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君のいない日々はきっとつまらない  作者: 久遠知
夏合宿編
32/42

Episode31 夏合宿、ブルー

※設定に誤りがあったため、文章の一部を変更しました。

 青井スポーツ杯で、坂井高校ソフトテニス部は好成績を残した。AチームはA級の部で3位。まあ3位と言っても県内の強豪校はみんな県外に遠征に行ってるから、メチャクチャすごいことではない。雄星ゆうせいのいたBチームはB級の部で優勝したらしい。そして俺がいた坂井・青海混合チームは知っての通りB級でベスト8。久井さんたち女子は、混合チームながらも決勝トーナメントに出場できたそう。思ってた以上の成績に内田さんも満足そうな顔だったらしい。

 

そんな好成績の後に夏合宿がはじまった。みんなのモチベーションは最高であるに違いない。俺一人を除いては。俺は肉離れが完治するまで残り1週間である。本来であれば、夏合宿で少しは成長できたのだろうけど足のせいで俺はただみんなの練習を一人で眺めているだけ。もう足はほとんど痛くない。球拾いぐらいならできるのだが、内田さんに「お前は日陰で見学しとけ。」と言われたため、何もやることがない。


 (何やってんだろう俺…。)せっかく青井スポーツ杯で練習の成果が出てここからだ!っていうときにケガをするなんて。この夏合宿でみんなはどれくらい上達するかな。みんなとは確実に実力の差が生まれている。その時俺の居場所は、はたしてあるのだろうか。今と変わらずCチームのままなのだろうか。考えたくもないな…。


 暗い気持ちを皆に知られるワケにもいかず、俺は日陰からひたすら声を出した。テニスができないコトはつまらないのだと思い知った合宿初日だった。みんなの声が、夏の日差しが、いつも以上に眩しく感じた。


 合宿と言えば、なんと言ってもみんなで一緒に泊まることが醍醐味である。みんなと楽しく雑談をしたり、一緒にご飯を食べたり、お風呂に一緒に入ったり、仲間のとの距離が縮まるイベントがたくさんある。今回の合宿の宿泊場所は、温泉施設の敷地内に併設されている。みんなはまず練習を終えたあと、温泉へと向かった。

 でも、俺は足のケガを考慮してみんなが大部屋に泊まる中、一人だけ個室の部屋に泊まることになった。温泉施設へ歩くのも、時間がかかる。そしてなにより、階段、段差を昇り降りすると足が痛む。ここでもみんなと距離を感じる。みんな楽しく温泉に入ってるんだろうな、と思いながら俺は一人寂しく部屋の風呂に入った。


 入浴後はお待ちかねの食事の時間。みんな暑い中たくさん動いたからか、お腹が空いているようだ。みんなもの凄い勢いでご飯をおかわりしている。だけど、俺は動いていないからそこまでお腹が空いていない。高校生男子ということもあってさすがにご飯を一回だけおかわりをした。だけど、それで十分だった。ケガをしていなければ、もっと食べれたのだろうなと、再び一人で落ち込む。


 食事も終わり、いよいよ自由時間になった。男子は大部屋で人狼をしているらしい。怜人がインスタのストーリーに楽しそうな写真を上げていた。そこに俺はいない。俺は個室で一人、怜人のストーリーを見ていた。そしてスマホの電源を切り、勉強を始めた。前にも言ったように、坂井高校は自称進学校ということで、とにかく宿題の量が多い。青井スポーツ杯があって、ほとんど宿題に手を付けていなかった。だから、みんなと過ごす時間を惜しんででも勉強をすることにした。


 でも本当のことを言うと、みんなと過ごしたくない。ケガをしてから、みんなとどう接すればいいのかが分からない。みんなは気にしていないのだろうけど、俺は気にする。青井スポーツ杯で好成績を残した中に俺はいなかった。決勝トーナメントが行われた二日目に俺はいなかった。分かってる、俺の思い込みだってことは。でも、でも、でも…。本当にみんなの前でどんな顔で接すればいいかが分からない。

 このモヤモヤした気持ちを紛らわせるため、俺は二時間ぶっ続けで宿題に取り組んだ。


 目標としていたところまで宿題を終え、俺は近くのコンビニに買い物に行くため、一人宿泊施設の外へと出た。コンビニに向かいながら空にある満月を眺める。月の光は眩しかった。

 

 コンビニに着き、俺は夜食用のカップ麺売り場へと足を運んだ。焼きそばにしようか、それともラーメンにしようか。しばらく悩んだあと、俺は大盛りの焼きそばを手に取った。そして飲み物も欲しいなあと思い、飲み物売り場へと足を運んだ。


 そこで俺は見た。飲み物売り場でどれにしようか悩んでいる人を。その人は今俺が一番話したかった人、久井さんだった。

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