Episode28 違和感
青井スポーツ杯2回戦、3番手勝負の真っ只中。試合は3ゲーム目へ突入した。現在のゲームカウントは2-0(ツー・ゼロ)で白城・石井ペアが勝っている状況。
白城の1stサービス。トスは真っすぐ上がりほぼ最高到達点でラケットがボールを捉える。そして心地のよい音と共に放たれたサービスは、狙い通りセンターに決まる。相手後衛が選んだレシーブはクロスのロビング。明らかに石井の存在感の影響で打ち込めない様子であった。そしてボールは俺の前方で少し高くバウンドする。俺もシュートボールを打ちたい気持ちを抑え、ストレートに高くロビングを上げる。これは逃げているのではない、相手を走らせて疲れさせるためだ。そして相手後衛がボールを追いかけたのを見て俺は後ろへと下がる。しかし、突然足がふらついてしまい転んでしまった。相手後衛がバックで俺のところへロビングを打ってきた。当然、そのボールを取ることはできず思わぬ形で失点してしまった。
それと同時に自分のベンチのスタンドから「ドンマイ!ドンマイ!」と励ましの声が聞こえてきた。石井はなぜ失点したのかが分かっていなかった。俺がボールを返せなかったのを不思議に思いながら振り返り、転んでいる俺に気が付いた。そしてすぐさま石井は俺の所に駆けつけてきた。
「大丈夫?ケガはない?」
「ああ、ごめん転んじゃった…」
「気にすんな。立てるか?」
俺は石井の手をつかみながら立ち上がった。そして俺は右足に違和感を覚えた。さっきまで感じなかった疲労感がここにきて急に現れたのだ。右足だけが極端に重い気がする。筋肉痛ではないが、右足に力が上手く入らない。まあ、軽い脱水症状かな?なんて思い、俺はそのままプレーを続けた。
しかし、右足に上手く力が入らない。続くポイントも、さっきまで取れていたロビングボールにも追いつくことができなかった。こうしてあっという間に2失点した俺たちは、一度話し合う。
「大丈夫か白城。どうかしたのか?」
「右足が妙に重いし上手く力が入らない。」俺は正直に言った。すると石井が、
「無理はするな。」とだけ言って、サービスのポジションに行ってしまった。
3ゲーム目は本当にあっという間だった。続く3点目も、俺のロビングが浅くなり相手前衛に完璧なスマッシュを決められた。4点目は珍しく石井がスマッシュをアウトにしてしまった。こうして0-4(ゼロ・フォー)で3ゲーム目を落とした俺らは歩きながらベンチに戻っていった。
ベンチに戻ってすぐに内田さんに「足をもっと動かせ。」と叱られた。俺は右足に力が入らないと言うワケにも行かず、ただ「はい、すいません。」と返事をした。そして雄星に頼んで足に冷却スプレーをしてもらった。本当はしない方が良いんだけど、どうしても右足に違和感があったので仕方なく冷やした。しかし、俺の右足は良くならなかった。良くなるどころか、さっきと比べてふくらはぎが張っている。おかしいなと思いながらも、俺はベンチを後にする。4ゲーム目が始まる前に、石井と軽く話し合いお互いがポジションにつき審判の「ゲームカウント1-2(ワン・ツー)」というコールが聞こえた。




