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71 マチルダさんへの貢物 2 これあれでしょう?

大変申し訳ありませんがこの先 虫 描写が続きます。

多分つらい方が多いのではないかと思います。


あまりにもつらい方が多い場合は虫の種類を変更することも考えていますが……

お食事前にはお読みにならないようにお願い申し上げます。

 依頼を探しに来た冒険者ギルドで、マチルダさんにクラッカーを差し出す。


 小腹が空いた時にでも食べてほしいと。



 クラッカー入りの容器を見てマチルダさんは少し目を見開いた。その後、こちらに視線が戻る。

 えっと、可愛すぎた? いやでも私が作ったとは言ってないからセーフ、セーフ!


 そこらで(容器を)買ったやつです。あ、パン屋さんで入手しました。

 嘘じゃない。うん。


「まぁ、ありがとうございます」

 にっこりと笑顔で受け取り、お礼を言ってくれるマチルダさん。

 いつも同じように素敵な笑顔なんだけど、今日は何故か精彩がないように思える。

 というか、顔色がちょっと悪いというか白い。

 もともと色白だけど、血の気が少ない蝋のような白さだ。


 そういう目で見ると、多分紅をさしているだろう唇もやや白っぽいような気がする。

「お疲れです?」

 と聞いてみるとそっと目を伏せられた。

「私もまだまだですね……」

「いや、そんな」

 不調なのにそれを完全に隠せる人、そっちの方が心配だ。


「少し、寝不足でして。王都で人気だという栄養剤を飲んでいるのですが……」

 え、それ日本でいうカフェインがたくさん入った栄養ドリンク的な? 命の前借り的な奴では?


 糖分とカフェインを入れると、シャッキリとする気がするよね。

 ただ、抜けたあとにドッと疲れが襲いかかってくる。


 できればあまり乱用してほしくはない。

「あまり無理は……」

 してほしくないけど、無理したくてする人はいない。


「ということで、こちらの依頼はいかがでしょう?」

 話を強引に変えるように声を明るくして、マチルダさんが示したのは、とある虫系魔物の討伐依頼。

 どうもお疲れの主な原因はこれらしい。

 弱い魔物なのだけれど、なにやら異常発生しているらしく、対応に追われているそうだ。

 私があまり討伐系を受けないのは知っているので、本気ですすめたわけではないのだろう。


 けど。


「受けます」

「えっ!?」

 いや、だって、これがマチルダさんの疲労の原因だというのなら少しでも減らしたい。


 いえ、そんな……と困り眉なマチルダさんを急かして受注処理をしてもらう。

 まあ、処理といっても緊急的常時依頼になっているので討伐部位だけ後から持ってきてもオッケーな依頼だ。ただ、事前に受注しておくと少し色がつく。だったら受けてから行くほうが良いよね。








(すごくメタなことを言うと、今から森に行って、虫、なんていうかとても虫とたわむれるので苦手な方はここから先はやめておいてほしい。ごめんだけどしばらく虫回だと思う……)










 というわけで、

 森だ。


 森に行くということで、キララにもついてきてもらっている。

 ミミは今回はお留守番だ。


 マチルダさん曰く大量発生しているのは森の入口の初心者エリアから少しだけ奥に進んだ辺り。


 もしかしたら巣みたいなものができているのかもしれないそうだ。


 さて、なんで問題になっているのかというと、このアマーメという虫系魔物、見た目がね、気持ち悪い。


 なんていうか、色は黒だったり茶色だったりする。そしてつやつやと油に濡れたように光っている。艶消しで光っていないものもいる。カサコソと動き、飛ぶ。


 別に毒もないし、物理で少し強く叩けば結構あっさり死ぬ。

 ただ動きが少し速くて気持ち悪い。そして、問題なのが倒してもさほどうまみがない、ということなのだ。


 肉が取れるわけでも皮が取れるわけでもない。魔石ドロップ率もかなり低い。ドロップしても小さくて使い道が限られる。


 他の虫系魔物だと、キラキラした羽が防具素材になったり、針や毒袋や糸が取れたり、タンパク源になったりもするわけだけど、こいつには利用価値がほとんどない。


 いや、そう言ってしまうと語弊がある。


 食べようとしたすごく尊敬すべき人がいたらしく、食べてみればややエグみや臭みはあるもののエビに近い、味と食感だったそうだ。

 また、一応薬効成分はあるらしく、錬金術に使わないこともないらしい。


 ただ、なんていうかその、見た目がね、なんていうか気持ち悪いので、ものすごく人気がないのだ。

 食べるとかまず無理。生理的嫌悪が強い。


 お薬もね……

 この薬はしもやけによく効きます!

 って言われても、でもあの虫が材料なんでしょう? って言われて避けられるらしい。



 ということで、討伐しても基本うまみがない。

 もともと、スカベンジャー的な役割をしているので多少いるのは問題ないのだ。というか全然いないと多分困るのだと思う。


 遭遇した時に、何故かこっちに向かって飛んでくることはあるけれど攻撃の意図はないし、基本向こうが逃げていく。避けるのは容易な魔物なのだ。


 けれど、大量発生となると問題。放置しておいたことにより、疫病が発生したことがあるそうだ。あと、なんか大変なことになるから放置するなという言い伝えがあるっぽい。


 なのである程度の間引きが必要になる。それで冒険者ギルドが領主から委託を受けて依頼を出しているのだけど、なんていうかその、言うなればお役所からの依頼なわけで、まあほら予算の問題もあって依頼報酬が渋めで、ほんと人気がないのだ……


 まあ、気持ちはわかる。


 言葉をにごしていたけどこれあれでしょう?


 でかいGだよ……


 でもまあ、Gだというならやりようはある。

 殺虫剤、プシューってすれば私でも退治できるはずだ。


 物理で叩くのはちょっとご遠慮したいけどさ。


 雑誌や新聞で立ち向かう人はすごいと思う!



先に申し上げておきますと、殺虫剤ではないあれとかあれとかでどうにかする方法もありますが、安いのは良いのですが、ちょっと危険だったり毒性が強かったり、実はその方法の方が怖いことになったりするので、多分言いたいことはたくさんあるとは思いますが、感想欄に書き込む際には少しお気をつけていただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
コードネームG回でしたかw 個人的にはスリッパが一番効くと思ってますが ご年輩の方の中には素手で行く方もいます どう仕留めたのかは見えませんでしたが それはそれは綺麗な死に様でした^^
メスの甲や鍬形みたいなもんだしなぁ。(大丈夫な人) 小学生の時、素足なの忘れてて普通に踏み潰して、皆にうわーって顔されたから「休み時間に洗いに行くけど?」って言ったら、先生含め全員に「そういう問題じゃ…
作品は作者のものです Gについては、そのままの描写でいいと思います、すみません 森に住むGは緑色だったり、動きはゆっくりだったりと、全然違う生き物ですから 見かけも恐ろしくなく、むしろ珍しい感じの昆虫…
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