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君のいない日々はきっとつまらない  作者: 久遠知
夏合宿編
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Episode39 気付いてるよ

 俺は2日目の夜も自分の部屋で過ごした。一つ違うとすれば、雄星がいるということだ。急にドアをノックする音が聞こえて「誰だろう?」と思って開けてみたらポテチにグミにジュースを抱えた雄星が立っていた。なにしてんだコイツ…、と思いながらも追い返すワケにはいかず仕方なく部屋に入れてやった。

 「いい部屋に泊まってんなあ、さとる。僕もここに泊まりたいよ。」と言って、当たり前のように俺の布団に横たわる。「うん、悪くないね。」と言って寝ようとしたもんだから俺は枕を軽く投げつけた。

 枕を投げられるとは思っていなかったのか、顔に枕が当たるとすぐに立ち上がって「冗談だってば、冗談。」と笑いながら言った。この時俺は勘づいた。さては雄星コイツ、食事前の件で俺が機嫌を悪くしたのにビビってるのか?俺はいつになく顔の表情を意識した。もしかしたら怒りが見て取れるのかもしれない。そう思い、無理に笑ってみせる。

 俺の笑顔を見て安心したのか雄星はしゃべり始めた。


「いやあ、今日はすごい一日だったね。まさかさとるが前衛になるなんて…」


「まあね…雄星にあそこまでボコボコにされたら、後衛が嫌になっちゃうよ。」


 嫌になる、本当にその通りだ。自分の才能のなさに呆れる。もしかしたら雄星に勝てるかもと思っていた自分が嫌になる。思うコトはたくさんある。でも雄星に行ったところでどうにもならない。意味がない。

 不意に雄星が静かだなと思って目をやると、声を殺して笑っていやがった。不謹慎なヤツだなと思っていると、

「まあ久井さんと一緒に練習ができて良かったね(笑)」と雄星はニヤニヤしながら言った。


「はあ?お前まで俺をからかう気か?」咄嗟に出た言葉が否定の言葉だった。


「いいからいいから。さとる、久井さんのコト好きだろ。」


「なんでそのことを…?」


「えっ、マジで?」


「えっ?」


「…え?」


 俺たちは状況がイマイチ掴めずお互いに困惑した。もう退くことはできないと思い、俺は観念して「どうして分かったの?」と聞いた。


「なんとなくだよ。青井スポーツ杯前の日曜の練習の時、久井さんと一緒に走っている所をたまたま見ちゃったんだ。でもさとる、久井さんと話してる所見たことないし大した事ないと思って、からかってやろうと思ったんだ。そしたらあの慌てようだったからね…。なんとなく察した。」


 思い出した、あの日曜日の練習前の出来事。それは久井さんとの関係が動き始めた日のことだった。まさかそんなに最初から気付いていたなんて…


「なるほどね…誰かに言ってないよね?」


「言うワケないだろ?俺とお前だけの秘密だぜ。」


 雄星コイツなら、言っても大丈夫かな…。始めて胸の奥の思いを打ち明けよう、そう決心したのだった。







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