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君のいない日々はきっとつまらない  作者: 久遠知
夏合宿編
36/42

Episode35 これが現実

 俺は1週間ぶりにテニスコートに入った。雄星の方には内田さんから伝えてくれた。雄星は「白城、あんまり無理すんなよ…。またケガしたらどうするんだよ。」と心配そうに声を掛けてきた。俺は「大丈夫だから気にすんな。」と笑顔で返した。

 1週間ぶりに立つテニスコートは以前よりも少し狭く感じた。そして軽くコートの中を走り、ストレッチをしたりとにかくケガをしないように今まで以上に丁寧にウォーミングアップをした。たった10分ほど動いただけなのに、俺はもう汗だくであった。

 そして雄星との乱打ラリーの前に、怜人と軽く乱打をした。予想外なことに、今までと同じくらいボールをコントロールできた。1週間ぶりとは思わないようなボールであった。

 (マジでこの調子なら雄星に勝てるぞ)そう思った。


 そしていよいよ雄星との乱打ラリーをすることになった。みんなの視線が俺たちに集まる。

 ルールは簡単。4点中俺が2点以上取ることが出来たら、レギュラーになれる。そしてボールは全て雄星の方から出す。1球目はお互いにシュートボールを打つのは禁止で、ロビングだけが許されている。そのあとは神のみぞ知るといった感じであった。


 雄星がボールを打つ。そして俺は高いロブで返球する。雄星はやや低めのロブ、中ロブで返球する。さあ、ここからは何をしても良い。シュートボールを打つのも良し、ツイストを打つのも良し、はたまたもう一回ロブで様子を見てみるのもいい。

 俺が選択したのは、シュートボール。ボールはサイドの深い所にバウンドした。雄星は体勢が悪かった。雄星はなんとロブでしのいだ。だが、しのいだボールは浅くなる。俺はすぐさまボールの落下地点に動き、渾身のトップ打ちを打った。ボールはスピードも重さも十分にあった。だがコースが少し甘かった。雄星の正面にバウンドしてしまった。そのボールを雄星は俺のボールの速さと重みを物ともせずに思い切り振った。そしてそのボールがサイドラインぎりぎりに決まった。俺は反応できなかった。

 (はっ…?今のなんだよ。まぐれだよな…?)俺は混乱した。

 次のポイントも先に俺が攻めた。だけど、雄星は粘る。体勢が悪ければロブで立て直す時間を作る。俺は我慢できなくなり、意表をついてツイストを打ったが、雄星は素早く前に詰めてきた。こうなると俺が逆にピンチになる。雄星が打点を上げてコンパクトに早く振った。雄星が選んだボールは俺と同じく浅いボールだった。俺は反応するが右足軽く「ピキッ」と電流が走った。その瞬間、俺は足を止めてしまった。もうこれで2点失った。俺がレギュラーになるには残りの2点とも取らなければならない。


 でも、現実はそんなにうまくいかなかった。その後の2点も取ることはできなかった。時間にしてわずか3分足らず。こうして俺の後衛人生は終わったのだった。俺は現実を受け入れられなかった。

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