、怒った代表者が、ウラネコをすべてロボットにすることによって、ウラネコとロボットの間の完全な平等を実現する方向に完全に方針転換してしまったこと。


 交渉が決裂したことによって、パパとママがロボットに捕まえられること。そしてパパとママもロボットにされてしまうこと。


 ウラネコとロボットとの間に将来起こるであろう最悪の事態を想定して、反乱が起こるずっと前からパパとママ、それとDr.ネコボットさんが極秘に宇宙船を開発していたこと。


 ウラネコの存亡の危機を救ってくれるといわれる昔話の『伝説の五色の魔法子猫』は、決して絵本なんかの作り話ではなく、ウラニャースではなく宇宙のどこかの星に、今でも実在していること。


 そしてこの宇宙船は、『伝説の五色の魔法子猫』を探すために開発したものであり、最後にパパとママとお別れをして、一人宇宙船に乗ってここまで来たこと。


 ミカは瞳に涙を溜めながらも、決して涙を流すことなく、自らの周りに起きたことをすべてナミに話しきった。

ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、

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