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異世界で一日千円分だけ自分が買ったことがあるものを出せる能力でなんとか生き抜きます  作者: 相内 友
第一章 微妙だと思っていたスキルが実はヤバいんじゃないかと気づくまで
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8 台所を片付けろ!

 ここで、ジルさんを呼びに行く。

 出して分類したものの要不要を判断して欲しい。


 片付けているはずなのに、片付け前よりも散らかっているように見える台所に一瞬絶句したジルさん。

 うん、でもこれだけのものがこの台所にあるんだよ。

「大事なものと、いつも使っているものだけ、こちらの箱に入れてほしい」

 そう、お願いする。


 物の量に圧倒されながらジルさんが仕分け作業を始めた。

「こんなに皿あったんじゃのう……」

 うん、同じくらいの大きさの皿がたくさんあった。鍋もいっぱいある。

 用途が同じものは処分しても良いと思うんだよね。


「ああ、このコップは婆さんの」

 ジルさんが隅に置いてあったコップを手に持って優しい顔になる。


 あれは、だいぶ棚の奥にしまってあったやつだな。

 いくつか思い出深いものが出てきたようで、大事そうによけていく。


 大事な物。普段良く使っているもののより分けが終わった。

 次に、処分するかどうか保留するもの。

 これは多くなりそうだと思っていたけれど、スイッチが入ったのかジルさんは、保留箱一個目がいっぱいになる前に、

「あとは全部いらん」

 と言い出した。

 捨てモードに入るとそうなるよね。でもちょっと待って。一年以内に使ったかどうかを聞き取っていく。

 季節物って年一しか使わないけどないと困ったりするよね。

 使っているものは保留で。


 残りが多分処分しても困らない物たち。とりあえずまとめて台所から出す。


 食料調味料系は、食べられると思う。微妙。無理。の3種類に分けたやつを確認してもらう。

 デロデロに溶けた玉ねぎは凶悪だった……。



 ここで一旦休憩。

 出てきたちょっと珍しいらしい茶葉をジルさんが淹れてくれた。

 茶器も出てきた良いやつで、白くて薄いカップに濃い茶の色が映えている。

 なんだろう、ちょっとチョコレートっぽい良い匂いだ。

 少しだけ、賞味期限大丈夫かなっという思考が浮かぶが、茶葉だし良いだろうという気持ちと適化スキルさんを信じよう。

 こくりと喉を鳴らして飲む。

 うん、美味しい。


 多分ジルさんの食事用だろうパンも出してくれた。

 さすがに断ろうと思ったのに、

「食えんのか!?」

 と怒ったように言うので食べた。


 これまた美味しい。全粒粉のパン生地の上にピリ辛の肉と野菜の具材を乗っけた焼き込みパンだ。

 この世界の物を食べたのこれが初めてだけど、味が薄すぎたり、脂ぎっているわけでもなく、ちょっと外国の味付けだなとは思うけれど美味しく食べられる。

「美味い」

 と笑うと、ジルさんも相好を崩した。

 どうも推しパン屋のパンらしい。

 うん、ほんと皮がパリパリの味わい深いパンだ。この味、この膨らみは酵母発酵だよね。


 これは、メシマズ世界で料理無双も無理ってことだね……

 柔らかいパンを作って大儲けとか、焼き肉のタレでなんとかなるのではってのは甘い考えか。


 まあ、逆に言えば私が出したものを食べさせてもそんなに問題にはならないってことでは。


 ということで、お茶とパンのお礼という名目で、レーズンとフィンガービスケットをジルさんに出してみた。


「こりゃうまい!」

 と食べてくれたので、ちょっと嬉しい。

 このお茶とよく合うよね、フィンガービスケット。


 よし! っと気合を入れて片付けの続きに戻る。


 残すものを収納する前に掃除できるところをできる限り綺麗にしよう。棚の奥とか普段掃除しないから埃がすごくたまっている。

 台所の油性汚れには重曹が便利。

 重曹は百均でもドラッグストアでも買ったことある。

 コ✕トコのあの大量のやつは買ってみたかったけど買ったことがないのが残念だ。あれなら単価すごく安かったはずなのに。

 千円リピートで見ると500gで108円の履歴があった。

 10円分もあれば十分かな。購入。


 セスキ炭酸ソーダもクエン酸も買っとく?

 まあとりあえず重曹だけでいっか。


 鍋の焦げ付きも重曹を使うと簡単に取れるので気持ちいい。


 ちょっとカビてるところがあるんだけど、キッチンハ〇ターは使うと材質的にまずそうだ。

 キッチンハイ〇ー安い割に劇物だから……。

 酸性のものと混ぜると危険だしね。


 大体綺麗になったので、残すものを拭きながら収納していく。

 いつも使っているものを一番取り出しやすい場所に。

 季節物は下の方に。

 調味料や食材のストックはわかりやすい場所に固める。

 保留箱も収納の隅に置いておく。しばらく置いておいて復活しなかったら処分すれば良い。


 できるだけ上の方の収納は使いたくないけど、軽いものでかさばるものを入れてっと。


 大体こんなものかな。


 ジルさんを呼んで見てもらうと、

「こんな広かったかのう」

 と驚いてくれた。

 ピカピカになった鍋にも、

「光っとる!」

 って目を丸くしてくれて笑ってしまう。

 我ながらビフォーアフターの写真を撮っておきたかったくらいの仕上がりだ。


 処分予定のものは、道具屋さんに一度見に来てもらうそうだ。売れて他の人に使ってもらえるならその方が良いよね。


 とりあえず、これで依頼終了ということで、依頼票にサインをもらった。

「よくやってくれたの。ありがとう。これならまたお願いしたいもんじゃ」

 って言葉が嬉しい。


 初仕事、これで一応完了かな。

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― 新着の感想 ―
台所周りの掃除の主婦力がハンパない
満点(期待値)を超越した仕上がり、リピーター客ゲット! 冒険ではんし、単に家事、清掃の話なのに爽快感があった
これは、メシマズ世界で料理無双も無理ってことだね…… 百均か業務用カレールウを買った事があればワンチャンあるかも
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