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君のいない日々はきっとつまらない  作者: 久遠知
青井スポーツ杯編 中
26/30

Episode25 ベンチ休憩

 石井の1stサービス。ボールを打つと同時に石井は前へ駆け出した。そして鋭い打球がサイドにバウンドし、相手後衛はオープンスタンスで打つ構えに入った。相手後衛のレシーブは真っすぐ俺のもとへと飛んでくる。俺はボールの落下地点を大体予測して移動する。すると嫌な予感がした。このままシュートボールを打つと相手前衛に取られそうながした。俺はストレートにロビングを上げた。思った通り相手前衛は飛び出していた。俺のシュートボールをボレーしようとしたのだろう。相手前衛は急には止まれず、相手コートに大きな隙間ができた。状況が悪い相手後衛は攻めることはできず、態勢を整えるためロビングを打った。しかし石井がすでに動いていた。少し浅くなった相手のロビングを、ジャンピングスマッシュでがら空きとなった右側に打ち込んだ。相手が取れるワケがない。これで3-0となった。あと一点で、第一ゲームをとれる。

 「ナイススマッシュ!」と俺は石井に声をかける。石井は「このゲーム、しめるぞ。」と言い、自分のサービスの所へ移動した。そして、石井の2本目の1stサービス。これは、ネットの白帯はくたいに当たり、弾き返された。フォルトとなり、石井は少し間をあけて2ndサービスをうった。やや力のないボールだったが、相手前衛のレシーブはネットの白帯はくたいにあたり、これまた弾き返された。

 あっという間に、第一ゲームを手にした俺たちは、すぐさま自分たちのベンチへ戻った。大木おおき怜人れいとが俺と石井の水筒を持って待っていてくれた。俺たちは水筒を受け取り、ベンチに座る。

 

さとる、調子はどう?いい感じ?」と聞き慣れた声が聞こえた。声の主は雄星ゆうせいであった。


雄星ゆうせいか…。Bチームの方はどうなの?」


「さすがに勝ったよ、さすがに。」


「そうかー。まあ、俺のプレー見といてよ。」


「どうした、さとる。調子良いのか?」


「まあいいから見とけって。」


「もうそろそろ、Aチームも女子も来るはずなんだけどな…。あと内田さんも。」


「えっ!?」


 思わず大きな声を出してしまった。石井も「何なんコイツ…」という険しい顔で俺を見てきた。あぁ、マジでびっくりしたときに大声出るのどうにかしたいな、マジで。

 AチームもBチームも女子も内田さんも応援に来る、という状況を想像しただけでなんだか緊張してきた。

 でも分かる。俺が驚いたのはAチームが応援に来ることでも内田さんが試合を観に来ることでもない。間違いなく、女子、つまり久井さんが応援に来るって分かったからだ。

 とんでもないプレッシャーが俺を襲ってきている。おそらく高校入試の時と同じくらいのプレッシャーである。体に自然と力が入る。妙な力の入り方だなと俺は感じながらもベンチから立ち上がった。それと同時、石井も待ってましたと言わんばかりに立ち上がった。


「よしっ、じゃあ行ってくるぜ雄星ゆうせい。」


「おう、ゲームカウント3-0で戻って来いよ!」雄星ゆうせいが元気よく送り出してくれた。


 俺と石井は反対側のコートへと歩き始めた。


「白城ってさ、チーム内で人気者だったりする?」石井が突然質問してきた。


「えっ、いやぁどうかな?まぁ、嫌われてはいないと思うけど…」


「そうか…。」と石井はひとりでクスッと笑った。


「何だよ、何かおかしいか?」俺は石井がなぜ笑ったのかが分からなかった。しばらくして、石井が言った。


「いや、坂井高校はいいチームだなって思っただけ。」


予想外の言葉に俺は何も言えなかった。いいチーム、か…たしかに、そうかもね。


「石井、次とその次のゲームも取って、ゲームカウント3-0でまたベンチに戻ろうぜ。」


「あぁ、そうしようぜ。どんどん点を取っていこうぜ。」


こうして俺たちはまた、自分たちのポジションについた。もう2ゲーム目が始まろうとしていた。


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