神様、ある少女と出会う!
「だい……じょうぶ……ですか……!?」
あまりに理不尽な言いがかりの数々を受け、わなわなと怒りに震え氷のように冷たくなった自分の両手を彼女はおそるおそる、そっと触れて声をかけてくれた。
栗毛色の髪は柔かく、揺るやかにウェーブがかっている。
自分よりも小柄で、なにかあるとすぐに顔に出る。
いままで交際してきた女性ならば『欲』を向けてくるが、彼女は違った。
「あわわわ……!?」
困った事態に陥った時の口癖なのだろう。
蛇口が壊れて、水が吹き出してしまったのを無意味に両手で塞ぎ誰ともなしに助けを呼んでいた。
「助けてくださいぃ~!?
だ~れ~かぁ~!?」
そこをたまたま、通りかかった自分が隣を歩く秘書に修繕を命じたのが【出会いの始まり】だった。
「ずぶ濡れじゃないですか……
風邪をひきますから、すぐに着替えてきなさい
そうしたら今日はもう仕事終わりです
帰宅してくださって構いません」
どうにか水を塞ぐことに夢中で自分が全身びしょ濡れになっているコトに、言われて初めて気がついた様子だった。
『なにゆえ命令口調なのだろう?』
頭の上に疑問符だらけの状態ながらも、たぶん上司よりももっと立場が上の人物が対応してくれたに違いない?
そう思い、彼女は軽くペコリとお辞儀して、その場をそそくさと離れていった。
その時はお互い同じ職場で働いているだけ
【そこまでの】非常に浅い人間関係に過ぎなかった。




