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君のいない日々はきっとつまらない  作者: 久遠知
夏の日々
5/31

Episode5 頭がいっぱい

現在時刻は7時58分。なんとかテニスコートに到着した。幸いなことにまだ外部コーチの内田さんは来ていなかった。

 

 「あぶねぇー。セーフセーフ…」


 内田さんに遅刻したことがバレなくて良かったと思ったらついつい心の声が出てしまった。


 「何がセーフだ。もう練習始まるぞ…早くしろ」


 心の声を漏らした瞬間、少し強めの口調で怒られた。そう、俺にいつも厳しくしてくるチームメイトの幸汰こうたである。コイツは俺たち一年の中で唯一のソフトテニスの推薦をもらった人。幸汰は後衛で一年生ながらもAチームでレギュラーとしてチームに貢献している。そしてコイツは自分にも他人にも厳しい。どんなにキツイ練習でも決して手を抜くことはない。コイツが言うことはいつも正論だから、言い返すこともできなくてただイラっとする。でも、コイツのおかげで俺は人間として少しずつ成長できている。けれどまだ遅刻癖は改善の余地ありってところかな…。


 「すいません、寝坊してしまいました…」


 「お前、謝れば許してもらえるとでも思ってんだろ?そんなに世間は甘くないぞ。」


 ぐぬぬ…やりおるコイツ…!!久井さんとの件で気が抜けていた俺にとっては大ダメージだ。とはいえ本当に幸汰の言うコトは正しいから、次からは寝坊しないように心掛けないとな…


 幸汰と話し終えてからすぐにみんなでランニングに取り掛かった。オムニのテニスコート2面の周りを2周するだけで、とてもランニングと言っていいのか疑問になる。そして先頭に立って走るのは男子キャプテンの長瀬さん。長瀬さんは身長が185センチとチームで一番高身長。さらに、勉強では校内のテストでは常に学年30番以内には必ず入るらしい。そして長瀬さんは後衛なのだが、左利きなのだ。身長が高い左利きなんて滅多にいない。そして長瀬さんは県で個人ベスト32。かなり県内でも名前が知られているウチの正真正銘のエースである…。

 続いて、ウチの副キャプテンだが二人いる。一人は長瀬さんのペアで前衛の森田さん。右利きで森田さんは身長は165センチぐらいであんまり大きくないがとにかくプレーが上手い。ラリーになったらほとんど決めてくる前衛で本当に上手いとしか言えない。そして何よりめっちゃイケメン…

 そしてもう一人の副キャプテンは倉田さん。倉田さんは身長が俺と同じ161センチ。右利きの後衛で、とにかく元気なプレイヤーで、うるさいくらいポイントを取るたびに喜ぶ。味方として応援しているときはめっちゃおもしろいと思えるけど、相手からしたらイライラするんじゃないかな。

 そんな三人が横に並んで横3列で走る。男子が15人で、女子が3人だからちょうど6列で走ることができる。俺は男子では一番後ろの5列目の右端でいつも走っている。そして俺の左斜め後ろには久井さんがいる。やべぇ…今まで本当に気にならなかった左斜め後ろが気になりすぎる。左斜め後ろを気になっているといつの間にか2周走り終わっていた。そしてランニングが終わったら、次は準備体操なのだがなんと準備体操係はこの僕さ…。なんか前の準備体操係の先輩に気に入られて無理やりやらされることになったんだ。その先輩というのは倉田さん…。

 今まで体操の時は皆が丸く円のように広がって、その中心に俺がいてそんな俺は今までずっとキャプテンの長瀬さんを見ていたのだが、ふと気づいたんだ。長瀬さんの二つ隣に久井さんがいる…‼これは高瀬さんの方を向いていても自然と久井さんが視界に入ってきて、ついついチラ見してしまうに決まっているじゃないか‼ダメだ…今日は本当に久井さんが頭から離れない。あぁーもう!!どうしちまったんだ俺はよ‼

 そんなコトで頭がいっぱいになっていたその時車の走行音が近くで聞こえた。そう、内田さんが来られたのだ。体操が終わったので俺はすぐにテニスコートからすぐ近くの部の倉庫にダッシュで向かい、内田さん用のイスを取り出した。そして内田さんが車から降りてくる前に椅子を置いた。そう、俺は意外と気が利く男なのだ。すると内田さんが俺に向かって、


 「白城、いつもありがとう。助かるぞ。気が利く人間はテニスもきっと上手くなる!!」


 といつもの言葉を終えにくださった。うん、これ毎週土日の練習で言われてるからもう頭の中にハッキリ浸み込んでる。でもこんな風に「ありがとう」って言ってもらえるだけで本当に嬉しい。

 内田さんが続けて俺に言った。


 「今日は校内戦をするから、試合の準備をしてくれ。頼んだぞ。」


 えっ、校内戦?練習だと思っていた俺は「校内戦」という言葉が聞こえてすぐに嬉しくなった。最近、なかなか試合をしていなかったから尚更楽しみなんですけど。


 「分かりました。すぐに準備します!!」


 と言って俺はすぐに試合ができるように準備に取り掛かった。でもこの時の俺はまだ知らない。まさか校内戦である事件が起こることなんて。

 

 


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