Episode30 衝撃
右足の痛みが続いたため、この日応援に来ていた雄星の父親に右足を診てもらった。雄星の父親は市内の大学病院で働く現役の医者である。
そんな雄星の父親は、俺の右足の痣を見てすぐに「いつから足が痛いの?」と聞いてきた。
「3ゲーム目ぐらいから筋肉痛みたいな感じはありました。」
「そっか…。足が張って痛かったとかある?」
「3ゲーム目が終わった時が一番足が張ってたような気がします。」
「話を聞く感じだと多分肉離れだね。」
「えっ…」
雄星の父親の言葉を聞き、俺は驚きを隠せなかった。
「に、肉離れっていっても今痛くないですよ?」
と言ってはみた。だけど、雄星の父親は淡々と話をつづけた。
「今は興奮状態で痛みを感じないかもだけど、いずれ痛みは出てくると思うよ。」
「そんな…僕まだテニスできますよ?」
「仮に今動けたとしても、これ以上足に負担をかけると余計に悪化するよ?」
「…。」
「悔しいだろうけど、医者としてこれ以上試合をやることは許可できないな。」
話が一通り終わると、俺は右手で頭を掻きむしった。いくら搔きむしっても言葉にならない悔しさは消えない。そして俺は遠くの空を見つめる。
試合中、確かに右足は痛かった。だけど肉離れだなんて思いもしなかった。これから先、どうなるのかな俺。一体どれくらいで完治するんだろう。完治するまでテニスはできないのかな。
「しばらくテニスはできそうにない」、それだけがはっきり分かった。
雄星の父親が内田さんに電話で報告し、まもなく内田さんがやってきた。
「白城、足はどうだ?」
「今のところは痛みはないです。」
「そうか…。白城、今回は無理をするな。今すぐ病院に行ってこい。」
「…。」俺の目からは涙がこぼれる。こらえることは出来なかった。
「白城、さっきの試合ナイスゲームだったぞ。夏休みの練習を誰よりも一生懸命に取り組んだ結果だ。」
「はい…。」涙はさらにこぼれてくる。もう目の前が見えないくらいに。
「泣くな、白城。お前のソフトテニス人生が終わる訳じゃない。とにかく早く治すことだけを考えろ。」
俺は声を出すことができなかった。ただうなずくことしかできなかった。
内田さんとの話を終え、青海学園の石井たちに挨拶をした。それから病院に行き、医者に診てもらったところやはり肉離れであった。腓腹筋内側頭損傷でふくらはぎの内側の筋肉の繊維が一部切れているそうだ。
医者から損傷が比較的軽かったため、全治1か月とのことだった。俺はその言葉を聞いて、安心するも(1か月か…)と思った。夏休みは残り3週間。来週には合宿があったと言うのに…。しばらくはつまらない毎日になりそうだな。
後から聞いた話によると、俺が抜けた坂井・青海混合チームは、決勝トーナメント1回戦目はオープンながらも勝利したそうだ。しかし、2回戦目で負けてしまい結果はB級ベスト8だったそう。
とにかく、しばらくは安静にしとかないと…




