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君のいない日々はきっとつまらない  作者: 久遠知
青井スポーツ杯編 中
22/30

Episode21 想定外

 (白城side)

試合は一ゲーム目の2-0(ツー・ゼロ)で白城・石井ペアがリードしている。石井のボレー、そして俺のサービスエースですぐに2点を取った。高校初試合にしては順調すぎるぐらいだ。

 久井さんが約束通りに試合を見に来てくれた。でも今は久井さんよりも目の前の1ポイントを大切にしたい。1ポイント、1ポイントに俺が今まで頑張って来たコトが現れる。校内戦でサーブが思うように入らなくて、そこから今日までひたすらサーブを練習してきた。だから、さっきの2本のサーブは俺の努力が報われた、そんな気がしたんだ。


 (久井side)

 白城君の試合を由衣ゆい(柿田さん)と見に来た。私たちの試合は2試合目で、アップをする前に少しだけでもいいから見に行こうって由衣ゆいに言った。由衣ゆいはすぐに「いいよ。」って言ってくれた。白城君は夏休みの間、ずっとサーブを練習していた。サーブを打っては、首をかしげて何か考えて、グリップの握る位置を微調整したりフォームを少しだけ変えてみたりと、とにかく頑張っていた。だからさっきのサービスエース、あれを見たときは「ナイスサーブ!」って気づいたら既に声が出ていた。頑張っている人が報われるのって、その人の努力を知っていると自分のことのように嬉しくなる。


 「白城君に勝ってほしいなぁ・・・」

 

 思っていたコトを口に出すと当然、由衣ゆいが反応した。


 「あれ、依茉えまって白城君と話すような間柄だった?」


 「うん、まぁ最近話すようになったよ。」


 「へぇー、いつ頃から?」


 「本当に最近だよ。ここ1,2週間ってところ。」


 「どうしたの、急に。何かキッカケでもあったの?」


 「うん?まぁ、いろいろアドバイスしてもらったんだ。」


 「依茉えまの方が先輩なのに?それに白城君後衛でしょ?」


 この質問に、私は答えることができなかった。由衣ゆいにはこの間のコト、言えないな。だって、悔しくて泣いたなんて恥ずかしくて言えない。ましてや白城君に励ましてもらったなんて言えるわけがないよ…。

 

 「後衛はどんな風に前衛を見ているか、とか私のポジションがどんな風に見えるのか、とか…。」


 なんとかそれっぽいコトを言ってなんとかその場を切り抜けた。でも由衣ゆいが小さな声で、

「別に白城君じゃなくてもいいのに…。」とつぶやいた。


 確かにそうだなぁ…とか思いながら再びコートに目を向けた。もうすでに白城君たちは最初のゲームを取っていたらしい。すでにベンチに座って、大きな水筒を両手で持ち勢いよくラッパ飲みしていた。

 「頑張れ、白城君…!」そう心の中で静かに一人、つぶやいた。


 (白城side)

 ヤバい…想定外すぎる。こんなにもあっさりと1ゲームを取れるとは思っていなかった。俺のサーブが良かったのもある。だけどそれ以上に、石井が強すぎる。

 時はほんの少し前。俺のサービスエースの後、2-0(ツー・ゼロ)の時だった。石井がサーバーだったのだが、石井のサーブはカットサーブであった。

 それの何がヤバいかって、全く跳ねない、マジで。マジで10㎝も跳ねてないと思う。さらにそんなヤバいサーブを何気なく1発で入れてきた。これに相手後衛も空振りしてしまう。

 カウントは3-0(スリー・ゼロ)になり、また石井がサーバーであった。ここも同じように跳ねないカットサーブを1stサーブで入れてきた。相手前衛はなんとかラケットでボールをとらえたが、そのレシーブはネット中段に突き刺さった。

 石井の圧倒的な強さを改めて思い知った。だけど、俺だって良いプレーはできた。この調子で、サクッと勝っちゃいますか…そう思いながら、俺は水筒をしっかりと持ち中に入っている麦茶をラッパ飲みした。



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