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君のいない日々はきっとつまらない  作者: 久遠知
青井スポーツ杯編 中
25/31

Episode24 覚醒

 相手は坂井工業高校の4番手。ソフトテニスの団体戦は1チーム4ペアまで登録できる。つまり相手は実質Aチームとも言える。それに対して俺は坂井高校の8番手後衛。いくら坂井工業高校があまり強くはないと言っても、普通に考えたら勝つのは難しい。

 でも負けるワケにはいかない。勝って、明日の決勝トーナメントに進出するんだ。大丈夫、石井がいる。俺がしぶとくラリーを続ければ、石井が必ず点を取ってくれる。俺はそう自分に言い聞かせ、試合前の挨拶に臨んだ。

 石井が、相手前衛とトス(じゃんけん)を行い、俺たちがサーブを取った。そして試合前の乱打ラリーを始めた。2試合目ということもあり、初戦よりも自分の狙ったところにボールを打ち込むことができている。ロビングの高さもちょうどいい。風もあまり吹いていない。ソフトテニスをするには最高なコンディションであった。

 「レディー(準備)。」と審判の声が聞こえた。俺は乱打ラリーを終え、初戦と同様に石井と相手の感想を共有しあった。


 「白城、後衛はどんな感じだった?」と石井が聞いてきた。


 「深いボールをちゃんと打ち込んできたな。ボールはそこまで速くはないけど、コントロールはいいかもな。前衛はどうだった?」


 「前衛コッチはストロークは大したことはないな。強いて言うなら、ボールが全部浅い。そこだけかな。」


 お互いに感想を共有し終え、俺たちはそれぞれのポジションについた。


 「7ゲームマッチ、プレイボール。」審判の声が響く。


 最初のサービスは俺から。大事な最初の1stサービス。無風の中、ボールは高く真っすぐ上がった。そしてラケットを振りぬく。ボールは空中で少し曲がりながら狙い通りセンターにバウンドした。相手後衛が回り込んで処理に入る。石井が少し大げさに動いた。フェイント。石井の動きが目に入った相手後衛は石井にボレーされまいと、ボールをサイドに打とうとする。

 それで十分。相手後衛のレシーブはサイドアウトであった。サイドを狙いすぎたようであった。今の1点で相手後衛は石井を意識せざるを得なくなった。

 俺はボールを拾いに行き、すぐに次のサービスの位置まで移動した。そして、審判の「1(ワン)-0(ゼロ)」というコールが聞こえた。そしてすぐにトスを上げた。再びトスは真っすぐ上がる。そしてラケットを振りぬく。今回もボールは空中で少し曲がりながら狙い通りセンターに決まる。石井がまたフェイントをかける。しかし、相手前衛は動じることなく俺の方へ中ロブ気味のボールを返してくる。

 ボールの落下地点に向かっているときに、相手前衛が動いたのがわずかに見えた。俺は回り込んで、逆クロスの浅い所にシュートボールを打った。ボールはいい浅さに入った。相手前衛は俺がストレートに打つことを予想して既に飛び出していたため触ることすら出来なかった。相手後衛が追いつけるワケもなくそのままボールはツーバウンドした。

 完璧なボール。石井は目を大きくして「ナイスボール!」と言ってきた。俺は「たまたまだよー」と返してすぐに石井にもう一つのボールを渡した。それと同時に石井に対して俺は一言。


 「このゲーム、ここから2連続得点で終わらせよう。」


 石井は笑顔で、「オッケー。気合入れてくぞ。」なんて余裕を感じさせる返事をしてくれた。そして俺と石井はお互いのポジションに移動した。驚くほど俺は冷静だった。この時俺はもう覚醒していた。

 

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