10. 「誕生!! 魔法少女」
2026年1月1日連載スタートしました。
毎日朝8:00投稿予定しております。
――よし、これでみんな教室から出ていった。中には部活に行った娘もいるけど……みんなに気づかれないように、今から裏庭に行ってみよう。
裏庭は学校のグラウンドの高い金網のフェンスを挟んだ向こう側にあって、小高い丘のようになっている。
――本当はうちの生徒は裏庭には行っちゃダメってことになってるんだけど……。でも、なぜか絶対に行かなきゃいけないって気がする。
ナミは校舎を出て、グラウンドに入って裏庭に繋がるフェンスの扉の前まで行くと、しばらくはナミを見つけたクラスメイトの運動部員らに手を振って応えたりしていたが、やがて誰も自分に注目しなくなると、金網のフェンスのドアをそっと開けてさっと裏庭に入ると、そのまま駆け足で坂道を登っていった。
裏庭はザラザラとした砂利道と、なんの変哲もない雑草や樹木が不規則に生い茂っている無味乾燥な場所で、普通なら誰も好んでこんな場所に行こうだなんて思わない。
ナミは裏庭を登って丘の上の方まで行くと、早速隕石探しを始めた。
裏庭自体そんなに広い場所ではなく、今朝、隕石ぽいのが落ちたであろう辺りの目星もだいたいつけてあったので、ナミはすぐにでも見つかるはずだと思っていたが、予想に反して、どこを探しても隕石は一向に見つからなかった。そして探し始めてからなんやかんやで、かれこれもう30分以上が経過していた。
「あれ? おかしいな。すぐにでも見つかると思ってたんだけど……。もしかして……何かの見間違いだったのかな? ……いや、そんなことない。絶対にあるはずだ。絶対に見つけなきゃいけない。」
ナミには、あの隕石を絶対見つけなければならないという、なぜか使命感のような想いがあった。
「絶対探さなきゃ。それに……あの娘は長い間、私に会うのを待ってたんだから。……あれ? あの娘って一体誰のこと? 私、何言ってんだろう?」
――そして、それから雑草と樹木で絡み合った坂道の間を縫うように探すことさらに30分。とうとう目的のものが見つかった。それは、おそらく着地の際に、二本の足のどちらかが、地面の石か何かにでも引っかかって、うまく着地できなかったんだろう。そのまま坂道を転がり落ちて、茂みの間に深く潜り込んでしまっていた。それは、本来は三角の二本の足が、今は上を向いて、巨大な銀色の猫の顔をしたオブジェのようにも見えた。
「やった!! あった!!」
ナミはそれを見つけると、うれしくて仕方なくって、思わず大声を出した。
「……あれ? なんだろうこれ?」
それはキズと汚れだらけの、シルバーの外装パーツで固められた球形の物体だった。ぱっと見た感じだと、テレビで見る宇宙人が乗ってたりするような宇宙船とかに見えなくもない。でも人が乗るにはサイズが小さすぎるので、もしかすると無人タイプなのかもしれない。
「これって……もしかして、宇宙船……とかなのかな?」
ナミがじっくりとその宇宙船を観察してみると、構造はすごくシンプルで、球形の上部に、三角形のジェットのようなものが左右に2つ、それと球形の真ん中辺りに、緑色と赤色の2つのボタンがついてるだけで、それ以外には何もない。そして球形の真ん中辺りが区切られていて、もしかするとこの部分が開くようになっていて、中に何か入ってるのかもしれない。
ナミは中を開けて見ようと思って、宇宙船の緑と赤のボタンを何回も押してみたが、まったく反応がなかった。それから宇宙船の周りを何回もグルグルと回って、丹念に観察してみたが、緑と赤のボタン以外に、他に装置みたいなものは見当たらなかった。宇宙船の外側に何か文字のようなものが書かれていたようだが、相当な年数が経過したのか、ほとんど解読不可能なくらいに消えて読めなくなっていた。ナミは諦めずに、なおも宇宙船を観察し続けていると、やがてあることに気がついた。
「あれ? この宇宙船って猫みたいに見えるけど、本当は上下逆さみたいだぞ。」
これくらいの大きさだったら自分一人でもひっくり返せそうだ。
「よい、しょっと……」
ナミは、なんとか宇宙船を上下元通りにすると、宇宙船の前にしゃがみこんで、あとは宇宙船が独りでに開くのを待つことにした。
――そして、それから大体5分が経過した頃、宇宙船に初めて変化が起きた。宇宙船の真ん中、ちょうど区切りの辺りから、突然カタカタカタカタっていう音がし始めた。そして、それが10秒程続いたあと、プシューッという何かのロックが外れた音と同時に、真ん中からゆっくりと宇宙船が上下に開いた。
「一体何が出てくるんだろう?」
ナミはすぐに中を確認しようとしたが、中からドライアイスのようなひんやりとした白い煙がもくもくと飛び出してきたので、しばらくの間、中に何があるのかよく見えなかった。
「もしかして……中に宇宙人がいたりして?」
ナミは白い煙が消えるのをワクワクしながら待っていると、やがて煙がなくなった宇宙船の中には、暖かいクッションが敷いてあって、そこには、大事そうに毛布に掛けられた、かわいらしいアメリカンショートヘアの子猫がすやすやと眠っていた。
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