神様、働き過ぎに気がつく!?
『あれ?
自分……もう何百、何億年以上、休みなんて取っていないっけ??』
従業員の有給休暇申請書に承認のサインをして、ふと思った。
机の上には書類が山積みされている。
頬杖つきながら、別の未決済書類を一枚、手に取り、内容を眺め考える……
神様ーー
それは人知を超越した絶対的能力をもち、人間に禍福や賞罰を与える存在
byデジタル大辞泉
神社または神殿的な建物の中で座って、参拝者にたいして【加護っぽい!?】モノを授ける人間?
あるいは科学的に証明出来ないオバケ状態?
そんな印象があるかもしれない。
これは、地球ではない、全く別の宇宙、惑星で働くとある神様の回顧録!?
空想上のファンタジー……
ひとまず、軽く書類に目を通して、再び承認の署名を行う。
同時に提出してきた部署に対して、書類に関する内容を細かく指示すべく電話をかける。
「はい、もしもし、こちらフロント管理部です」
「ホテル内で使用、提供予定の備品に関して、わたくしに承認求めてきた件です。
申し訳ありませんが担当者に変わってください」
「少々、お待ちください!」
受話器越しから若干、相手が動揺するのが伝わってくる
『なんで慌てる必要がある?』
眉を少し潜め、いぶかしむ
「お電話変わりました、提出者の○△です!」
ホテル利用者に提供していたトイレットペーパーやティッシュペーパーは、自然環境に優しいリサイクル製品だった。
しかし、使い心地など【少し硬い】【なんか安っぽい!】というレビューが届いていた。
改善を指示して、より紙質を柔らかくするべく【少しオイル配合】され、かつ気持ちが落ち着くような柄を印刷したモノに変更する旨を【承認】求められたのだった。
実際の使い心地を確かめるべく、(提出者の)空いてる時間で構わないから導入予定の製品を持ってきて貰おう
そう思って電話しただけのコトだった。
「いかがでしょうか!?」
真面目そうな青年がやや緊張した面持ちで、手触りなど確認するわたくしに尋ねる。
「ひとまず問題ないと思います。
またなにか?お客様からお声を頂いたらその都度、改善して参りましょう
その時は改めて対応の程、よろしくお願い致しますね?」
微笑浮かべて返答する。
軽く安堵の溜め息を漏らし、青年が退出する。
気がついたら……こんな調子でもう何十年と休まず、働き続けていた!!