Episode27 同じタイプ
青井スポーツ杯2回戦、3番手勝負で白城・石井ペアが順調にゲームを取っていたころ、久井依茉はチームメイトである柿田、小松そして外部コーチの内田と共に白城が試合をしているコートへと向かっていた。
坂井高校の女子ソフトテニス部は部員が2年の柿田、久井、1年の小松の3人しかおらず、今回の青井スポーツ杯では他の高校と合同チームを組み出場している。
そして白城の試合が始まる少し前に、女子の1試合目が終わったのだった。結果は3-0でストレート勝ち。特に柿田・久井ペアの試合に関しては、試合時間がわずか15分という短さであった。それほど柿田・久井ペアは強い。県大会で個人ベスト8も狙える実力があるのだ。
しかし、すべてが順調というわけではなく、実際、久井は先程の試合で何回かミスをしてしまった。そして久井は今、先程の試合のミスを思い出し反省をしているところなのだ。そう、白城だけでなく久井も実は落ち込みやすいタイプなのだ。
そんな久井を見て、外部コーチの内田が「ミスは誰にだってある。次の試合でミスをなくせばいいだけだ。」と慰める。しかし久井は一度は「はい。」と返事をするのだが、またすぐにミスを思い返しては一人で考え込む。どうしたらよかったのか、何ができていなかったのか、久井は考えることをやめない。
さすがにこの様子を見て柿田も内田も何も言えない。内田と柿田は世間話を始め、小松はその世間話を一応聞いているだけであった。そして久井は一人考え込む。
そうしている間にもう白城の試合コートまであともう少しという所まで来ていた。その時、「パァーン!」という心地のよい音が聞こえ、その直後白城の「よっしゃー!」という声が聞こえてきた。どうやらトップ打ちで点を取ったらしい。内田は「どこのどいつかと思ったら白城か…。」と意外そうな声でそう口にした。
そして白城のベンチ側のスタンドに移動した。その間に白城は2ゲーム目も取ったらしい。ゲームカウントは2-0で白城が勝っている。それを目にした柿田も「依茉、白城君、調子良さそうだね。」と久井に話しかけた。いつの間にか考え込むことをやめ、白城の試合を観ていた久井は「うん、そうみたいだね。」と言った。そして心の中で「白城君、ファイト!」と一人白城を応援していた。
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白城は試合に集中していて、久井たちが試合を観戦していることに気が付いていなかった。2ゲーム目もしっかり取り、ゲームカウント2-0で勝っている。あと2ゲーム取ればこの試合に勝てる。
そんなことを思いながらも白城は冷静に考えていた。
(このゲームを取れば、勝利にかなり近づく。だけど、ここで1stサーブをしっかり入れないと相手に流れが行ってしまう可能性がある。なんとしてでもこのゲームを取りたい。このゲームを取って自分のベンチに戻りたい!)
そう思いながら、白城は自分のサービスのポジションに立つ。審判が「ゲームカウント、2-0(ツー・ゼロ)」とコールする。ボールを軽くつき、一呼吸開けてからトスを上げる。
ただ白球は真っすぐ上がった。そして、勝負の3ゲーム目が始まるのでった。




