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君のいない日々はきっとつまらない  作者: 久遠知
夏合宿編
38/42

Episode37 ただ、やるせない

 (前衛なんて、ただボール取ればいいだけだろ。)そう思っていた。

けど違った。俺が間違っていた。キツい、キツすぎる!

 何だよストレートボレー5分間って。ひたすらグルグル走り続けるのキツいって。さらに、思ってる以上にボールが速い。少し飛び出すタイミングが遅くなると触ることすらできない。

 それなのに久井さんはキツそうな顔をせず、ミスをすることもなかった。

 1セット目の5分間が終わった。ストレートボレーだけで4セットあるので残り3セット。

 でも俺の足はすでに限界だった。痛みはないのだが、また肉離れの前兆のような違和感を感じた。

 (ああ、クソ、嫌だな前衛。キツい…)

 前衛を甘く見ていた。さっきまでの自分が嫌になる。久井さんを見てる暇なんてなかった。自分のことで精一杯だった。

 俺は内田さんに足に違和感があると伝え、練習を終えた。そしてまた独り日陰に座る。

 だが俺が抜けても前衛練習は続いた。そして久井さんは1人で残りの練習をこなした。その姿は今の自分と大きく違った。たった1回の練習で息が上がる俺。5分間3セットの練習を一人でこなす久井さん。ここでも、久井さんとのを痛感する。

 汗を拭き、水筒の中の水を思いっきり口に流し込んだ。さっきから胸が苦しい。久々に動いたのも理由ではあるだろう。でも、この苦しさは絶対にそれだけのものではなかった。俺は意味もなく、何も考えないまま、ただ虚空を見つめていた。


 昼になった。1時間の休憩が入る。みんな注文をしている弁当を20分ほどで食べ終え、各自いろんなことをやっている。幸汰こうたは英語の単語帳を見てやがった。気持ちわりぃ…テニスコートで勉強すんなよ。

 幸汰以外の1年生は、乱打をしていた。疲れているはずなのに、乱打をしている。そして何よりみんな楽しそうであった。また胸が苦しくなる。

 一方、2年生の先輩たちは、男女仲良くなかよく全員で談笑をしていた。よく笑い声が聞こえた。何がそんなに面白いのかと聞き耳をたてると、どうやら去年の夏合宿の話をしているらしい。

 (そうか、先輩たちは今回で夏合宿は最後なのか…)

 まだ新体制になって2か月とちょっと。全然まだ総体までは時間がある。確かにあと9ヶ月後のことだから正直気にしてこなかった。

 でも想像してしまった、先輩たちがいない来年の夏合宿を。こんな俺も来年の今頃は先輩になっていると思うと面白い。でも来年のその場所に、久井さんはいない。そんな日々は絶対・・、つまらない。味気がない。

 (あと9ヶ月か…。)久井さんと一緒にいれる日々の短さを知った。9か月後、俺どうなってんだろう。そう思うと、なんだかやるせなかった。

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